パンツのシルエット&ディテールが2017年の春夏から激変。今までのスリムフィットでノータックという定番ラインは残しつつも、腰回りにタックが入りゆったりで膝下は細くなっているというものが、イタリアのパンツ専業メーカーから次々と発売されているのです。まるで、6月のピッティは「イタリア パンツ夏の陣」とでもいうような勢いで、タックパンツが勢力を広めていました。

そうした、ピッティ&ミラノ コレクションでのパンツのトレンドの解説とスペッシャル企画で今最旬の南イタリアのパンツブランド、ベルウィッチのこだわりをインタビュー(動画)。変わっていないようで微妙に進化している最近のパンツ。ここがおさえられたらあなたもファッション偏差値60以上です!!

変わってないようで激変しているパンツのトレンド
タック入りパンツが復活!!

2017年6月のピッティでのトレンドやポイントは? と聞かれたら私は、真っ先に「パンツがタック入りになって、シルエットがピタピタからゆるフィットに変わった点」「ベルトレスのタック入りパンツが最旬」の2点をあげています。

とにかく、1月のピッティから急激にタック入りパンツがトレンドとして打ち出され始め、6月のピッティの有名パンツブランドのブースは、タックパンツ一色に。

それは、クラシコイタリアの新解釈であり、ピタピタのノータックパンツのマス化に対する反動では? と個人的には解釈しています。

上の写真の御仁のパンツのようにタックが入っていますが、浅いため腰回りに少し余裕ができたという程度です。そして、太もも周辺はブランドによってゆとりに差がありますが、膝下は急に細くなるというパターンがほとんどです。パンツの股下は、ピッティで見る限りはくるぶし丈が支流。この辺は、今までのトレンドが継続されているといった感じです。
上の写真の御仁のパンツのようにタックが入っていますが、浅いため腰回りに少し余裕ができたという程度です。そして、太もも周辺はブランドによってゆとりに差がありますが、膝下は急に細くなるというパターンがほとんどです。パンツの股下は、ピッティで見る限りはくるぶし丈が支流。この辺は、今までのトレンドが継続されているといった感じです。

タック入りパンツと聞くと、50歳以上の方はバブル時期に流行ったブカブカのタックパンツを連想するかもしれませんが、当時とは全く違うシルエットになっているのでお気をつけください。

秋冬の新作ツータックのベルトレスパンツ。生地は、英国の伝統的な柄の千鳥格子でウール素材。イタリアのクラシックなパンツのディテールを随所に盛り込みながらも、古臭くは見えずかつ立体的なシルエットに仕上げてしまうこのブランドは、只者ではありませんね。
秋冬の新作ツータックのベルトレスパンツ。生地は、英国の伝統的な柄の千鳥格子でウール素材。イタリアのクラシックなパンツのディテールを随所に盛り込みながらも、古臭くは見えずかつ立体的なシルエットに仕上げてしまうこのブランドは、只者ではありませんね。

イタリアのパンツ専業ブランド、ベルウィッチ。このブランドは、イタリア南部のプーリア州のマルティナフランカで1975年に創業したパンツ専業メーカーが母体。2007年にオリジナルのパンツブランドとして、ベルウィッチをスタートさせました。

イタリアのタックパンツブームは、
確実に日本にも押し寄せている

2017年の春夏は、セレクトショップのディスプレーなどにも積極的に使われていたので、目にした方も多いのでは? そして、この秋からはコットンのカジュアルなものからウールのビジネスシーンで履けるものまでバリエーションが豊富になっています。

ランドマネージャー兼デザイナーのマッシモ・ジャンフラーテ氏
ランドマネージャー兼デザイナーのマッシモ・ジャンフラーテ氏

2007年スタートと歴史は浅いのですが、日本ではインコテックス、PT01、GTAと並ぶ人気で、イタリアパンツ四天王としての地位を確立しています。その原動力になったのが写真のブランドマネージャー兼デザイナーのマッシモ・ジャンフラーテ氏。ベルウィッチを、南イタリアの田舎街から世界に通用するブランドに育て上げた彼の手腕は、高く評価されています。

彼は、エネルギッシュで新しいものに敏感でありながらも、イタリアのサルトなどの伝統的な縫製技術もきちっとリスペクトするバランスの良さを持つデザイナーです。

動画は、6月のピッティで、彼のパンツつくりのこだわりが詰まった2018春夏の新商品について熱く語っていただきました。彼のパンツに対する溢ればかりの思いと、製品の色やディテールの裏に隠されているコンセプトがかいま見られます。

この記事の執筆者
『メンズプレシャス』創刊時から、数多のスタイリングで活躍する。とりわけ、高度なテクニックを必要とする、グレーやベージュの淡い色調を、実にリアルで品のいいコーディネートに落とし込める感性の持ち主だ。紳士が知っておくべき伝統的な着こなしの奥義を、ロジカルにつくり上げる名人である。