9月の祝日には、敬老の日と秋分の日があります。そのひとつ、敬老の日の意味や由来をご存じですか。また、2020年の敬老の日はいつなのか、パッと答えられますか。
そこで本記事では、意外と知らない敬老の日の意味や由来、敬老の日はいつなのかを解説していきます。また、敬老の日と老人の日の違いや、敬老の日を祝うのは何歳からなのか、敬老の日の過ごし方や、敬老の日以外の長寿のお祝いについても説明していきましょう。
■敬老の日の意味
敬老の日は、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)によって、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」日と定められています。祖父や祖母や、お年寄りの方を尊敬し、長寿をお祝いするという意味があるのです。
■敬老の日の由来
敬老の日の由来には諸説あります。ここでは3つの説をご紹介しましょう。
敬老の日の由来1:「としよりの日」からはじまった
敬老の日は、昭和22年に兵庫県多可郡野間谷村(現在の多可町)で開かれた「敬老会」が発祥といわれています。この敬老会が昭和25年には兵庫県全体に広がって「としよりの日」となり、次第に全国に広がり、昭和41年に国民の祝日「敬老の日」という説があるようです。
敬老の日の由来2:聖徳太子が建立した悲田院
大阪・四天王寺にある悲田院。ここが、敬老の日の由来となっているという説もあります。悲田院は、聖徳太子が建立した貧しい人や孤児、病人を救うための施設で、今でいうところの老人ホームのような場所だったのだそう。また、悲田院の建立日が9月15日(※)だったため、その日が敬老の日になったといわれています。
(※)当記事下部「そもそも敬老の日はいつだった?」を参照ください。
敬老の日の由来3:元正天皇が御幸した養老の滝
3つ目の由来は、岐阜県にある養老の滝にあるようです。この滝は、「万病を癒す薬の滝」とされており、元正天皇がここを御幸した際に、年号を「養老」に改元したといわれています。その御幸された日が717年の9月15日であることから、敬老の日がその日になったのではないかという説もあります。
■2020年の敬老の日はいつ?
それでは、2020年の敬老の日はいつなのでしょうか。
今年の敬老の日は2020年9月21日
敬老の日は毎年9月の第3月曜日です。2020年は9月21日となります。 ちなみに、2021年は9月20日、2022年は9月19日、2023年は9月18日で、いずれも月曜日です。
そもそも敬老の日はいつだった?
もともと敬老の日は9月の第3月曜日ではなかったのを覚えていますか? 2002年までは9月15日が敬老の日でした。2003年から、ハッピーマンデー制度の実施により、現行の9月の第3月曜日に変更されました。 ただし、2003年は偶然にも9月15日だったため、9月15日以外の日付になったのは、2004年がはじめてとなりました。
敬老の日が祝日になったのはいつから?
敬老の日が祝日に制定されたのは、1966年(昭和41年)のことです。それまで、9月15日は老人福祉法で「老人の日」とされていたのですが、この年から「敬老の日」に改められました。
■敬老の日と老人の日の違い
先にも出た「老人の日」。これは、敬老の日とどのような違いがあるのでしょうか。
老人の日とは
そもそも「老人の日」とは、老人福祉法によって定められた日です。敬老の日とは違い、老人の日は日にちが決まっています。それは9月15日です。また、この老人の日である9月15日から9月21日までは、「老人週間」と定められています。
老人の日の趣旨は、「老人が自らの生活の向上に努める意欲を促す」というもの。敬老の日とは意味が異なりますが、お年寄りに元気で長生きしてもらうという考え方は同じです。
■敬老の日を祝うのは何歳から?
