1年に2回、イタリアのミラノで開催される靴の見本市が「ミカム」(the MICAM)。イタリアの小さな工房からビッグメゾン、靴のメンテナンス道具のメーカーなどなど、靴に関する最新のトレンドを目にすることができる一大イベントだ。2017年9月に開催されたその模様を、スタイリスト・大西陽一がレポートするこの企画。最終回は、ミラノを闊歩する淑女の足元がテーマ。なぜなら、女性の靴のデザインは、昔も今もイタリアが1番で、メンズシューズにも影響を及ぼすほどのパワーを秘めているのだ。ミカム会場、そしてミラノ随一のお洒落ストリートと言われるモンテナポレオーネ通りでスナップした淑女たちを通して、メンズシューズのトレンドを分析する。
2018年のキーワードは「装飾系」
上の写真の淑女は、ミカム会場内のブースでお会いした、イタリアの靴ブランドの方です。美しいお顔と脚についつい目がいってしまいますが(汗)、靴をよーく見てください。アッパー部分に色とりどりの装飾が施されているでしょう? すでにこの流れはメンズにも波及していて、下の写真の靴(イタリアのラグジュアリーブランドの2017年秋冬の商品)は、アッパーに色鮮やかなボタンが付けられています。こうした「装飾系」は、いずれ日本のファッションにも確実に影響を及ぼすと思われます。
サイドゴアブーツが静かなブームに
続いて、モンテナポレオーネ通りでのスナップした黒髪の淑女。シルバーのブーツにキャメルのファー付きコートと、プレシャス感満載です。ファーにもグレーが入っているので、靴のシルバーが悪目立ちしません。さすが、ミラノ・マダム! さて、このブーツにも実はメンズと共通のトレンドがあります。シルバーの反射でわかりにくいですが、こちらのブーツは、サイドにゴムが張られ、脱ぎはきがしやすいサイドゴアタイプなんですね。イギリスではチェルシーブーツとも呼ばれるクラシックなデザインですが、今、このブーツが静かにリバイバル中! メンズの場合、色は黒や茶となりますが、まだお持ちでない方は、お早めに入手を!
ハズしのスニーカーは白から色付きへ!
3人目は、モードな黒レザーにピンクのスニーカーを合わせた淑女の登場です。従来、メンズの世界では、こうした装いのときは黒のブーツと合わせるか、一歩譲ってスニーカーにしても、色はやはり黒でした。ところが、近年のレディースの傾向を見ると、上半身がモード系のときは、足元をスニーカーにすることで、抜け感を出す(ハズす)ようになっています。その場合に一番多いのがホワイトスニーカーでしたが、その進化系として、カラースニカーがトレンドになりつつあるのです。メンズでピンクを合わせるのは少々度胸がいりますが、イエローやグリーンなら取り入れやすいのは? 2018年は華やぐカラーで足元を飾っちゃいましょう!
- TEXT :
- 大西陽一 スタイリスト