ふと「海を眺めに行きたいなぁ」と思う時、脳裏に浮かべるホテルリストに、新しく加わった奄美大島のヴィラ。この島出身の建築家・山下保博さんが手掛けた「伝泊 The Beachfront MIJORA」が、名前のとおりビーチフロントに建ち、亜熱帯の自然にくるまれたような空間です。東京から2時間半のフライトで行けることも、日常から逃避行するのには、ちょうどいい距離と言えるでしょう。

伝統的な建築と文化を次世代に伝えるためのヴィラ「伝泊 The Beachfront MIJORA」

奄美大島出身の建築家・山下保博さんによる、まちづくりプロジェクト「伝泊」。そのコンセプトは、「伝統的・伝説的な建築と集落と文化を、次の時代に伝えるための宿泊施設」というもの。奄美大島に伝わる建物の配置や技法、暮らしの慣習や文化を知り、そして地元の人との触れ合いも叶えてくれる、一歩踏み込んだ体験型のステイができます。

部屋
木組みの天井と無機質なコンクリートのコントラストが、コンテンポラリーな印象に

伝泊には、古民家やバジェットなど4つの宿泊スタイルがあり、予算や旅のスタイルで選ぶことができます。おすすめは一から新しく作った「伝泊 The Beachfront MIJORA」。奄美大島の建築のエッセンスを取り入れつつ、コンテンポラリーに昇華した海辺のヴィラです。

ミドリヤと亀崎、2つのロケーションのそれぞれの魅力

ヴィラのロケーションは奄美大島の北部、笠利町の2つのエリアに分かれ、三鳥屋(ミドリヤ。島の言葉で“みじょら”)に6棟と、亀崎に7棟があります。それぞれ、海までの距離やインテリアの雰囲気などが異なります。

ミドリヤ
上から見ると、ウノアシ貝の形をしているヴィラ。こちらはミドリヤ

建物は上空から見たら、地元のウノアシ貝をモチーフにした形。奄美大島の伝統的な建物、“高倉”をイメージした、がっしりとした木組みの梁が天井を走っています。すべやかな風合いのコンクリートとウッドとの組み合わせが、コンテンポラリーな印象です。そして海に向かって全面がガラスで、部屋にいながらそのまま外の風景とつながったよう。

広々としたデッキのミドリヤ。
広々としたデッキのミドリヤ。客室の広さはデラックスヴィラで57.9平方メートル

ミドリヤはデッキの部分が広く、天井から吊るしたラタンのハンギングチェアや、大きめサイズの手織りのハンモックが用意されています。読みかけの本を手に、こっちのイス、あっちのハンモックと、場所を変えながら海辺の時間を満喫できます。

亀崎
アダンなど亜熱帯の植物に包まれた亀崎のヴィラ

もう一方の亀崎も、フルハイトの窓から海と対岸の山並みを望みます。部屋によっては風景にアダンの木々がアクセントを加え、まるで奄美大島出身の画家、田中一村の世界観。亀崎は、海に面したバスルームもすばらしい。バスタブに浸かりながら、夕焼けに染まる海を眺めるのも、贅沢な時間です。

職人技を伝える、こだわりのアメニティ

ミドリヤ、亀崎、どちらにも共通しているのが、あえてテレビを置いていないこと。テラスに出れば、波の音や風の音、この島で紡がれる音に満ちています。旅でしか聞けない音に耳をすませてみて。

ピクチャーウィンドウ!
ベッドからすぐ近くに海を感じます。まさにピクチャーウィンドウ!
バスルーム
バスルームも海がすぐそば。自然光を浴びながら、バスタブに浸かれます

そして、どちらのヴィラにも共通しているのが、ディテールにこだわったアメニティ。ほとんどの部屋がIHコンロのキッチン付きで、バルミューダのトースター(朝食のパンがふっくら!)、電気ポット、炊飯器を設置。包丁は燕三条の大工道具の老舗、株式会社高儀のキッチンツールブランド「DYK(ダイク)」。これだけ揃えれば、料理の腕も披露しがいがあるというもの。ちなみに、カトラリーは工房アイザワ、ワインクーラーもあります。

アメニティ
月桃のお茶などを、民具のクバカゴに入れて。部屋着の肌触りも心地いいです

バスアメニティはイソップ。部屋着は国産コットンの二重ガーゼが気持ちいいY’s for living、ベッドマットレスや枕はイタリアのマニフレックス社の低反発タイプです。ほかにも沖縄県の伊平屋島に伝わる民芸品のクバカゴなど、ひとつひとつ吟味されています。

朝食
朝食付き。通常は「まーぐん・レストラン」で供されるものですが、コロナ対策のため、テイクアウト仕様

すべてのプランが朝食付き。地元の「晴れるベーカリー」のパンや島野菜などを、海を眺めながらいただく、ごきげんな朝ごはん。ここが東京から約2時間半なんて(空港からも車で10分圏内)、しみじみとおどろきです。

伝泊
ミドリヤと亀崎、どちらにも魅力的。両方泊まってみるのが、おすすめかも……

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問い合わせ先

  • 伝泊 The Beachfront MIJORA 
  • 料金/デラックスヴィラ(ダブルベッド)1名利用時¥25,000~、2名利用時¥20,000/人~、デラックスヴィラ(ツインベッド)1名利用時¥23,000~、2名利用時¥19,000/人~ など
  • TEL:0997-63-1910(9:00~18:00)
  • 住所/鹿児島県奄美市笠利町大字外金久861-

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この記事の執筆者
ダイビング雑誌の編集者を経てフリーに。海外旅行専門誌でもビーチを担当。月に1~2回、海外を中心に国内外のビーチリゾートへ通うこと、かれこれ四半世紀以上になる。女性誌の旅記事、ライフスタイル誌の連載、ウェブの連載ほか、共著に『奇跡のリゾート 星のや竹富島』など。世界のビーチガイド「World Beach Guide(http://www.world-beach-guide.com ) 」主催 好きなもの:海でボーッとすること、ボディボード、ダイビング、ビーチパーティー、Jazztronik、H ZETTRIO、渋谷Room
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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WRITING :
古関千恵子
EDIT :
安念美和子、大西瞳・原田恵子(イクシアネクスト)