雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、Hibana代表取締役 松田直子さんの活動をご紹介します。
京都の森と人を元気にしたい、木材エネルギーの普及に努める
学生時代、フィリピンやマレーシアの森林伐採に日本が深く関わっていることを知って、「日本人が自分の地元の木を使えば海外の人に迷惑をかけなくていいのに、と単純に思った」のが、松田さんが木材エネルギーで起業するきっかけになった。木質バイオマス(※)の利用を促すことで、日本の森をもっと元気にしたい、と。
「森を健全に保つためには、木を切り、手入れすることが必要です。木材エネルギーを燃やして出たCO2は、木を植えれば吸収されて、プラスマイナスゼロに。カーボンニュートラルの原則です」
最初は、京都の森の木で薪をつくり、薪ストーブユーザーに地元の薪を使ってほしいと売り込んだ。今は、間伐材や廃材などを圧縮した固形燃料、ペレットの普及に力を入れている。
接着剤や化学物質を使わないペレットを燃料とするペレットストーブは、ヨーロッパでは一般的だが、彼女が取り扱い始めた10数年前には、国産メーカーは3社ほどで、周囲の反応も今ひとつだった。ところが、京都市が環境モデル都市として公設民営型でペレット工場をつくることになり、松田さんに声がかかる。
「啓発のため、多くのことをやりました。製材屋さんや木材従事者の方々と、一緒に体験型イベントの開催、ペレットストーブのユーザー調査や案内所の運営、ペレット取り扱い先の開拓、学校向けの環境教材の作成など。環境や木質エネルギー関連の企画がメインですね」
新たに手掛け始めたのが「森林ツアー」。京都市内の気軽に登れる山へ行って、森の中を歩く。
「その名も『リンカンガッコウ』。火育、木育も学びに取り入れたい。森の楽しさ、大切さを、大人にも子供にも知ってもらえれば」
【SDGsの現場から】
●森の産業を守り新たな仕事をつくり出す
●店舗の「ヒノコ」で扱う木質バイオマスは京都の森が故郷
※木質バイオマスとは…木材に由来する再生可能な資源。間伐材を薪や木炭、ペレットなどにしてエネルギー利用することは、山村の活性化にもつながる。
- PHOTO :
- 香西ジュン
- WRITING :
- 剣持亜弥
- EDIT :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- 木佐貫久代