一夜を過ごした互いに名も知らぬ男女。まだ会話もぎこちないが、男は手際よく朝食を準備し、慣れた手つきで朝のコーヒーを淹いれる。女性の心をつかむには、申し分のないシチュエーションだ。

主人公のライフスタイルを表すスタイリッシュな小道具

ケメックスのコーヒーメーカー

主演は、『卒業』('67年)で一躍名声を高めたダスティン・ホフマンと、『ローズマリーの赤ちゃん』('68年)で人気を博したミア・ファロー。ほぼふたり芝居で構成された作品は、男と女の心理描写が実に面白い。都会に暮らす独身男のアパートのインテリアもスタイリッシュ! 主人公の職業を緻密に表現している。写真のコーヒーメーカーは、6カップ仕様

家具デザイナーのジョンと、文化や思想に興味を抱きながら、奔放な恋に興じるメリー。そんなふたりの初めての朝食にさりげなく登場したケメックスのコーヒーメーカーは、互いを知るための重要な役割を果たす。 フラスコ型のフォルムに、木枠と革ひもという洗練されたデザインは、家具デザイナーのモノへのこだわりそのもの。注いだお湯があふれないよう、スプーンで几帳面にかき混ぜる細かい演技は見ものだ。普遍的な男女の出会いを、巧みな演出で描いた『ジョンとメリー』。

映画のストーリーや生き生きとした会話は、公開から40年以上過ぎても色褪せない。同じように時代を超えて愛されるケメックスのコーヒーメーカーは、映画の名脇役と呼べるほど強い印象を残す。生活へのこだわりとコーヒーの愛着を兼ね備えた存在だ。

関連記事

この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク