「白浪物(しらなみもの)」ってどんなもの?知っておきたい教養です!
本日9月7日から、暦(こよみ)上は二十四節気の「白露(はくろ)」に入り、秋の半ば・仲秋(ちゅうしゅう)に入ります。
「白露」は「夜中に大気が冷えて、草花に朝露が宿るころ」になります。現実ではまだまだ暑いですが、「白露」という響きは涼しげでさわやかですよね。
…というところで、本日1問目は「白」にちなんだ問題です。
【問題1】「白浪物(しらなみもの)」ってなんの事?
「白浪物(しらなみもの)」という日本語の意味として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。
1:特殊な製法で作られた希少な日本酒
2:盗賊を主人公とした演目
3:刃物の形状の一種
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 2:盗賊を主人公とした演目 です。
「白浪物(しらなみもの)」とは「歌舞伎や講談など日本の伝統文化の演目で、盗賊を主人公とするものの総称」です。「白浪(しらなみ)」とは「盗賊」を指しており、昔、中国で有名な「白波賊(はくはぞく)」と呼ばれる大変有名な盗賊がいたことに由来します。
「盗賊」といえば犯罪者ですが、『ルパン三世』や『怪盗キッド(『名探偵コナン』)など、フィクションの中では魅力的なキャラクターも多く、現代でもたくさんのファンがいますよね?
『白浪物』は江戸末期から明治にかけて活躍した歌舞伎狂言作者・河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の作品が特に有名で、『鼠小僧』や『忍(しのぶ)の惣太(そうた)』『切られお富』など、役名を聞くだけでワクワクするような魅力的な盗賊キャラクターが人気を博しました。
最も有名な作品は通称『白浪五人男(しらなみごにんおとこ)』と呼ばれる『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』です。武家の娘に変装した美貌の青年盗賊・弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)が強請(ゆす)り目的で呉服屋に入り、その正体がバレた時に着物の片肌を脱いで啖呵を切るシーンの「知らざあ言って聞かせやしょう」という名台詞は大変有名です。現代でも歌舞伎や大衆演劇では繰り返し演じられる人気の演目です。
というところで、2問目のクイズです。
【問題2】「御強請り」ってなんと読む?
「御強請り」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「強請り」という表記は「強請(ゆす)り」と、もう一つの読み仮名があり、ここに「御」がついて「御強請り」となると、「おゆすり」とは読まず、読み仮名が一種類に限定されます。
<使用例>
「私、姪の御強請りに弱くて、姉に叱られるとわかっていても、ついプレゼントしちゃうの」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 御強請(おねだ)り です。
「ねだる」と「ゆする」はどちらも「強請る」と表記します。片や可愛らしいイメージ、片や強要とは、「強請る」「強請り」という表記は、文脈がとても重要ですね(笑)。
暦(こよみ)が「白露(はくろ)」、および「仲秋」に入る本日、「芸術の秋」にふさわしい日本文化の話題として、
・白浪物(しらなみもの)
のトリビアと、
・強請(ゆす)り
・強請(ねだ)り
・御強請(おねだ)り
という難読漢字をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