雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は『エル ディアリオ』新聞 ジェンダー編集長 アナ・レケナさんの活動をご紹介します。

アナ・レケナさん
『エル ディアリオ』新聞 ジェンダー編集長
マドリッドの大学でジャーナリズムとフェミニズムを研究。’12年からエル ディアリオ紙に勤務。’18年からジェンダー編集長として自社の記事に関して訂正、修正、校正を入れている。6歳の息子とふたり暮らし。

ジェンダー問題を可視化し、男性優位の社会を変えていく

アナさんは自身が創刊から関わっている新聞『エル ディアリオ』の紙面に「ミクロマチスモス」というタイトルのブログを立ち上げた。「マチスモ」とはスペイン語で男性優位主義のこと。暮らしのなかで読者が感じたジェンダー問題を募集し、公開している。

「男性から受けた暴力的な被害だけではなく、例えば女の赤ちゃんのスタイはどうして必ずピンク色なのか、とか、製品に『ママみたいに美人』というメッセージがあった、とか、さまざまな事例を取り上げて、その是非を問いかけます。

当時は、ほかのメディアで一般の人がジェンダー問題について意見できる場がなかったので、大変な反響がありました。そのあたりから少しずつ、世の中も変わってきた実感があります。わが社も’18年に記事内のジェンダー表現を監修するポストを設けました。『ジェンダー編集長』という私の肩書きがそれです」

同じく’18年に、スペインで初めての(※)女性ストが行われた際には、女性ジャーナリストに声をかけてマニュフェストを表明。8000人以上に及んだ署名の先頭は、アナさんのサインである。

「全国規模でメディアの女性関係者を集め、共通のマニュフェストを表明したというのは史上初のこと。非常に貴重な経験でした」

性差ゆえに起こる日常のなかの差別。「女性がノーと言わなければ何をしてもいい」というような数々の扱いを、アナさんは小さな一歩で変えていこうとしている。

「変革の最初は、女性同士のコミュニケーション。恥じらいや恐怖を共有し、罪の意識からも自由になること。私たちの奥にもある偏見を変え、別の社会システムをつくる。道を開いてゆかなくては」

【SDGsの現場から】

●新刊本のサイン会には、多くの女性読者の姿が

インタビュー_1
ブックフェアでの、新著『Feminismo Vibrante(震えるフェミニズム)』のサイン会。

●仕事と家庭の両立のためのイベントにパネリストとして参加

インタビュー_2
子育て中の女性の権利を主張し、支援する民間団体と行政機関の共催イベントに登壇。

※女性ストとは…3月8日の国際女性デーに合わせ、各国で活動が実施されている。’18年のスペインでは530万人の女性が24時間ストライキを敢行。

PHOTO :
Javier Peñas
EDIT :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
Yuki Kobayashi