「また」と読む漢字「叉」と「又」…意味は違うの?同じなの?

明日、9月7日は、歴史小説で知られる大家・吉川英治氏の忌日です。

『宮本武蔵』『太閤記』など、歴史上の英傑を生き生きと描いた作風は「日本の国民文学」と称され、没後の現在も氏の名前が冠された「吉川英治文学賞」が、数々の人気作家を輩出していますね。

「吉川英治文学賞」は、氏が生前に『私本太平記』で毎日芸術大賞を受賞した際の賞金をもとに創設されたもので、氏の没後も、さまざまな組織がその意思を受け継ぎ、「新人賞」や「文庫賞」などの新たな部門も創設され、文学界を盛り立てています。

本日は、吉川英治氏の代表作の一つであり、毎日芸術大賞を受賞した『私本太平記』のヒロイン「藤夜叉(ふじやしゃ)」の名前にちなんで、「」という字にフォーカスした日本語クイズをお届けします。

【問題1】「叉(また)」ってどういう意味?

「叉(また)」という表記の意味あいとして正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。

1:同じような事のくりかえし。ふたたび。

2:更に。その上。

3:先が二つにわかれたもの。ふたまた。

「叉(また)」という表記の意味あいとして正しいものはどれ?
「叉(また)」という表記の意味あいとして正しいものはどれ?

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 3:先が二つにわかれたもの。ふたまた。 です。

では、1と2は?
では、1と2は?

選択肢の1と2は「又(また)」という表記の意味あいになります。

「叉」と「又」、大変似ており、どちらも「また」と読みますが、字の指す意味合いははっきりと違うのです。

ちなみに「藤夜叉」の名にも使用されている「夜叉(やしゃ)」とは、「インド古代から知られる半神半鬼・ヤクシャ」を表現した言葉です。神と鬼、ふたまたの存在であり、この世ならぬもの、という意味合いで「夜叉」という表記があてられたのでしょう。

半人半妖の主人公が活躍する人気漫画『犬夜叉』なども有名ですが、「夜叉」という言葉の意味を知ると、命名に納得いたしますね。

さて、2問目に参りましょう。

【問題2】「指叉」ってなんと読む?

「指叉」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:武具の名前です。

<使用例>

「デザートフォークには、指叉のような形のものもあるわよね。」

読み仮名4文字です。
読み仮名4文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 指叉(さすまた) です。

「刺股(さすまた)」とも表記します。

みなさまご存知、先がふたまたに分かれた武具の名前ですが、「叉」という字の意味をふまえると、「なるほど!」と納得できますね。

***

本日は、「」という字をピックアップし、

・「叉(また)」と「又(また)」の意味の違い

・夜叉(やしゃ)

・指叉(さすまた)

などの言葉についておさらいいたしました。

この記事の執筆者
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Precious.jp編集部 
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参考資料:青梅市吉川英治記念館ウェブサイト/『吉川英治文学賞』(株式会社講談社ウェブサイト)/『百科事典マイペディア』(株式会社平凡社)/『精選版日本国語大辞典』(株式会社小学館)
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ILLUSTRATION :
小出 真朱