「インスタ映え」が流行語大賞にノミネートされるほど、Instagramなどのソーシャルメディアで目立つ写真の撮り方が話題になっています。構図を工夫したり、フィルターを使ったりといろいろなテクニックがありますが、Instagramを上手に使っている人たちはどんな写真を投稿しているのでしょうか?

たとえば「Instagramから人気に火が付いた」といわれるバッグブランド、M2MALLETIER。コロンビア出身のメリッサ・ロサダ=ボフィルとマルセラ・ベレス、女子二人組がスペインを拠点にグローバル展開しています。ジジ・ハディッドやケンダル・ジェンナーといったセレブリティがこぞって愛用していて、日本でも一部のセレクトショップなどで取り扱いが始まっています。

M2MALLETIERは2012年の立ち上げと同時にInstagramを開設。共同創業者のひとり、メリッサはForbesのインタビューに対し、「Instagramこそが顧客やバイヤーやメディアに自分たちの世界観を知らせる強力な武器となった」と語っています。

とはいえ、立ち上げ当初は投稿へのいいね!も現在よりずっと少なく、数十件程度。そこからどのような写真が人気を博していったのでしょうか? 過去の投稿にさかのぼって分析してみました。

■1:フォロワーが一番期待している情報が込められた写真

M2MALLETIERのInstagramの中でいいね!の多い写真は、やはりバッグの写真です。

当然のことのように思われるかもしれませんが、M2MALLETIERをフォローしている人が知りたいのは、今どんな素敵なバッグがあって、これからどんな新しいバッグが打ち出されるのか?ということです。初めていいね!が100件を超えたのも、翌シーズンのコレクションをチラ見せする内容でした。

 

これを自分のことに置き換えるなら、まず自分が誰にフォローされていて、その人たちは自分に何を期待しているのか、を整理しておくのがよさそうです。

リアルな友だち同士でフォローしあっている場合でも、たとえば新しいレストラン情報をすぐキャッチする人、コスメ大好きな人、映画に詳しい人……と、それぞれ得意分野があります。

その中で自分はどんなことが得意、または好きなのかを考えてみて、それに合った写真をポストしてみると、今までとは違った反応が得られるかもしれません。


■2:オリジナリティの高い写真

M2MALLETIERのInstagramでいいね!が1000件を超えるポストは、ほとんどがバッグの写真ですが、数少ないバッグ以外の写真のひとつがこちら。イランの聖堂で撮影したもののようで、シャンデリアの光に埋め尽くされた幻想的な空間を捉えています。

 

 

また、たとえば下の写真も、フローラルなバックパック自体の魅力もさることながら、旅先(こちらはモロッコ)の非日常の風景の中に置かれていることで、より特別な感覚を与えてくれます。

 

 

Instagramではつい、おいしかったものやきれいなものの写真を、どんどんポストしてしまいがちです。

でも見る側にとっては、よくあるスイーツやリゾート地の写真より、こんなふうに見たことのない世界を写したものの方が興味をそそります。またM2MALLETIERの場合、メインの被写体であるバッグそのものが、メタルハンドルや直線で構成された形など、オリジナリティにあふれています。

そこでソーシャルメディアに写真をポストする前に、「この写真は、ここでしか見られない写真かな?」と振り返ってみるとよさそうです。そうすれば、「自分は感動してポストしたのに、あんまりいいね!されなかった」という悲しい事態を防げるかもしれません。


■3:発信力のある人を巻き込む写真

M2MALLETIERの立ち上がりのころ、あるファッション界のインフルエンサーがM2MALLETIERのバッグを持って、フランスの『VOGUE』に掲載されました。M2MALLETIERはすかさずそれをInstagramでシェアし、スタート以来まだ数回目のいいね!100件超えを実現しました。

 

 

そのインフルエンサーとはミロスラヴァ・デュマ、ロシア出身のメディア起業家です。『Harper’s Bazaar』ロシア版などを経て2011年にモスクワでファッションWebサイト「Buro 24/7」をローンチし、ロシアで第2位のデジタルファッションメディアに育て上げました。

『Forbes』のインタビューによると、M2MALLETIERはブランド立ち上げ前にミロスラヴァにバッグをプレゼントしていました。そしてミロスラヴァがそれを自身のInstagramに掲載したことで、M2MALLETIERにロシアからの問い合わせが殺到したそうです。

ほかにも、女優のケイト・ボスワースやモデルのジジ・ハディッドやケンダル・ジェンナーにもバッグを贈り、それがストリートやレッドカーペットで使われることでますます注目を集めてきました。

 

 

ブランドがセレブリティに商品を提供することは古くから行われていますが、M2MALLETIERはミロスラヴァのような、新しいタイプの有名人を最初から意識していたことがポイントです。インスタ映えする出来事を自らつくりにいった、と言ってもいいかもしれません。

セレブなんて身近にいない……と思われるかもしれませんが、リアルな友だちの中でもソーシャルメディアを上手に使いこなしている人がいると思います。ポストの拡散をねらうなら、そういった人と仲よくなって、折を見てタグ付けしてもらったり、話題を共有してみたりするのも、ひとつの手立てになりそうです。

 

以上、Instagramに関して「M2MALLETIERから学べるポイント」を整理してみました。ただ彼女たちはInstagramを上手に活用してきたとはいえ、Instagramで人気になること自体が目的だったのではありません。

『Forbes』のインタビューでも語っているように、あくまで「自分たちがよいと思うバッグをつくる」ことを目指していて、よいものを広めるための手段としてInstagramを使ったのです。これを私たちに置き換えてみると、まずは自分自身が日々、良いと思うことを追求してみるといいのかもしれませんね。

 

 

Instagramだけでも見ていて楽しいM2MALLETIERのバッグは、日本ではAP STUDIOやドゥーズィエムクラス、HAUNTなどで手に入ります。気になった方はそちらものぞいてみてください。

この記事の執筆者
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WRITING :
福田ミホ