天才時計師が情熱を注ぐ「FRANCK MULLER(フランク ミュラー)」ってどんなブランド?

創業者:フランク・ミュラー 
創業地:スイス・ジュネーブ
創業年:1992年

時計_1,高級時計_1,名品_1
フランク・ミュラー氏

■創業当時のエピソード

1958年に時計産業で有名なスイスのラ ショー ド フォンに生まれ、幼少時より時計作りに目覚めたフランク・ミュラー氏。ジュネーブの時計学校への入学後は3年で履修する単位をわずか1年で取得し、最高賞をはじめ数々の優秀賞を授与されるなど、溢れ出るような才能をどんどん開花させていきます。卒業する頃には、著名なコレクターやミュージアムなどから、希少な時計の修理を任されるようになっていたほど。

卒業後は、「ポケットウォッチだけに搭載されていた、複雑な機能を腕時計に搭載する」という夢のようなコンセプトを描いて、着々とその夢を実現させていくようになります。

そうして満を持した1992年に自らの会社を設立。一人でも多くの時計愛好家が彼の製作した時計を身につけることができるようにと、新たな道へと踏み出したのです。

■ブランドの転機

フランク ミュラーが最初の本拠地として、時計の創作工房を構えたのは1986年のこと。そこは永きにわたって貴族に愛され、ロマン派の詩人によって詠われたこともあるという、スイスのジュネーブ市街地からほど近い美しく穏やかな村、ジャントゥの一角にありました。

やがて1992年にブランドを設立すると、その3年後に本拠地を近くの城館「レ・ザマンドリエ」へと移転。時計の創作にふさわしい理想の環境を備えた場所として、ここを「FRANCK MULLER WATCHLAND(ウォッチランド)」と定めたのです。それ以降、この場所から数々の名品が生み出されているのは言うまでもありません。

ここでは、デザインから各パーツの製作、ムーブメントの組み立てから装飾まで一貫して行われているのが特徴。こうして中世から受け継がれてきた時計技術を、若き時計師たちに継承していくという役目を担う場所にもなっています。

時計_2,高級時計_2,名品_2
スイスの著名な建築家エドモン・ファティオにより、1905年に建造されたネオ・ゴシック様式の城館「レ・ザマンドリエ」。
時計_3,高級時計_3,名品_3
時計師たちは自然豊かで静かな環境の中に身を置いて、日々美意識を磨きながらさらなる精緻な技の習得に努めている。

■ブランドのアイコン・定番アイテム

「トノウ カーベックス」

時計_4,高級時計_4,名品_4
クラシカルなスタイルに映えるアヴァンギャルドな文字盤が、個性的な表情を際立たせて。

1992年のブランド誕生とともに開発され、今ではブランドアイコンとして有名な「トノウ カーベックス」。フランク・ミュラー氏がまだ20代の若き時計師だった頃、イタリアのコレクターの女性に言われた「あなたの技術は素晴らしいわ。でも、古めかしい丸型ではなくて、もっと違うデザインの時計を作ってみたら?」という言葉がきっかけとなって生まれたコレクションです。

平面的なトノウ型(樽型)ではなく、どのケース面から見ても緩やかなカーブを描く三次元曲線の立体的なフォルムがこのウォッチの特徴。1920年代のアールデコスタイルを蘇らせながら、現代のスタイリッシュなムードも併せ持っています。

「ロングアイランド」

時計_5,高級時計_5,名品_5
左/2000年に登場して以来、「トノウ カーベックス」と並ぶ人気コレクションへと成長。右/「ロングアイランド」のケースフォルムに、文字盤中央に円を描いた名品ウォッチ「パスティーユ」のデザインをプラス。さらにベビーブルーサファイアを飾った華やかな「ロングアイランド プティ パスティーユ」は、2021年12月に登場。

1920~30年代のアメリカで、富裕層が週末に出かけていたというニューヨーク州のロングアイランド島からインスパイアされたコレクション。文字盤いっぱいに描かれたアラビア数字やスペード型の時分針、中心部に施されたオーバル状の目盛りなど、20世紀初頭の芸術的なスタイルを想起させる、華やかで精緻なディテールを随所に凝らしています。

