母の顔が垣間見えるご自宅の様子からオフショットまで公開!ポーラ初の女性代表取締役社長・及川美紀さんインタビュー

今年、化粧品メーカー「ポーラ(POLA)」初の女性代表取締役社長に就任し、注目を集めている及川美紀さん。これまでに公開した記事では、入社してから社長になるまでの半生や、就任後に直面したコロナ禍の突破口を探そうとする力強いお話などをお伝えいたしました。

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最後となる今回の記事では、仕事以外のことにフォーカス! テレワークという新たな日常において欠かせないものやご家族とのやりとり、趣味や最近読んだ本に至るまでお伺いしました。大会社のトップであり、家庭では娘を持つ母である及川さんの素顔に迫ります。

及川美紀さん
株式会社ポーラ 代表取締役社長
(おいかわ みき)1991年東京女子大学卒業後、ポーラ化粧品本舗(現:ポーラ)に入社し営業部配属。入社一年で販売会社へ出向し、美容スタッフ、ショップの経営をサポートするフィールドカウンセラーとして実績を重ね、埼玉エリアマネージャーに就任。その後商品企画・宣伝・美容研究・デザイン研究担当取締役などを経て、2020年代表取締役社長に就任。

生き物観察の散歩から始まり、娘のチャイムに翻弄されるテレワーク

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テレワーク中の及川さんの定位置の後ろにプリンターがあるため、プリントを取りに来る娘さんがZOOMにうつりこむこともしばしばだそう(笑)

Precious.jp編集部(以下同)――及川さん、現在はテレワークですか? どのように1日がスタートするのか教えていただきたいです。

自粛期間は週5でテレワークでしたけれど、今は週に1~2日くらい。テレワークの日は、朝6時からの散歩で1日がスタートします。

――早いですね! 起きてすぐに行かれるのですか?

はい、起きてすぐに家を出ます。テレワークだとまったく歩かないので、体を動かしたいのがひとつ。もうひとつは、パソコンばかり見ているとものすごく小さい世界に閉じこもってしまうので、外の世界で自然と触れ合いたいなあと。

――自然との触れ合いとは?

6月くらいは、やたらカエルを観察していました。池に泳ぐオタマジャクシを見て「しっぽが取れた」「足が生えてきた」なんて言いながら(笑)。今は観察対象がカエルからとんぼにチェンジしました。

30分から1時間程度歩き、帰ったらシャワーを浴びて朝ごはんを食べ、着替えてメイクしたら、ちょうど9時くらいにパソコン前に座れるので、業務スタートです。

――ご自宅だと、お仕事はどこでされているんですか?

私は広い場所がいいので、ダイニングテーブルを占領してやっています。夫や大学生の娘もリモートで家にいたりするので、A4サイズのホワイトボードに自分の会議スケジュールを書いて、「この時間は話しかけられても一切反応しません」ということをアピールしています(笑)。

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及川さんが昼食をつくれない日は、そのこともホワイトボードでお知らせ

――大学の授業はオンラインが続いているとニュースになっていましたよね。

そうなんです。娘もずっと家での授業が続いていたので、授業開始のときにスマホで「キーンコーンカーンコーン」っていうチャイムを鳴らすんですよ。9時、12時、13時、15時、18時と、けっこう多くて……。そのチャイムに翻弄されています(笑)。

――リモートワークに欠かせない音になっていそうですね(笑)。ほかに何かリモートワークのお供となっているものはありますか?

お香とコーヒーとハンドクリーム、この3点が欠かせないですね。

リモートだと外出するときに比べて、半分くらいの感覚しか使っていないだろうなと思ったんです。そのときに、例えばスーッと立ち上る煙を見ながら広がっていく香りを感じる「お香」だったり、「コーヒー」を豆から挽くときの香りや音が、すごく大切だと感じるようになりました。

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「山田松香木店のお香は、香りが格段によい」と話す及川さん

――お香は以前からお好きだったんですか?

