3つ星シェフが手がけるフレンチレストラン「メゾンケイ(Maison KEI)」が、静岡・御殿場にオープン

心身ともに癒やされるような空間で、極上のお料理を味わう喜びは、かけがえのない体験のひとつですよね。そんなひとときを楽しめるフレンチレストラン「メゾンケイ(Maison KEI)」が、2021年1月、静岡・御殿場にオープンしました。

メニュー開発をはじめ、オープンに携わったのは、フレンチの巨匠アラン・デュカス氏のレストラン「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」にて7年間働き、2020年にはフランス版ミシュラン・ガイドにて、アジア人初の3つ星を獲得されたシェフ、小林圭氏です。

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フランス・パリの「レストランケイ」のオーナーシェフである小林圭氏(左)と、「レストランケイ」にて6年の経験を積み、「メゾンケイ」のシェフに就任した佐藤充宜氏(右)

現在、本場フランス・パリにて「レストランケイ(Restaurant KEI)」のオーナーシェフを務めている小林氏。そんな小林氏とコラボレーションすることになったのは、あの老舗和菓子店「とらや」でした。

なぜ「とらや」とタッグを組むことになったのでしょうか? 「メゾンケイ」のお店のコンセプトや、“ここでしか楽しめないとらやのあんの味”について、小林氏にお話をお伺いし、「メゾンケイ」の魅力に迫ります。

老舗和菓子店「とらや」とタッグを組み、誕生したレストラン「メゾンケイ」とは

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御殿場の自然にも溶け込む、落ち着いた雰囲気の「メゾンケイ」の外観

そもそもなぜ、3つ星シェフと老舗和菓子店「とらや」がコラボレーションすることになったのでしょうか。そのきっかけは、2010年までさかのぼります。

とらやの18代・黒川光晴氏がフランス・パリにて勤務していたときのこと。当時、小林氏は「レストランケイ」の開業準備の真っ只中で、黒川氏は、食材調達に同行したり、厨房作業を見学したりするなど、パリのレストランの開業準備を目の当たりにし、多くの学びを得たそうです。

その後も交流は続き、常に味を突き詰め極めている小林氏の姿勢に感銘を受けた黒川氏は、「いつかご一緒できる機会があれば」という想いを抱いていました。

それが実現したのが今から5年ほど前。とらやの主力工場があり、また「とらや工房」がある静岡・御殿場にて、レストランをオープンする準備が始まりました。

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新鮮な野菜を使用し、地産地消を意識した「メゾンケイ」の料理

「とらやにとってゆかりの深い場所である御殿場にてレストランを開業することに、大変意義を感じました。また黒川氏から、この場所に開業する目的のひとつに『地域の活性』があるというお話を伺い、ぜひこの地でトライしたいと思いました」(小林氏)

小林氏は「料理人としてどのように社会に貢献できるかを考えたとき、『地域の活性』には以前から興味があった」と話します。

おいしい料理で地域を元気にしたい。地域の食材を使うことで、地域に貢献していきたい。実際、「メゾンケイ」の料理には、極力、地元静岡県産の食材が使われており、地産地消を意識することで地域の活性化に繋がっています。

しかし小林氏には、それ以上に静岡県産の食材を使いたい「ある想い」があるようです。

「食材の命」を大切にすることを第一に考えたお料理を

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細部までこだわった料理の数々 ※写真は「金目鯛のうろこ焼き イカ墨のピストゥー」

「料理に関しては、食材の命を大切にすることを第一に考えています。食材の命をあずかり、それをお客さまにおいしく召しあがっていただくことで、お客さまの記憶に残る。そのことで、絶たれた命はお客さまの中に残ると考えています」(小林氏)

そのため、地元静岡県産の食材を使うのも「食材は旅をさせてはいけない」という小林氏の想いから来るもの。採れたての食材を使うこと、それがパリや東京などの大都市部と違った、生産地が近くにある御殿場の強みであると、小林氏は感じているそうです。

また、厨房スタッフだけではなく、サービスの人間、「メゾンケイ」のすべてのスタッフに、野菜は土から、そして、魚は海や湖から採れるということを理解してもらうために、実際に土いじりをしたり、海や湖に触れてみるなどの実体験をしてほしいと願っているそう。

「食材を選ぶことから始まるのではなく、実際に食材ができるところ、生まれるところを実感して、食材を理解してほしいと思っています。それはここでしかできない体験であり、『メゾンケイ』の料理は“大地の料理”なのだ、と実感してもらえたらうれしいですね」(小林氏)

五感を刺激する「メゾンケイ」のシグネチャーメニュー

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30種類以上の季節の野菜を楽しめる「庭園風季節のサラダ」