また、ケースと一体化したラグと、上下に長い流線形のフォルムが、手首に心地よくフィット。手元を品よくドレスアップさせてくれます。

「カラードリーム」

時計_6,高級時計_6,名品_6
パールエナメル加工されたソレイユのギョウシェ、閃光を放つような色とりどりの文字盤など、大胆な文字盤のデザインが際立つコレクション。

フランク・ミュラー氏がバカンスを過ごしていた美しいビーチで、少年や少女たちの楽しそうな様子にインスパイアされたことから生まれたウォッチ。

「笑顔の弾ける幸せな時間というのは、無色透明ではなく色鮮やかなものであるはずだ」という発想が、カラフルに彩られたポップな文字盤のデザインに表現されています。

「クレイジー アワーズ」

時計_7,高級時計_7,名品_7
左/大ぶりながらも手元にフィットする「クレイジー アワーズ」。右/ケースとストラップが一体化したような「ヴァンガード レディ」のフォルムと、「クレイジー アワーズ」のダイヤルが融合した「ヴァンガード レディ クレイジー アワーズ」。

1~12までのインデックスをランダムに並べることで、時の概念を全く新しいものへと変えた「クレイジー アワーズ」。フランク ミュラーらしい遊び心溢れるデザインには、「人生を何かによって決められるのではなく、自分自身で決めることができるように」という願いが込められています。

2019年には、初めてレディースコレクションの「ヴァンガード レディ」に搭載された「ヴァンガード レディ クレイジー アワーズ」が登場。流麗なトノウ型のケースや、クロコダイルとラバーの異素材を合わせたストラップが、華やかな手元を約束します。

■ブランドの新たな取り組み

時計界に革命を起こすような製品を、次々と世に送り出してきたフランク ミュラー。近年はウォッチのみならず、「時」をモチーフにしたジュエリーも展開して好評に。また、ライフスタイル関連の新たなブランドも立ち上げ、話題を集めています。

時計_8,高級時計_8,家_1,家具_1,小物_1
「家族や親しい友人との食事をしている時ほど、幸せな時間は存在しない」というフランク・ミュラー氏の考えから生まれたテーブルウェアのコレクション。

そのひとつが、日常の時間を豊かに彩るためのブランド「FRANCK MULLER FUTURE FORM」として、2014年から開始したテーブルウェアのコレクション。プレートやカトラリー、グラス、リネン類など、アイコニックなビザン数字が際立つデザインでありながら、実はそのすべてにおいて日本人の美意識を投影しているというのも特徴です。

たとえば、磁器は日本六小窯のひとつとされ、1300年の歴史を誇る愛知県瀬戸市でひとつひとつ手作業により作られているもの。ほかにも、カトラリーは世界一の研磨技術を持つといわれる新潟県燕市で、ファブリックは高級織物の産地である群馬県桐生市で…と、日本の伝統技術が駆使されています。

こういった背景も含めて、世界の時計愛好家のみならず、日本でもますます新たなファンを増やしているのです。また、クッションやラグ、家具などといったインテリアにも手を広げつつあり、ブランドはさらに進化している最中です。

時計_9,高級時計_9,家_2,家,小物_2
フランク・ミュラー氏の「幸福な時間の全てに関わりたい」という想いが形になったインテリアの数々。クッションやカーテン、ブランケットなどアイテムも充実。

2017年には、東京の GINZA SIX に「フランク ミュラー パティスリー」を オープン。マロングラッセやパウンドケーキ、テリーヌショコラなど、大人の舌を満足させる深い味わいのスイーツが並びます。日々の暮らしの中で贅沢な時間を楽しんでほしい、というフランク・ミュラー氏の哲学がここにも息づいています。

時計_10,高級時計_10,スイーツ_1,銀座_1
シックな店構えの店内には、自分へのご褒美や友人知人へのギフトにしたい至福のスイーツが品よく並んで。
時計_11,高級時計_11,スイーツ_2,銀座_2
気の利いた手土産にも人気のマロングラッセ。フレーバーは、ビターな甘さにラム酒の薫りが漂うラム、柑橘系の爽快感が印象的なオレンジ、スパイシーなエピス、能登半島の海から採れた塩を使用したソルトの4種類。

FRANCK MULLER(フランク ミュラー)の問い合わせ先

FRANCK MULLER(フランク ミュラー)の公式サイト

FRANCK MULLER(フランク ミュラー)のSNS

WRITING :
河野真理子
EDIT :
谷 花生