「三一」って「さんいち」以外になんと読む?失礼ですが、歴史のある言葉です!
明日は1月11日…「鏡開き」の日です。
新年の年神さまにおそなえした「鏡餅」を、開いていただく日になります。
この場合の「開いて」は、手や木づちで鏡餅を割り開くことを指します。昔は、年末に備えた鏡餅がこの頃には乾燥していたので、刃物を使わず割り開く事ができたのです。
「開く」という表現には、年神様の宿る場所でもあった鏡餅を「切る」「割る」などと表現するのは縁起が悪くよろしくない、という考え方もあります。末広がりを感じさせる「開く」ならば、縁起が良いですよね?古くからの日本語には、先人の細やかな配慮が感じられ、興味深いですね。
さて、本日は、1月11日、と、「1」の並ぶ日にちなんで、「一」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「一瞥」ってなんと読む?
「一瞥」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「ちらっと見ること。」という意味の言葉です。
<使用例>
「一瞥しただけでは、この作品の真価はわからないと思いますが…。」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 一瞥(いちべつ) です。
「瞥(べつ)」は難しい字ですが、「一瞥(いちべつ)」という言葉は、一言で「ちらっと見る」という行為を表現できるため、会話や文学でもしばしば使用される表現です。
「ちらっと見る」ということは、「興味無さそうな見方をする」「冷たく一見する」というニュアンスも表現できますので、状況を広く表現できる簡潔な単語と言えるでしょう。
「冷たく一見する」というニュアンスでは「一瞥をくれる」という表現もあります。
大人として、正しく読めることはもちろん、上手に使いこなしたい言葉です。
さて、2問目に参りましょう。
【問題2】「三一」って「さんいち」以外になんと読む?
「三一」の、人を卑しめていう言葉としての読み方をお答えください。
ヒント:「(丁半賭博などで)二つのさいころをふって三と一の目が出ること。」という意味も表します。
<使用例>
(時代劇で)「てめえのような三一侍には、一生、縁の無いしろものさ!」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 三一(さんぴん) です。
現代でも、任侠映画などで、相手を卑しめる暴言に「ド三一(どさんぴん)」などが登場する例がございます。
このように「三一(さんぴん)」が「相手を卑しめる言葉」となったのは、江戸時代の下級武士の年給で最も低いのが、当時の通貨単位で「三両一分(さんりょういちぶ)」であった事に由来します。
例文にあげた「三一侍(さんぴんざむらい)」は、「身分が低い」ことを揶揄し、卑しめる表現です。
大人の会話で実際に使用する機会は無いと思いますが、日本語の知識としては、面白い由来を持つ言葉ですので、ご紹介いたしました。
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本日は、明日・1月11日の『鏡開き』のトリビアをお送りしつつ、日付にちなんだ「一」という字の入った日本語から、
・一瞥(いちべつ)
・三一(さんぴん)
などの読み方、意味、背景などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『精選版日本国語大辞典』(株式会社小学館)//『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