ビジネスシーンや、お祝いの席でのスピーチで、目にしたり聞いたりすることのある「ご厚情」。「ご」が付いているので敬語表現だとわかりますね。今日は“スマートな敬語美人”になれる「厚情」の使い方を見ていきましょう。
【目次】
まずは「厚情」の基礎知識をしっかり把握
■「厚情」はなんと読む?
「厚情」は「こうじょう」と読みます。漢音(漢字の音読みのひとつ)では「こうせい」あるいは「こうぜい」となりますが、これは古い読み方なので、現代語では「こうじょう」となります。
■「意味」を深掘りしてみると…
「厚いなさけ」や「心からの深い思いやりの気持ち」を表す「厚情」。ビジネス向きではないようにも感じられますが、使用するシチュエーションやケースを想像してみると、ビジネスシーンでも大いに活躍してくれる単語です。
■「ご」をつければ敬語に? 誰に対して使える?
接頭語の「ご」をつけて「ご厚情」とすれば立派な尊敬表現に。「ご厚情」は取引先や恩師、両親など、目上の人から受けた「厚い情け」や「深い思いやり」を意味します。「厚情」を使用するシーンを考えてみると、多くの場合「ご厚情」として用いるのがふさわしいとわかるはず。ただし、上司など社内の目上の人には、「厚情」自体、適切な表現ではありません。
「ご厚情」を使った「例文」7選
それでは、「ご厚情」を用いた例文でニュアンスを把握してみましょう。
■1:「昨年中は格別なご厚情を賜りまして、誠にありがとうございました」
■2:「貴殿のご厚情に感謝の言葉もございません」
■3:「皆さまのご厚情に、心より御礼申し上げます」
■4:「今後も変わらずご厚情賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします」
■5:「励ましのお言葉をはじめ数々ご配慮いただき、〇〇様のご厚情に痛み入ります」
■6:「〇〇部へ異動の運びとなりました。これまで大変なご厚情を賜りましたことに感謝申し上げます」
■7:「ご厚情にお応えできますよう精進してまいります」
年賀状やお礼状、スピーチなどで使える例文を挙げてみました。■2と■5は個人向きなので、受けた厚情を具体的に示すと謝意が伝わりやすくなります。
「厚情」のさまざまな類語もチェック!
■「芳情」
「ほうじょう」と読み、他人を敬って、その思いやりの心を示します。
「ご芳情に感謝いたします」などと使います。
■「厚誼」
「こうぎ」と読み、情愛のこもった親しいつきあいや、厚いよしみを示します。
「ご厚誼を賜り痛み入ります」などと使います。
■「厚志」
「こうし」と読み、深い思いやりの気持ちや、心のこもった親切を示します。
「ご厚志ありがたく存じます」などと使います。
■「厚意」
「こうい」と読み、思いやりのある心や、他人が自分に示してくれた気持ちについていいます。
「ご厚意に感謝しております」や「ご厚意にすがらざるを得ません」などと使います。
■「恩情」
「おんじょう」と読み、情け深い心や慈しみの心を示します。
「ご恩情に感謝の言葉をささげます」や「恩情に富んだ人柄で」などと使います。
「ご厚情」の使用上の注意
さまざまなシーンで使えて類語も多い「ご厚情」。ビジネスシーンででも重宝するだけに、陥りやすい間違いフレーズを紹介しておきます。
「厚情」自体が深く厚い「心」や「気持ち」「情」を示しているので、下記の例は重複表現に。二重敬語や重複表現など、トゥーマッチな敬語は厳禁なので気をつけて!
×ご厚情のお気持ち ×深いご厚情 ×ご厚情心
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本日学んだのは、ビジネスシーンで使うと“デキる雰囲気”を醸す「厚情」。フォーマルなシーンでよく使われるフレーズですが、お礼状など、短い文面で使うととても効果的なので覚えておくといいですね。
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- Precious.jp編集部
- 『敬語マニュアル』(南雲堂)/『デジタル大辞泉』(小学館) :