働き続け、キャリアアップを考えているのであれば、仕事ができると評価されるだけでなく、周囲から信頼され、「ついていきたい」と思われる女性を目指したいもの。

では一流の人望が厚い人は、いったいどんなことをしているのでしょうか。日本全国でセミナーを開催し、これまで38万人を導いた、人材育成コンサルタントの永松茂久さんにお聞きしました。

永松さんが語る下記6つの習慣は、決して難しいものではありません。一流の人の言動を知り、自分の生活に活かしていけば、周りからの信頼もついてくるでしょう。

■1:自分は裏方にまわり、周囲の人に活躍の場を与える

周りを活かすように
周りを活かすように

キャリアを積むと、大きな仕事を任せられる、プロジェクトをまとめるリーダーの立場になることがあるでしょう。そんなとき、自分だけが頑張って物事を進めようとしていませんか? 永松さんは次のように指摘します。

「仕事をひとりで抱え込み、人に任せられない人は多いです。しかし一流の人は、周りの人に仕事やチャンスの場を割り振ることで、自己肯定感をプレゼントしています。『私はこんなに頑張ったのよ』と、自分ひとりの手柄にすることはありません。仕事のプロジェクトは周りの人が動いてうまくいくものであり、周りを頼るというよりも、周りを活かすという考え方をしましょう」

周りの人に仕事を振ることは、「活躍の場を与える」ということ。周りを活かすことができる人を、世間はしっかり見ていると永松さんは言います。

また仕事がうまくいったときには、「あなたのサポートのおかげ」「本当にありがとう」と感謝の気持ちを口にすることも忘れないようにしましょう。

■2:愛に基づいて行動する 

後輩や部下を指導するとき、どのように接すればいいのか迷うことはありませんか?

「周りの人を大切にしていれば、組織は継続的に繁栄していく」と永松さん。一流の人は、「愛に基づき行動」しているといいます。

「厳しくするか、甘くするかは、相手によって変わります。その人の将来のことを考えたときに、厳しいことを言わなければいけない、それが愛ということもあります。また褒めるときは、思いっきり褒めるということもひとつの愛です」

目の前の相手に対して、どのように接するのがベストなのかを常に考え、行動するようにしましょう。

■3:周囲の人に精神的なメリットを与える

さらに永松さんは「人を動かすためには、メリットを与えることが大切」といいます。これは、お金やモノを与える物理的なメリットだけではないそうです。

「プレゼントを渡すという直接的な行動よりも大切にしたいのは、精神的なメリットです。人間、誰もが自己肯定感を求めています。一流の人は、相手に感謝を伝える、相手の成長につながるメリットを与えることが上手なのです」

精神的なメリットには、褒めてくれる、認めてくれる、温かい声をかけてくれるといったことが挙げられます。これは職場の人間だけでなく、パートナーや家族、友人に対しても同じこと。精神的なメリットを与えることができる人は、周りの人から好意を持たれ、人が集まってくるのです。

「最初は意識して始めるとよいでしょう。習慣になるまでは時間がかかるため、例えば『一日〇人にありがとうと言う』など、自分でルールを決めてください。一流と呼ばれる人は、特別なことばかりをやっているわけではありません。基本のことを、非常識なぐらいきちんとやれる人なのです」

■4:ぶれない軸で人を惹きつける

自分ルールを忘れない
自分ルールを忘れない

また「一流の人は、自分との約束事を何よりも大切にする」と永松さん。人によって自分に課すルールは異なるものの、たとえば「人の話は笑顔で頷いて聞く」「お世話になったらすぐに感謝のメールをする」と決めたのなら、それを守ることを大事にします。

一流の人は自分との約束事を心の軸としており、想定外のトラブルが起こった時にも、うろたえることがないそうです。

「心の在り方がぶれなければ、やり方が少々変わっても大丈夫です。一方で、やり方は変わらないものの、心がコロコロ変わる人は、一流から遠くなります」

言動に一貫性がある人は、信頼感があります。さらには、付き合いやすい人と思われるため、人が集まってくるのです。

■5:立場の弱い人を大切にする

人によって態度を変える人は多くいます。しかし一流の人は、誰に対しても平等に接するといいます。

「一流の人は自分に自信があるため、威張らなくても自分の立場が揺らぐことがないと心得ています。自分より立場が下の人と接する時でも、決して高圧的な態度を取りません」

人は自分がお客さんの立場になった時こそ、人間性が出るそうです。レストランや居酒屋で店員に偉そうに威張るような人は、絶対に一流ではないのです。

永松さんは「基本的に人を大切にすると決めて生きている人は、ワンパターンに行動すればいいのでラクです。自分より上の人にはペコペコして、同じレベルなら戦って、下に対して威張るという3種類使い分けるほうが大変です」と指摘します。

これは社会的なポジションに限らず、たとえば職場の飲み会で、上司の立場が弱くなることがあります。若い社員だけで盛り上がり、上司がぽつんと浮いているような場面があれば、さりげなく話を振るなど心遣いを忘れないことも、人を大切にすることにつながります。

■6:自分が相手に何を与えられるのかを考える

誰かに与えられるように
誰かに与えられるように

一流の人は、どんなときも「与える側」に立ちます。

「人は、何かをくれる人の周りに集まります。それはモノや情報だけでなく、安心感、自己肯定感もそうです。夢をくれる、ワクワクをくれる、憧れをくれる人ものです。多くの人は、相手が自分に何をしてくれるかをいつも考えています。しかし一流の人は、自分が相手に何ができるかを常に考えているのです」

自分には与えるものがない、と思っている人はいませんか? もしあなたが近寄りがたいイメージを持たれてしまう、怒っているように見られると悩んでいるなら、まずは笑顔の回数を増やしてみてはいかがでしょうか。

「笑顔や頷きは、人にものすごく安心感を与えます。笑顔はタダであり、笑顔でいて損することはありません」

そして最後に、永松さんから以下のアドバイスをいただきました。

「与える立場になるためには、何より自分自身を認めることが大事です。自分が安定しないと、人によくしようとはなかなか思えません。自分がご機嫌でいられるよう、気を抜かないようにしましょう」

 

以上、周囲から信頼される人になる6つの良習慣をご紹介しました。今の自分を変えたいと願っているだけでは、明日も1年後もきっと同じ自分のままでしょう。周りから信頼される人になるためには、一流の視点を身につけ、そこに近く努力をしたいもの。最初は意識的に行い、行動を積み重ね、習慣にしていきましょう。

PROFILE
永松茂久(ながまつ しげひさ)さん
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。永松塾主宰。作家。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトを掲げ日本全国で多数の講演会、セミナーを実施。ユニークな人材育成に定評があり、これまでの参加者はのべ38万人に上る。「人の在り方」を教えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ている。大分、福岡で5店舗の飲食店を経営するかたわら、2017年より東京に拠点を構え、日本一の商人である師匠の教えと自身の経験をもとに独自の指導法「永松式未来実現コーチング」を体系化する。
『一流の人に学ぶ心の磨き方』永松茂久・著 かんき出版刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
椎名恵麻