「日々の仕事を効率よくこなし、最大限の成果を上げたい!」と思いますよね。そのために、いかに無駄なことを減らすか、どうしたら業務を効率よく回せるか、ということに注力されている方も多いことでしょう。
実際に、最小の時間と労力で結果を出している方は、仕事においてどんな習慣を取り入れているのでしょうか? 『すごい効率化』の著者である株式会社Social River代表、金川顕教さんにお聞きしました。
■1:「PDCA」のサイクルではなく、「CAPD」でまず検証する
「PDCAサイクル」という言葉をご存じでしょうか? Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価・検証)、Act(改善)…というサイクルを繰り返しながら、業務をよりよい方向に改善していく手法です。
この方法では、まず「P」からスタートするのが一般的。けれども金川さんは、「C」から始めることを奨めます。
「(学生時代に)公認会計士試験の合格を目指し、計画を立てようとしたのですが、もともと試験について詳しいわけでも、知り合いに合格した人がいるわけでもなく……計画を立てるのは難しいのではないかと思ったのです。
結果を出すために計画を立てるわけですが、結局それでうまくいかなかったら、せっかく計画を立てた時間すら無駄になり、むしろ遠回りになってしまうのではないかと」
そこで金川さんは、実際に試験に合格し、合格者もたくさん見てきた、当時通っていた資格スクールの講師の方にお話をうかがい、どうすれば合格できるのかチェックする(C)ことから始めたそうです。合格までの最短ルートになりうる、効率のいい実践的な勉強法を学んでから計画を立てることで、見事、大学在学中に試験に合格されます。
「仕事の中でも、新しいことをするときには、まず計画を立てるのではなく、リサーチから始めます。例えば不動産の仲介業を始めようとなったときには、どうやって始めようという打ち合わせから入るのではなく、仲介業でうまくいっている会社を調べて、結果ベースから計画を立てていくのです」
そもそもやったことのない仕事の場合、計画を立てようとしてもわからなかったり、いろいろ考えているうちに時間が過ぎたりしてしまうもの。金川さんは、そんな昔の経験をもとに、まず評価からスタートするようにしているそうです。
■2:「箇条書き記録法」でCAPDサイクルをスムーズに回す
評価を行う際には、文章ではなく「箇条書き」で記録するようにするといい、と金川さん。
「意識的に、文章で書かないようにしています。文章で書くと、ぱっと見て全体像が明確にならず、解読するのに時間がかかってしまいます。また、例えば10人に同じことを書いても、人によって違う解釈をする可能性があるのです」
そこで、誤解されないよう、誰にもわかりやすくするために、できるだけ1行で短くシンプルに書くよう意識しているとか。
「単なる箇条書きではなく、どこに問題があって、どう改善しなければならないか、目標、問題点、改善策の全体像が一目でわかるように書くとよいでしょう」
画像は「箇条書き記録法」の一例です(金川さんのスマホ画面より)。「目標」「問題点」「改善策」のカテゴリを作り、数字や固有名詞を入れ、ポイントが具体的かつ簡潔にまとめられていますね。
この方法により、書く方にとっては文章を考える時間、受け取る側にとっては文章を読み解く時間が省略できます。結果的にCAPDサイクルをより速く、どんどん回すことができるようになるそうです。
「注意したいのは、よかった点と悪かった点、両方入れるようにするということです。これもダメ、あれもダメ…となってしまうと、自分は何もできないと落ち込み、モチベーションが下がってしまうこともあるからです」
評価するとなると、ついマイナス点ばかり言ってしまいがち。けれども忘れずによい点も入れるようにし、そのうえで、「こう改善するとより良くなる」と伝えるようにするとよいそうです。
「意外とモチベーションが大事だったりしますので、褒めて、成功体験をしっかり作れるようにすることが大切だと思います」
一緒に仕事をする人のモチベーションを良好に保つことも、効率化には欠かせないようですね。
■3:TO DOリストだけでなく「しないことリスト」もつくる
その日にやるべきことを可視化する「TO DO」リストをつくっているという方は多いと思います。が、場合によっては「TO DOリストを作る時間は無駄になることがある」、と金川さん。
「以前、会計監査の仕事をしていたとき、10社くらいを掛け持ちしていろいろな現場に行っていたのですが、『TO DO』を書いてもどんどんたまっていってしまい、最終的に絶対ゼロにならないんですよね。
『TO DO』に優先順位をつけてやるならばよいのですが、バーッと書くと、あれもこれもやらなくてはという感じで並列に見え、たまってしまうことが多いのです。そこで、今やらなくてもいい、優先順位の低いもの、これだけはやめようというリストをつくっていました」
重要な仕事は午後にしない……というように、『NOT TO DO』を書き出していく。すると、必然的にほかのタスクの優先順位が高くなる。『TO DO』と『NOT TO DO』の2方向から見ることで、本当にやるべき仕事を明確化できるのだそうです。
「『昼休みにコンビニに行かない』とか『水曜日は20時以降仕事をしない』とか『マウスは使わない』とか、そういったこともパソコンのデスクトップに貼っていましたね」
仕事中にしない方がいいと頭ではわかっていても、ついついしてしまうこと、あったりしませんか? 一見とるに足らないようなそれらのことも、リスト化することで、実際の行動に反映できるようになり、今より仕事がはかどるようになるですよ。
大学在学中、公認会計士の試験に合格し、世界一の規模を誇る会計事務所デロイトトウシュトーマツグループである有限責任監査法人トーマツに就職。外資系企業にて圧倒的な成果を出しつつ、自らの起業準備をするため、あらゆる仕事の効率化を追求。起業後もその効率化メソッドを使い、事務所なし、従業員なしで年間億単位の売上を創出する一方、最小の時間と労力で最大限の成果を出すための効率化について、独自の研究を重ね体系化している。著書に『チェンジ 人生のピンチは考え方を変えればチャンスになる!』『財布はいますぐ捨てなさい』(共にサンライズパブリッシング)『すごい効率化』(KADOKAWA)などがある。
公式サイト
『すごい効率化』金川顕教・著 KADOKAWA刊
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小野寺るりこ