「十三里」ってどんな食べ物?あま~くておいしいです!
みなさま、甘い食べ物はお好きですか?
「甘(あま)い」という字には「甘(うま)い」という読み方もあること、ご存知でしょうか?「あまい=うまい」という発想は、昔から根付いていたのですね。江戸時代頃までは砂糖は高級品でしたし、甘い食べ物自体が貴重でしたので、人々はたまに甘い物をいただくと格別「おいしいな」と感じたことでしょう。
…というところで、本日1問目のクイズです。
【問題1】江戸時代に「十三里(じゅうさんり)」という別名で呼ばれて人気だった甘い食べ物といえば、なんでしょうか?以下の選択肢の中から選んでください。
1:まんじゅう
2:さつまいも
3:ようかん
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 2:さつまいも です。
江戸時代、町にはさまざまな屋台の飲食店が出ていましたが、「焼き芋屋」も人気屋台の一つでした。その店先には「八里半(はちりはん)」や「十三里(じゅうさんり)」などのキャッチフレーズが掲げられていたのだとか。
これはいわゆる言葉遊びで、初期によく使われていたのが
「栗のように甘い、さつまいも→(距離の単位にかけて)九里に近い」という意味の『八里半』、
のちに人気のフレーズとなったのが「栗よりうまい」という意味の「九里(くり)+四里(より)」で『十三里』なのです。
江戸時代は、庶民の間でも様々な文化が育ち、花開いた時期ですので、江戸っ子はこうした理知的な洒落が大好きなのですね。
ちまみに本日10月13日は「さつまいもの日」です。さつまいもの旬である十月と、「十三里」の異名にちなんで、本日に決まったようですよ。
…というところで、2問目のクイズです。
【問題2】「甘味処」ってなんと読む?
「甘味処」という日本語の正しい読み方を、以下の選択肢の中から選んでください。
1:あまみどころ
2:かんみどころ
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 本来 あまみどころ、昨今、慣用的に正解となったのが かんみどころ です。
本来の日本語としては「甘味処(あまみどころ)」でしたが、ここに、「甘味料(かんみりょう)」などの「甘味(かんみ)」という読み方が混同されて「甘味処(かんみどころ)」という誤読が広まったようです。あまりに広まったことから、現在では、どちらの読み仮名も採用している辞書が複数出てきています。
この件で不思議なのは、なぜか「甘味処(かんみどころ)のほうが正しい読み方で、常識」と、後から出てきた「かんみどころ」が本流、とカン違いしている方が大変多い、という事です。筆者の周囲に「あまみどころ、と読む人がいたら、常識を知らないな、と心の中で思う」という人すら存在しました。
「あまみどころ」「かんみどころ」、もはやどちらも正解です。
こうした話題は、どちらが正しいかでヒートアップしやすい、という側面を持っています。大人の対応としては「どちらが由緒正しい正解か」を教えたり主張したりするよりも、「どちらも正解」という部分だけおさえておき、やんわりと流すのがちょうどいいかもしれません。
甘い物は、平和においしさを楽しみたいですよね?(笑)
本日は、『さつまいもの日』にちなんで、
・十三里(じゅうさんり=江戸時代の言葉遊びによる、薩摩芋の異名)
というトリビアと、
・甘(あま/うま)い
・甘味処(あまみどころ/かんみどころ)
という読み方をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本人がかならず間違える日本語』小林聡(中経出版)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