【目次】

【「お取り計らい」とは?「読み方」「意味」】

「読み方」

「お取り計らい」とは「おとりはからい」と読みます。

■「意味」

「お取り計らい」は、動詞「取り計らう」が名詞化した「取り計らい」に、接頭語の「お」をつけて、相手への敬意を強めた言葉です。では「取り計らい」がどんな意味かといえば、「物事がうまくいくように手段を講じること」「いろいろと考えてことを処理すること」「世話すること」。

つまり、「お取り計らい」は、相手が自分(たち)のために、「物事がうまくいくよう気遣ってくれること」、「あれこれと便宜を図り対処してくれること」に対し、敬意を表した言葉です。


【どんなシーンで使える?主な用途】

ビジネスシーンでは、相手に「状況に応じて善処していただきたい」あるいは「柔軟な判断を求めたい」ときによく使われる表現です。また、相手がしてくれた対応に感謝する際にも用いられます。

■1:相手に何かを依頼するとき

「案件がうまく進むよう、お力添えをいただけないでしょうか」という意図を込め、多くの場合「よろしくお願いします」という言葉と一緒に使われます。ややかしこまった敬語表現として印象をやわらげ、相手への敬意も表現できます。

■2:すでにしてもらった相手の言動に感謝するとき

「案件がうまく進むよう対応してくださり、ありがとうございました」という気持ちを込め、基本的には過去の相手の行動や言葉に対して使います。


【ビジネスメール、会話で使える例文】

「お取り計らい」は正しい敬語表現ですので、敬意を表すべき相手、目上の人にも使うことができます。以下の「例文1〜3」は依頼の場面。「例文4〜6」は感謝を伝える場面での使用例です。

また、「お取り計らい」のあとに加えられている「~のほど」は、「断定を避け、表現を和らげる」ために使われる表現です。「ご確認のほど、お願いします」「ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます」などと、依頼の形で無意識に使っている人も多いのでは? 依頼の内容が、より丁寧に柔らかく相手に伝わるので、目上の方にも適切な表現ですが、多用するとしつこい印象になるので気を付けましょう。メール文では、漢字でもひらがなでも間違いではありません。文章全体のバランスを見ながら使い分けて。

■1:ご多忙のところ恐縮ですが、日程調整の件、お取り計らいのほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

■2:お願いばかりで心苦しいのですが、お取り計らい賜りますよう、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

■3:二転三転してしまい恐縮ですが、なにとぞお取り計らいくださいますようお願いたします。

■4:スムーズにお取り計らいくださいましたこと、本当に感謝しております。

■5:このたびはお取り計らいを賜り、感謝の言葉もありません。おかげさまですべて首尾よく運びました。

■6:このたびはタイトなスケジュールのなか、お取り計らいいただき、本当にありがとうございます。

「お取り計らい」に呼応する動詞としては、「くださる」「いただく」「賜る」など。相手との関係を考慮し、使い分けましょう。


【「類語」「言い換え表現」は?】

「お取り計らい」には「いろいろと考えてことを処理する。細々とお世話する」という意味も含まれています。そのため、この言葉には「敬意が感じられない」と思う人もいるようです。また、会話では少し堅苦しい印象を与えてしまうかもしれません。日常的なやり取りであれば「ご対応お願いできますか?」「お力添えください」などの表現のほうが、意図が伝わりやすい場面もあります。類語を覚えておいて、依頼事をいつも同じフレーズで済ませることがないよう気を付けましょう。

■お心遣い・お気遣い

■ご配慮

■お力添え

■善処

■ご尽力

■ご調整

■ご高配

■ご手配


【「お取り計らい」を使う際の注意点】

■1: 直接依頼を切り出す前に、クッション言葉を置く。

直接的な依頼の印象を和らげるために、「お忙しいところ恐縮ですが」「お手数ですが」などのクッション言葉を使用するのはひとつの方法です。相手への敬意も表現できます。

■2:相手との関係性や状況を考慮する

相手によっては、「お取り計らい」に事務的なニュアンスを感じ、こちらの敬意が十分に伝わらないこともあるようです。反対に、社内の同僚や気軽なやり取りでは堅苦しく感じられるケースもあります。 特に緊急度が高いシーンでは、別の表現を選ぶほうがストレートに意図が伝わることもあるかもしれません。

■3:具体的な依頼内容を明示する

「丁寧に表現しよう」と相手を気遣うあまり、こちらから伝えたい本意がぼやけてしまうこと、ありますよね。「お取り計らい」を使って依頼するときも、具体的にどう対処してほしいのか、なぜその対応が必要かなどをあわせて示すことが大切です。 差し迫った依頼の際は、返答の期限を明記することも必要ですね。

■4:会話では、柔らかな印象の類語を使用する。

「お取り計らい」を会話で使用するのは間違いではありませんが、どちらかと言えば、文書で使われることが多い言葉であることを頭に留めておきましょう。会話では、「お力添え」「お気遣い」などのほうが自然に感じられる場面も多いのではないでしょうか。

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「お取り計らい」という言葉は、頼み事をするときやお礼を言う際に使える言葉です。「ご手配いただけますか」「ご対応いただけますか」よりも、柔らかくて敬意をこめた言い回しになりますから、正しい使い方を覚えておくと、とても便利。ただし、日常的な会話で使用すると、やや遠回しな印象に。敬意を払いたい相手に不快な思いをさせることなく、なおかつ正しく意図を伝え、円滑なコミュニケーションを進めていきたいものですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) :