日本に古くから存在している「和菓子」。そんな和菓子が、江戸時代などの多色で摺られた精巧な木版画である「錦絵」にも描かれているのはご存知ですか?
老舗和菓子店「とらや」の赤坂店B1F、「虎屋 赤坂ギャラリー」にて、江戸〜明治時代を中心とした菓子関連の錦絵などを集めた、「こんなところにも!『和菓子で楽しむ錦絵』展」が、2021年11月23日(火・祝)までの期間、開催されています。
これは、和菓子文化の伝承と創造の一翼を担うことを目的として設立された、菓子の資料室「虎屋文庫」による2年ぶりの資料展。虎屋文庫所蔵の錦絵が約100点、再現菓子などとともに展示されています。本記事ではその一部をご紹介します。
とらやの貴重な資料展「こんなところにも!『和菓子で楽しむ錦絵』」展
展示されている錦絵では、子どもたちが端午の節句に柏餅を食べるさまや、年末に大勢で餅をつくさまなどが描かれており、1年を通じて和菓子が親しまれていたことがうかがえます。
例えばこちらの「江戸名所百人美女 とりのまち」という錦絵。「とりのまち」とは酉の市のこと。左下に描かれているのは酉の市の縁起物であった、粟餅・黍餅です。今ではなかなか見かけない和菓子のひとつですよね。
柏餅や桜餅など、今でも馴染みのある和菓子はもちろんのこと、錦絵でしか見られないような和菓子もあり、より和菓子のことを深く知る貴重な機会となりそうです。
またこちらの「東海道名所之内 権太坂」という錦絵は、東海道の権太坂(神奈川県)の茶店で、武士がきな粉のぼた餅を楽しんでいる様子が描かれています。
「東海道五十三次」ほか、旅の情景を描いた錦絵では、旅人が街道を行き来し、茶店でおいしそうに餅や饅頭などを食べる姿を見ることができます。
なかには「旅の恥はかき捨て」とばかりに、少々羽目を外している人も描かれているようですよ……? ぜひ会場で探してみてくださいね。
なかには目立たぬ場所に描かれている和菓子もあるそうで、まさに「こんなところにも!」と口に出してしまいそうな、ユニークな展示となっています。
例えばほかにも、江戸時代、死の病と恐れられた疱瘡(天然痘)に効果があると信じられていた「赤い色」。赤一色で摺った菓子袋に赤い色の干菓子を入れたものが見舞いの好適品とされていた時代があります。展示会では、そんな和菓子のひとつの歴史もご紹介。
また、桜の名所隅田川の名物といえば「桜餅」。今回虎屋文庫が所蔵する桜餅関連の作品がすべて展示会にて展示されます。まだお花見には早いですが、ぜひ、行楽気分で覗いてみてくださいね。
「とらや 赤坂店」にて限定菓子の販売も!
また、とらや赤坂店では2021年10月31日(日)までの期間限定で、限定菓子「粟餅(あわもち)」が販売されています。粒のままではなく粉にした粟が使われ、なめらかな口あたりに仕上げられています。
ほかにもとらや赤坂店のフリースペースでは、手摺りの木版製品などの販売もされていますよ。
■展示会概要
「こんなところにも!『和菓子で楽しむ錦絵』展」
開催期間/~2021年11月23日(火・祝)
開館時間/10:00〜17:00
休館日/10月6日(水)、11月6日(土)
入場料/無料
開催場所/虎屋 赤坂ギャラリー(とらや 赤坂店B1F)
入場は無料で、誰でも気軽に楽しむことができるため、ぜひ近くに立ち寄った際には、虎屋 赤坂ギャラリーに足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
今ある和菓子と一緒に楽しめば、和菓子の歴史に想いを馳せることもできるかもしれません。ぜひ「とらや」で、文化の秋をご堪能くださいね。
展示に関する問い合わせ先
- 虎屋文庫
- TEL:03-3408-2402
商品に関する問い合わせ先
- とらや 赤坂店
- TEL:03-3408-2331
- 住所/東京都港区赤坂4-9-22
- TEXT :
- Precious.jp編集部