大名細川家に伝わる圧巻のコレクション!

「翁」は、能の正式な上演の場合に、最初に必ず演じられていた演目です。能楽の原点ともされるきわめて儀式的な演目であり、世界の未来の平和と安泰を言祝ぐ舞。しかし、成立やその意味は、いまだ謎に包まれています。

本展は、その「翁」を通して、日本の自然や芸能、信仰や文化を新たに考えることを目的として発足された「翁プロジェクト」の第一弾企画です。

■1:細川家伝来の能面や能装束の数々!

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「三番叟(黒色尉)」室町時代(16世紀)・永青文庫蔵(熊本県立美術館寄託)・後期展示

永青文庫には、細川家に伝えられた国宝や重要文化財を含む数々の文化財が所蔵されています。財団設立70周年を記念して開催された本展では、その所蔵品の中から選りすぐりの貴重な能面や能装束を観ることができます。

「翁」の演目は、翁面をかけることで演者は神になり、その舞によって世の安泰を祈願するという特別なもの。後期展では、その翁の演目に登場する三番叟役の「黒色尉」をはじめ、重要美術品でもある般若坊作の「般若」が展示されています。

また、高度な染織技術により作られた豪華絢爛な能装束や、 細川家と能の密接な関係を示す貴重な歴史資料もあり、能楽の世界に触れる数々の展示品に圧倒されること間違い無しです。

■2:映像で「翁」を体感。ダイジェスト版の上映も

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「縹地蜀江模様袷狩衣」江戸時代(18世紀後半~19世紀前半)・永青文庫蔵・通期展示

本展では、2019年春に奈良の多武峰の談山神社にて、観世清和や野村萬斎など現代の最高峰の能楽師たちにより奉納された「翁」の映像も上映されています。

ダイジェスト版ながら、一瞬で「翁」の世界に引き込まれる約10分間の貴重な映像は必見です。

<「翁 ―大名細川家の能の世界―」詳細>

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「丹後細川能番組(古来番附)」桃山時代(16世紀)成立・享保7年(1722)書写・永青文庫蔵(熊本大学附属図書館寄託)・通期展示

名称/令和2年度夏季展 財団設立70周年記念「翁 ―大名細川家の能の世界―」
会場/永青文庫(東京都文京区目白台1-1-1)
会期/2020年7月23日(木)〜8月30日(日)・8月12日(水)より、後期展示スタート(※会期中、一部展示替えあり)
開館時間/10:00~16:30 (入館は16:00まで)
休館日/月曜日(但し8/10は開館し、8/11は休館)
入館料/一般1000円、シニア(70歳以上)800円、 大学・高校生500円(※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者1名は無料)
※マスク着用の上、ご来館ください。永青文庫の新型コロナウイルス感染拡大予防については、永青文庫のホームページをご覧ください。


今後は、能楽にゆかりのある全国各地での「翁」の特別公演も予定されているとのこと。野外での公演のため、自然や季節を楽しみながら、日本の伝統芸能を体験できるチャンスです。

長い歴史の中で培われてきた日本文化に触れ、感性を刺激してみてはいかがでしょうか。

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