「差し出がましい」は、「差し出がましいようですが……」のように、少々の無礼は承知で「あえて」忠告しようとする際に、クッション言葉のように使われることが多い言葉です。そもそもの意味を理解して、正しく使いましょう。

【目次】

「差し出がましい」ってどういうこと?
「差し出がましい」ってどういうこと?

まずは「差し出がましい」の基礎知識から

『日本国語大辞典』によれば、「差し出がましい」は【度を越えて他人のことにかかわるようだ。でしゃばるようである】といった意味をもつ言葉です。語源となる「差し出る」という動詞は【身の程をわきまえずに出過ぎた行動をする】という意味を持ち、ここに接尾語「がましい」がついた形容詞です。

3つのシーン別にそのまま使える「例文」3選

■:1〈依頼・忠告・進言の前に〉「差し出がましいことを申しますが、その企画は現状を反映しきれていないのではないでしょうか」

目上の方に対し、少々の無礼は承知しつつも、組織や相手のためにあえてはっきりと意見表明しなければならないときがあるものです。あるいはお願い事があるときにも、クッション言葉のように使います。

「差し出がましい」という言葉自体は敬語表現ではありませんので、「差し出がましいお願いで恐縮ですが……」など、へりくだった態度を示すことが必要です。

■:2〈謝罪の際に〉「差し出がましいことを致しました。申し訳ございません」

出過ぎた振る舞いを認め、謝罪する場面で使います。「申し訳ございません。差し出がましい発言でした」など、謝罪の言葉と共に使います。

■:3部下の出過ぎた振る舞いをたしなめる「お客様に対して、差し出がましい発言は控えなさい」

上司が部下に対して、あるいは目上の人から目下の人に対して、立場を超えた言動を指摘する際に使われます。多くは反省や謝罪を促す言葉と組み合わせて使われます。

「おこがましい」と「差し出がましい」の「違い」は?

「おこがましい」について、『デジタル大辞泉』は【身の程をわきまえない。差し出がましい。なまいきだ】と記載しています。つまり、「おこがましい」と 「差し出がましい」は、ほぼ同じ意味です。ただし、「おこがましい」には【いかにもばかばかしい】という意味があり、多くは自分の行動に対し、謙遜の意味も込めて使われます。

同じような意味で使える「言い換え表現」

■「おこまがしい」■「でしゃばった」■「厚かましい」■「僭越ながら」

「でしゃばった」「厚かましい」は、「差し出がましい」よりもややストレートな印象を与えます。「僭越ながら」は、「差し出がましい」よりも固い表現となり、式典でのスピーチなどで使われます。自分自身の行いにのみ使われ、依頼の際のクッション言葉として使用することはありません。

ビジネスシーンで使うときの「注意点」は?

「差し出がましい」という言葉自体は敬語表現ではありません。そのため、目上の方に対して使う際は、「差し出がましいお願いで恐縮ですが……」など、敬語表現にして使用します。

また、内容面で無礼になりかねないときほど、言葉遣いは上品にする必要があります。状況次第では、相手の面子をつぶしかねない言葉でもあるため、場所や同席する人など、慎重に配慮して使いましょう。

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いかがでしたか? 「差し出がましい」は多くの場合、自分の振る舞いに対し、謙虚に詫びる気持ちを込め、使われる言葉です。このひと言を添えることで印象が和らぎ、目上の方から「生意気」と思われずに済むかもしれません。「わきまえた」大人として、覚えておきたい言葉です。

この記事の執筆者
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