スタイリスト犬走比佐乃さんが提唱!「贅沢」の美学こそ、細部に宿る
新しい時代へと価値観が変化しつつある今、創刊以来ラグジュアリーを追求しつづけてきた『Precious』が、3人のスタイリストとともに、「贅沢」の意味を改めて考えました。最新『Precious』12月号の大特集で、その答えを展開しています。
その特集内、スタイリスト・犬走比佐乃さんは、「エレガントを極めるには、ていねいなおしゃれが必要。「贅沢」の美学こそ、細部に宿ります!」と語って下さいました。この記事では、そんな"マダム犬走"の提言をご紹介します。
「ラグジュアリーなものは、裏も表も同様に美しい」と語ったのは、かのココ・シャネル。目に見えない部分、ディテールのひとつひとつにこだわることこそが真のエレガンスであることは、今も昔も変わらないおしゃれの真理です。
ていねいに服を身につけること、細部にまで気を配ることでしか到達しないエレガンスの極意を、スタイリストのマダム犬走に伺いました。
■提唱1:「コートのすそからのぞくスカート」は野暮と心得よ!
「ベーシックなカラーとデザインのひざ丈コートなら、インナーを選ばず、何にでも合わせられる」と、安易にはおっていませんか? 実はそれ、思い込みです。
ここ数シーズン、スカート丈のトレンドは「少し長め」に移行しています。そのため、コートのすそからスカートが「チラ見え」している女性が増殖中。「たった数㎝だから、まぁいいか」という妥協こそが、あなたの印象を一気に洗練から遠ざけます。
ヒップラインより少し長めの、いわゆるハーフコートもパンツ用と、着分けるルールを徹底すべき。スカート姿を小粋に見せる今年のコート選びは、「いつもより、ちょっと長め」を意識すると、ちょうどいいかもしれません。(犬走さん)
【詳細記事はこちら】「コートのすそからのぞくスカート」は野暮と心得よ!トップスタイリストの助言
■提唱2:クチュール服にふさわしいのは端正な艶髪だけ
「エフォートレス」とか、「こなれ感」とか。おしゃれのキーワードとして、「少し無造作なくらいがちょうどいい」トレンドに慣れてしまった私たち。
でも、繊細なレースや高度な技術を駆使したクチュールテイストの服には、いつもより少し手をかけた、端正な髪型が似合う気がします。ことにマスクがあたりまえになった今、若々しさや瑞々しさを測る目安となるのは、肌や髪の「艶感」です。
私自身は頭皮用オイルを使ったマッサージやブラッシングなど、こまめなセルフケアが習慣になっています。おうち時間が増えたこの機会に、基本のブラッシングとブロウを見直し、髪の元気を取り戻してみては。(犬走さん)
【詳細記事はこちら】今、改めて提唱|クチュール服にふさわしいのは端正な艶髪だけ!トップスタイリストの助言
■提唱3:大人の美脚は「ストッキング抜き」では語れない
年齢とともに、ボディの輪郭が曖昧になっていく40代以上の世代。「貫禄」という印象に傾かず、スカートスタイルをシャープに見せるためには、足元の緊張感が必要不可欠。
そのため、私自身は「タイトスカートにはストッキング」を鉄則にしています。特にツイードなどの表情のあるスカートに美しいヒールパンプスを合わせたときは、なおさらです。
透明感のあるストッキングをはくことで、肌のくすみや毛穴が目立たなくなり、陰影が生まれ、素足よりもずっと脚は美しく見えるのです。
今回はシナモン色のネットタイプで、晩秋の気分を表現。美しいヴェールをまとった足元で、ゴージャスな佇いが完成します。
【詳細記事はこちら】40代以上の美脚は「ストッキング抜き」では語れない!トップスタイリストの助言
■4:「私に似合う最愛ベージュ」を見つけて指先に品格を
スマホを持つ手、ペンを握る指……私たちがふだん意識している以上に、指先は人の視線が集まりやすいパーツです。