いえ、「気晴らしに使ってください」といただいたのがきっかけなんです。使ってみたら、香りもよくて癒されるので「これはいい!」と思って。山田松香木店のものがお気に入りで、娘と相談してその日の香りを決めています。

――豆から挽くコーヒーも気になりますが、ハンドクリームも気になります。

実はポーラの始まりって、創業者が手荒れに悩む妻のためにつくりあげたクリームだったのですが、私が商品企画部の部長だった時代に「何か創業にまつまわるものをつくれないかな」と思って、商品化に至ったのがこの「ポーラ ザ ハンドクリーム」なんです。

甘すぎない香りと感触がよく、五感が刺激されてリフレッシュされるので、会議続きでパソコンの前から離れられないときなどは、画面から見えないところで塗ったりしています。

今、手洗い・消毒で手も荒れがちだと思うので、これは本当におすすめ。ポーラの隠れた名品です。

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「自社製品の大愛用者」と公言する及川さんは、ハンドクリームと「B.A」シリーズが特にお気に入りだという

趣味は「お茶」と言いたいけれど……本当は「一人旅」と「読書」

――休日は何をされていることが多いですか? 趣味などあれば教えてください。

趣味と言っていいのかどうかわからないんですけど……3年ほど前からお茶を始めました。「お茶なんて堅苦しいだけ」とやらず嫌いだったのですが、「嫌う前に1度体験してみない?」と言われてはじめました。

1年目はよくわからずやっていて、2年目から「奥が深いかも」と思い、3年目の今、面白さにはまっている感じです。でも全然上達しないので、先生がこれを読んだら、「趣味だなんて」とお腹を抱えて笑うと思います(笑)。あとは、旅行が好きですね。

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シンガポール(左)と北海道(右)に旅行に行ったときのお写真

――お茶が趣味なんて素敵ですね。旅行は、学生時代からよく行かれていたのですか?

学生時代よりも管理職になってからの方が行きます。誰かと一緒に行くのも好きですが、一人旅がとにかく好き。国内、国外問わずどこへでも行きますが、今は難しいので都内のホテルへ!

一人旅の目的は滞在なので、アクティブに動き回ることはせず、おいしいものを食べて、くつろいで、プールサイドでひたすら本を読んで……という感じです。

――本もお好きなんですね。最近読まれた本の中で、印象に残ったものがあればぜひ教えてください。

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及川さんおすすめ本「13歳からのアート思考」(左)「82年生まれ、キム・ジヨン」(右)

 最近すごくいいなと思った本は『13歳からのアート思考』。考えるとはどういうことか、表現するとはどういうことか、思考の根っこを伸ばしていく意味が理解できるような内容で面白かったです。

あと、みんなに「読んだほうがいい」と言われ続けて、やっと最近読めたのが『82年生まれ、キム・ジヨン』。これも面白かったですし、ほか『アフターデジタル2 UXと自由』や『考え続ける力』なども気付きがあってよかったです。

「落ち込んでいるところからは何も生まれない」だから前を向く

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「辛いと嘆いていてもはじまらない」と話す及川さん

――お話を伺っていると、オンでもオフでも及川さんのポジティブな思考をすごく感じるのですが、コロナ禍で鬱々とした気持ちになることはなかったですか?

コロナに限っていえば、ポーラだけに降りかかっていることではないですよね。日本中、世界中でみんな何かしら答えを見つけながら立ち向かっているわけで、トライするしかないという気持ちです。

――ポジティブな気持ちへの切り替えは「悩んでいても仕方がない」という思考からでしょうか?

そうですね、そんな感じです。もちろん落ち込むことがないかといえば、それは嘘になります。でも、落ち込んでいるところから、何かが生まれたことは一度もありません。

世の中が変わっても、その状況の中でビジネスのタネを見つけ「こうやったら上手くいくのではないか」「こうすればお客様は喜んでくれるのではないか」というのを探していくのが私の仕事です。

ポジティブな思考は、やってみようという気持ちや行動につながり、新しいアイデアへとつながっていく、つまり正のスパイラルを生み出すことができるように思うんです。


3回にわたってお送りしたポーラ社長・及川美紀さんのインタビュー。オンでもオフでも、常に何かを吸収しようとする姿勢、ポジティブな気持ちを持ち続けるための思考法など、真似したいと思う部分がたくさんありました。

人生決していいことばかりではありません。それでも及川さんのように前を向いてできることを探していけば、コロナ禍のような世界規模の危機にあっても、道は開けてくるような気がしますね。

この記事の執筆者
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WRITING :
篠原亜由美
EDIT :
小林麻美