■4:ベルギー初の女王として期待される!エリザベート・ド・ベルジック王女

エリザベート・ド・ベルジック王女
エリザベート・ド・ベルジック王女

そして、べルギーのエリザベート・ド・ベルジック王女(ブラバント女公)。2001年10月21日生まれの現在20歳。弟2人、妹1人の4人兄弟だが、中世に定められた王位継承に関する「サリカ法」が1998年に廃止されたため、男女関係なく、第1子が王位継承者となる。そのため、即位すると、ベルギー初の女王として歴史を彩ることになる。

母親のマチルド王妃をはじめとするファミリーで

母親のマチルド王妃は、ベルギーが初めて迎えた自国出身の妃で、国民に絶大な人気がある。貴族の出自だが、言語聴覚士として働いていたこともあり、公用語のフランス語、オランダ語、英語、イタリア語が話せるマルチリンガル。エリザベート王女も母親と同様、語学が得意でフランス語、オランダ語、英語、ドイツ語が堪能だ。

初の公務で堂々としたスピーチを披露

王女として初めて公の場に登場したのは2011年、10歳でゲント大学病院新棟の開院式典に出席。初公務はその1年後。ベルギー北西部のエノー州にあるプロウグステエールで開かれた第一次世界大戦戦没者追悼式典で11歳にして多言語でスピーチを行い、世界の人々を感嘆させた。マチルド王妃譲りの優れた言語能力は、公用語であるフラマン語、フランス語、ドイツ語で行われ、完璧だったと言われている。女王としての帝王学は、本人も周りも、早くから意識していたようだ。

王立士官学校の訓練プログラムに参加し話題に

ブリュッセルの中学校を卒業後、スペインのレオノール王女と同様に、ヨーロッパ王室御用達のUWC アトランティック・カレッジ(United World College of the Atlantic)に留学。2020年に卒業後、ベルギー軍の階級取得のため、王立士官学校の訓練プログラムに参加し注目を集める。これは、ベルギー王室の伝統のひとつでもある。

王立士官学校の訓練プログラムに参加したエリザベート・ド・ベルジック王女

迷彩服に身を包み、ライフル射撃など戦術訓練を受け、社会科学と軍事化学を学んだという。

真面目な姿勢が国民から支持される次世代を担う王女

その後2021年からオックスフォード大学リンカーン・カレッジに入学に進学、歴史学と政治学を専攻する。まさに文武両道、才色兼備のプリンセスなのである。大学進学と同時に、公務も行う真面目さは、国民に絶大な支持を受けている。

素朴な着こなしも共感を得ている

素朴な着こなしが人気をよぶ自然体なエリザベート・ド・ベルジック王女

日常に身につけているのは、白のランニングトップスにワークパンツを合わせたスタイルや、ブルーのロマンチックなシャーリングブラウスにホワイトジーンズのコーディネートなど、カジュアルで清潔感のある着こなしが多い。

さりげないスタイルでも品の良さが漂ってくるのは、備わったやんごとなき雰囲気があるからだろうか。

18歳の誕生日に開催された祝賀会で凛々しい姿を披露

公式の場に出席することが多くなったエリザベット王女は、次第にフェミニンなファッションへと変化を遂げている。

フェミニンなスタイルを披露したエリザベート・ド・ベルジック王女

18歳の祝賀会でスピーチしていた時の、ベルト付きの白のコートドレスは比較的かっちりしているが、公式行事で最近多く見られるのは、シフォンの花柄プリントのドレスにおしゃれで華やかなハイヒールなど、足元までスタイリッシュに決めたフェミンニンなスタイルだ。

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品を感じさせる美しい着こなしが話題に

プリントのシフォンドレスにターバン姿など、華やかなオーラを振り巻く姿も、若々しいがとても品がある。そしてマチルド妃に似て、ピンクなどのフェミニンカラーがとても良くお似合いだ。

アクティブなダウンコートやチノパンツ、デニムを愛用する親しみやすい若者の定番スタイルから、将来の女王、ソーシャライトとしての品格を漂わせる王道のロマンチックスタイルの両方を巧みに着分ける姿が素晴らしい。

サナギが蝶々に変身するように、美しい母親の佳きテーストに育まれ、そのなかから自然に自分らしさが顔を覗かせ、個性を作っていく。国の頂点にあり、グローバルな存在であり、リーダーでもある女王にふさわしい凛々しくも美しい装いが、すでに目に浮かんでくる成長ぶりだ。


今回注目した4人に共通するのは、SNSを駆使する現代を体現する世代であるということ。公私ともに、インスタグラムでリアルタイムに発信されているので、王族をフォローするという楽しみも生まれてきた。若い世代ならではの、王室に親しみを持つように自然に身についた戦略なのかもしれない。

とはいえ、脈々と続く王家の血筋を引く尊厳も身につき、親世代にはなかった革新的な王室になることは確かだろう。次世代を担う才色兼備のクイーンたちのティアラやローブデコルテ姿を早く拝見したいと、心がときめく。

ひょっとしたら、コレクションのフロントローにプリンセスやクイーンが座る日が来るかもしれない。王室の発信なども大きく変化するであろうことを考えると、今から期待で胸が膨らんでくる。21世紀のヒロインたちが溌剌と、もうそこまで育ってきているのだ。

この記事の執筆者
1987年、ザ・ウールマーク・カンパニー婦人服ディレクターとしてジャパンウールコレクションをプロデュース。退任後パリ、ミラノ、ロンドン、マドリードなど世界のコレクションを取材開始。朝日、毎日、日経など新聞でコレクション情報を掲載。女性誌にもソーシャライツやブランドストーリーなどを連載。毎シーズン2回開催するコレクショントレンドセミナーは、日本最大の来場者数を誇る。好きなもの:ワンピースドレス、タイトスカート、映画『男と女』のアナーク・エーメ、映画『ワイルドバンチ』のウォーレン・オーツ、村上春樹、須賀敦子、山田詠美、トム・フォード、沢木耕太郎の映画評論、アーネスト・ヘミングウエイの『エデンの園』、フランソワーズ ・サガン、キース・リチャーズ、ミウッチャ・プラダ、シャンパン、ワインは“ジンファンデル”、福島屋、自転車、海沿いの家、犬、パリ、ロンドンのウェイトローズ(スーパー)
PHOTO :
Getty Images
WRITING :
藤岡篤子
EDIT :
石原あや乃