敬老の日は高齢者の方を祝う日ですが、具体的には何歳から祝うのでしょうか。
とくに決まりはない
敬老の日を祝う年齢には、とくに決まりはありません。「老人」の捉え方は千差万別。実際には若くても、祖父、祖母なった方が孫から祝われることもあるでしょうし、高齢者となったとしても、「老人」と一括りにされるのは嫌だと考える方もいることでしょう。
高齢者の定義
WHO(世界保健機構)には高齢者の定義というものがあります。また、日本の行政制度には、「老齢」や「後期高齢者」「老人」という言葉が入った制度があります。それらから、高齢者と呼ばれるのは何歳からなのかを見ていきましょう。
WHO(世界保健機構)の高齢者の定義
WHO(世界保健機構)の高齢者の定義は、
・前期高齢者は65~74歳
・後期高齢者は75~84歳
・末期高齢者は85歳以上
となっています。
日本の行政制度
日本の行政制度では、
・老齢基礎年金が支給されるのは、原則65歳から
・介護保険制度の第1号被保険者は65歳以上
・税制上の老人扶養親族は70歳以上
・長寿医療制度(後期高齢者医療制度)は75歳以上
となっています。
■敬老の日の過ごし方
敬老の日には、どのような行事が行われ、どのような食べ物を食べるのかをご紹介します。
行事
敬老の日の行事は、主に自治会、町内会や老人福祉施設などで行われています。地域によっては、高齢者による踊りや演奏などが披露されたり、子どもたちとの交流があるようです。
また、家庭や親族間では、日頃の感謝の気持ちを込めて祖父や祖母にプレゼントを贈ることが一般的でしょう。
食べ物
敬老の日の行事食として決められている食べ物はありません。ですが、長寿を祝う日なので、お赤飯を食べる傾向にあります。
お赤飯をお祝いの日に食べるのには理由があります。それは、赤い色は邪気を払い魔除けになる、と古くから考えれていたためです。 敬老の日には、おいしいお赤飯をお年寄りの方といっしょに食べて、お祝いしましょう。
■敬老の日以外の長寿のお祝い
敬老の日以外にも、年齢の節目に行う長寿のお祝いがあります。この長寿のお祝いには、意味があり、テーマカラーもあります。
赤は還暦(かんれき)
60歳の長寿のお祝いが「還暦」です。還暦は、人が生まれて60年経過すると、十二支と、「甲・乙・丙・丁・戌・己・庚・辛・壬・癸」の十干を組み合わせた、60種類の干支が一巡し、生まれた年の干支に還ります。そのことから、「還暦」と呼ばれるようになりました。
還暦のテーマカラーは赤です。赤いちゃんちゃんこを着る風習でおなじみですね。赤には魔除けの意味があり、生まれた年と同じ暦に還る(赤ちゃんに還る)意味から、ちゃんちゃんこを着るようになったそうです。
紫は古希(こき)、喜寿(きじゅ)
古希は70歳、喜寿は77歳のお祝いです。どちらも紫がテーマカラーで、この色には仏教的な意味において、魔除けや、位の高い人にだけに使用が許されている色だった、などといわれています。
古希は、唐時代の詩人・杜甫の詩の一節である「人生七十古来稀なり」が由来となっています。
喜寿は、「喜」という字の草書体「㐂」が七十七と読めることが由来です。また、昔は77歳が厄年とされていたため、「喜」の文字をあて、難を逃れていたといわれています。
黄は傘寿(さんじゅ)、米寿(べいじゅ)
80歳を祝うのが傘寿、88歳を祝うのが米寿です。テーマカラーは黄色(金茶)とされています。
傘寿は、「傘」という字が八と十を重ねた形に見え、八十と読めることに由来。
米寿は「米」の字をくずすと八十八と読めることから、88歳にお祝いします。米寿の「米」にちなみ、お米をお祝いに贈ることもあるようです。
白は卒寿(そつじゅ)、白寿(はくじゅ)、紀寿(きじゅ)
卒寿は90歳、白寿は99歳、そして紀寿または百寿は100歳のお祝いです。テーマカラーはいずれも白となっています。
卒寿は、「卒」の略字である「卆」という文字が九十と読めることがいわれとなっています。
白寿は、「百」の文字から一を引くと「白」となることが由来です。
紀寿または百寿は、100年が一世紀なので「紀」の文字を使って紀寿、また100歳なので、そのまま百寿といわれています。
敬老の日には、高齢者の方に感謝し、お祝いをして過ごしましょう
敬老の日は、高齢者の方を尊敬し、長寿をお祝いする日。この日は祝日ですから、身近にいる高齢者の方に感謝の気持ちを伝え、お赤飯などのごちそうをいっしょにいただいて、穏やかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部