とはいえ、大人の女性がむやみに凝ったネイルに走る必要はありません。ラインストーンや個性的なカラーは、むしろ「手の年齢」を目立たせるような気がします。私たちが目指すべきは、「自分の体と向き合うていねいな時間」を感じさせる、血色よく潤った指先と健康な爪。
そしてなにより大人の手元に似合うのは、高貴なジュエリーの輝きです。視線を送るたび、気持ちがふわっと高揚して、しぐさまでが美しく。パートナーと呼ぶにふさわしいジュエリーは、女性を内側から輝かせる、不議なパワーを秘めているのです。
【詳細記事はこちら】「大人の女性がむやみに凝ったネイルに走る必要はありません」トップスタイリストの助言
■提唱5:美しい立ち姿は「-5歳効果」を約束する
トレンドアイテムとして、盤石の人気を誇るワンピース。確かに万能なアイテムですが、正直に白状すれば、心の片隅で「コーディネートいらずの手抜きアイテムだから便利」という計算があるのも事実なのでは。
そしてこれこそが、ワンピースにひそむ落とし穴。全身同じ布地に身を包む、単調ともいえるアイテムだけに、実は「ボディの老け感」を強調してしまう危険をはらんでいるのです。
特に「姿勢の悪さ」は相性最悪な要素。常に想像力を働かせ、ショーウインドーに映る自分、電車の窓に映る自分をイメージし、こまめな姿勢チェックを怠りなく。下腹に力を入れ、視線を遠くに据えつつ、颯爽と。美しい立ち姿で、「マイナス5歳」を目指しましょう。
【詳細記事はこちら】【背筋を伸ばすコツ】「ワンハンドルバッグをひじにかけて歩く感覚」トップスタイリストの助言
■提唱6:「思い込みより2cm上」のブローチであか抜ける
ここ数年、ブローチがマイブームです。私のワードローブの核である、テーラードジャケットがもつシャープな雰囲気を損なわず、それでいてやわらかな女らしさが加わる気がします。
あまり注目されないアイテムだからこそ、個性を演出できる点も魅力。「ネックレスやピアスとブローチを、同時につけても大丈夫?」と聞かれることもありますが、まったく問題ありません。ただし、ポケットチーフはしないほうがいいですね。
あか抜けるためのポイントは、「自分で思っている位置よりも少し上」、鎖骨のあたりにつけることです。こうすることで見る人の視線を上に引きつけ、すっきりとした印象に。
【詳細記事はこちら】「思い込みより2cm上」が正解。垢抜けるブローチ位置をご存じですか?トップスタイリストの助言
■提唱7:伊達男に学べ!「そで口と白シャツ、腕時計の法則」
女性は一般的に、男性と比較してジャケットのそで丈は長めの人が多いようです。もちろんルール違反ではありませんが、スーツは本来男性のためのアイテム。
特にシャープなテーラードジャケットは、メンズのルールを知っておくと、いっそうシャープに、すっきりと着こなせます。最大のポイントは、サイズ感の合ったジャケット、シャツを身につけること。
そして、ジャケットのそで口から7mm前後、シャツを見せることです。見せる幅が広すぎては野暮になります。シャツが手首にフィットしていれば、腕時計は自然に、そして美しくそで口から見えるはず。これだけのことですが、このひと手間が、手元に洗練と美しさを引き寄せてくれるのです。(犬走さん)
【詳細記事はこちら】何mmジャケットのそで口からシャツを見せるのが正解だと思いますか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 『Precious12月号』小学館、2020年
- PHOTO :
- 石倉和夫
- STYLIST :
- 犬走比佐乃
- HAIR MAKE :
- hiro TSUKUI(Perle/ヘア)、三澤舒公幸(3rd/メイク)
- NAIL :
- 中島理恵(UKA TOKYO)
- MODEL :
- 細谷理紗
- COOPERATION :
- BACKGROUNDS FACTORY
- WRITING :
- 河西真紀
- EDIT :
- 竹市莉子(HATSU)、喜多容子(Precious)