“タンブール”と共に、「ルイ・ヴィトン」のウォッチメイキングを象徴するアイコン“エスカル”。2014年に誕生して以来この10年間、複雑機構を搭載したコンプリケーションのみで展開してきたこのコレクションから、初めて時刻表示のみのシンプル&エレガントなモデルが発表されました!
大人の女性の日常をエレガントに照らす品格ウォッチがここに!
これが「ルイ・ヴィトン」の“エスカル”? ── 時計が好きな女性ならこの新作を見て、少し驚かれたのではないでしょうか。そう、“エスカル”といえば、時針の代わりに文字盤に配したカラフルなハンドペインティングで24都市の時間がひと目でわかる「ワールドタイム」をはじめ、超絶技巧を駆使したコンプリケーションウォッチを展開するコレクションとして知られてきました。
自由で豊かな発想で、独創的なウォッチメイキングが持ち味であり大きな魅力だった“エスカル”ですが、その「芸術品」に値するコンプリケーションは、一般的な女性にとっては現実的なものではなかったことでしょう。しかし今回、「ルイ・ヴィトン」は“エスカル”に、デイリーに寄り添うラグジュアリーウォッチという新たなアイデンティティを授けたのです。
新たな“エスカル”のベースは、トランク製造におけるメゾンの歴史と、比類なきサヴォアフェール。
過去10年間に製作されてきた“エスカル”と 同様、ケースとストラップを繋ぐラグは、アイコニックな「ルイ・ヴィトン」のトランクを補強する真鍮製のブラケットやコーナーの角張ったフォルム、リベット留めされたパーツを映し出しています。
こうした真鍮による補強は、今回完全にリデザインされたダイヤルにも反映されています。
15分ごとに配されているポリッシュゴールド製のインデックスは、角張ったリベットがモチーフ。
また、ゴールドのスタッズでアクセントをつけた目盛り表示は、「ルイ・ヴィトン」のトランクの外側に沿って並ぶロジンのビス(鋲)を想起させます。
細部にまで宿るメゾンの美学と一流の矜持がときめきを誘って
新たな“エスカル”に込められたメゾンの情熱、そして豊潤なクリエイティビティはあらゆる所に息づき、それをひとつひとつ愛でることができるのは、このウォッチのオーナーの特権でしょう。例えば八角形のリュウズ。その先端部は、トランクのリベットの形を反映したドーム状になっており、「ルイ・ヴィトン ロゴ」があしらわれています。
まるで宝探しのようにディテールに目を凝らすと、秒針の先端がダイヤルの滑らかな曲面に沿うように、わずかにカーブを描いていることに気づくでしょう。
このことによって見間違える可能性を最小限に抑え、高い精度で秒を読むことができます。ここまでこだわり抜いた精度への追求を支えるのが、非常に高度な時計の精度テスト「クロノメーター」認定済みのムーブメント。その美しい仕上げはサファイアクリスタルのケースバック越しに愛でることができます。
また、すべてのタイムピースに固有のシリアルナンバーが与えられている“エスカル”。そのナンバーが刻印された細い楕円形の銘板“カルトゥーシュ”が 透明な裏蓋の周囲に、対照的なカラーのゴールドでリベット留めされています。そう、それは「ルイ・ヴィトン」のトランクを識別するために刻印されたシリアルナンバープレートへのオマージュ。
残念ながら画像をお届けできないのですが、新たな“エスカル”はモノグラム・キャンバスのトランクを彷彿とさせる専用のウォッチケースに収められており、さまざまなアプローチで女心をくすぐります。
繊細なテクスチャーのダイヤルを抱くローズゴールドモデル
「ルイ・ヴィトン」のモノグラム・キャンバスの細かいグレイン(しぼ)のある表面を再現した新しい質感が、個性と洗練を醸し出すダイヤル。金属製のダイヤルの上でキャンバスのしなやかさと触感を完璧に表現するため、特注のダイヤルスタンプはいくつかの素材で試作を重ね、開発・改良されたというメゾンのこだわりと美学がここにも!
メテオライトの神秘的な輝きが印象的なプラチナモデル
プラチナモデルのダイヤルに採用されたのは、希少なメテオライト(隕石)。写真ではマニュッシュな雰囲気に見えるかもしれませんが、実際に手にすると、クールなフェミニンさや色香が漂う非凡な存在感にときめきを覚えるはず! 自然の鉱物であるメテオライトなので、他に1本と同じ模様のものは存在しない「すべてがユニークピース」というプレシャスなモデルです。
コレクション誕生から10年という大きな節目の年に、新たな物語を紡ぎ始めた“エスカル”。シンプルな3針ウォッチだからこそ細部に宿るメゾンの美学が光り、「ラグジュアリーウォッチ」の再定義を果たしました。「ルイ・ヴィトン」のウォッチメイキングがまた、さらなる高みへと進化していくことを予感させる名品が、ここに誕生しました。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- TEXT :
- 岡村佳代さん 時計&ジュエリージャーナリスト