そんな「メゾンケイ」のシグネチャーメニューである「庭園風季節のサラダ」は、パリの「レストランケイ」でも提供されている料理のひとつですが、「メゾンケイ」では、静岡県産の食材に変えて提供されています。

30種類以上の季節の野菜を4種のソースに絡めていただくことで、さまざまな素材やテクスチャーを楽しめ、五感が刺激されるひと品です。

「野菜には無限の可能性があります。世界中どの国にも野菜はありますが、そんな野菜をどうしたらおいしく食べることができるのだろう。どうしたら素材ひとつひとつを輝かせ、いただいている命を、食べる人の記憶として残していってもらえるだろう、という想いで作っています」(小林氏)

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五感を刺激するデセール「ヴァシュラン」

シグネチャーメニューのデセール「ヴァシュラン」もパリのレストランでも提供されているひと品。甘み、酸味、食感、温度など、五感を刺激するすべてが含まれています。

メレンゲの形や薄さにもこだわりがあり、均一の大きさや、メレンゲひとつひとつの空間の幅、スプーンで叩いたときに壊れやすいことや、アイスと一緒に食べた時の食感やバランスなど、細部まで計算し尽くされているそうです。

また、こちらのデセールの大きな特徴として、「とらや」のあんが使われていること。季節によって内容は変わるものの、ソースやその他のパーツにも、随所にあんが使われています。

「『メゾンケイ』は、とらやのあんを体験できる世界で唯一のレストランでもあります。和菓子は基本的に植物性の素材を使うため、乳製品など動物性のものをつかったデセールなどに積極的にトライしていくことで、あんの未来につなげていきたいと思っています」(小林氏)

なお、「メゾンケイ」のメニューは昼夜のコースのみ。ランチは4品 ¥3,500〜、6品 ¥6,800〜、ディナーは4品 ¥4,800〜、6品 ¥7,800〜(いずれも税・サービス料別)です。

「また来たいね」と言ってもらえるようなお店に

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建築家・内藤廣氏が携わったお店の内装

レストランの設計には「とらや 赤坂店」や「TORAYA TOKYO」などを手がけた建築家、内藤廣氏が携わっています。

「内藤氏の木をふんだんに使った建築が好きで、お店の設計・デザインをお願いしました。10年、20年と経ったときの経年変化が楽しめるのも、木の建築のよいところだと思います」(小林氏)

フランスと日本の建築物を比べたときに、フランスには石の文化、日本には木の文化があります。レストランの外装・内装などをデザインする上で、日本らしい「木」にこだわっているのもひとつのポイントなのだとか。

「特に料理家としては、お客さまに2時間過ごしていただく内装にこだわりました。料理だけでなく、サービス、空間、と3つすべてが揃うことで、『また来たいね』とおっしゃっていただけるお店になると思っています」(小林氏)

四季折々の自然を感じられる開放的な店内。窓の外には、美しい富士山の姿を望むことができます。御殿場ならではの美しい景色も、「メゾンケイ」の魅力のひとつです。

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誰かにとっての「世界一のレストラン」に

小林氏は最後に、お店の想いをこう語ってくれました。

「地元の方に愛され、応援していただけるレストランにしたいです。また、レストランにお越しいただいたお客さまに『(わたしにとって)世界一のレストランだね』と感じていただければと思います。料理、サービス、空間、すべてを体験して、元気になってほしい。心の薬になれればいいなと思っています。

記念日や大切な日に『あのレストランに行こう』と言っていただけるようなお店であれたら、とてもうれしいです」(小林氏)


なお、お店は毎月1日に2か月後の末日までの予約を行っています。オープン後、満席が続いていることが多く、早めの予約必至です。

「メゾンケイ」には料理の質やおいしさはもちろん、食材や空間づくりへのこだわりなど、小林氏の想いがたくさん詰まっています。日本だからこそ描ける空間づくり。御殿場だからこそ楽しめる料理。それらひとつひとつが、私たちの「大切な人と過ごす大切な時間」を、より思い出深いものにしてくれるはずです。

問い合わせ先

  • メゾンケイ(Maison KEI)
  • 営業時間/ランチ 11:30〜 ディナー 17:30〜
    定休日/火曜・水曜
  • TEL:0550-81-2231(予約可能時間 10:00~11:30、15:00~17:30)
  • 住所/静岡県御殿場市東山527-1

この記事の執筆者
フリーランスの編集者・ライター。グルメやスイーツ、ライフスタイル系の記事執筆・編集を中心として活動中。元システムエンジニア、プログラマの経験を持つ。二児の母。趣味は料理、SNS、写真を撮ること、美味しいものを食べること。麺類と辛いもの、自分のために買うご褒美スイーツが特に好き。
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