【目次】
- 「いらしてください」は正しい敬語?「意味」
- 「いらしてください」を「漢字」で書くと?
- ビジネスで使える「いらしてください」例文
- 「いらしてください」と似た意味で使える「言い換え」表現は?
- 「いらしてください」と言われたときの返事と「注意点」
【「いらしてください」は正しい敬語?「意味」】
「いらしてください」は、「いらっしゃってください」が略された言葉です。
「いらっしゃる」は、「来る」「いる」「行く」と、3つの意味をもつ尊敬語です。そして、敬語を相手の行為について用いるためには、必ず「いらっしゃって+ください」のように、「尊敬語+丁寧語」のかたちにするのがルール。
「ください」は依頼や懇願の意を表す補助動詞ですから、「いらして+ください」とすることで、敬意を表しつつこちらの希望を丁寧に相手に伝えることができます。
複数の敬語が組み合わさっているためか、「いらしてください」を誤用だと勘違いする人もいるようですが、「尊敬語+ください」は正しい敬語表現です。
■意味1:「来てください」
■意味2:「いてください」
■意味3:「行ってください」
【「いらしてください」を「漢字」で書くと?】
「いらっしゃる」の語源は「入らせらる」です。このことから「入らっしゃる」と表記できますが、現在では慣習的にひらがなが正しい表記となっています。また、「居らっしゃる」と書くのは誤りです。
【ビジネスで使える「いらしてください」例文】
「いらっしゃる」は、「来る」「いる」「行く」の尊敬語なので、「いらしてください」にも、それぞれの使い方があります。具体的に見てみましょう。
■意味1:「ご都合が合えばぜひいらしてくださいね」
■意味1:「打ち合わせは弊社までいらしていただけますと幸いです」
■意味2:「どうぞいつまでもお元気でいらしてください」
■意味2:「課長がまもなく参りますので、こちらにいらしてくださいませ」
■意味3:「当日はあいにくのお天気のようです。お気を付けていらしてくださいね」
■意味3:「○○さんがお呼びです。会議室にいらしていただけますか」
【「いらしてください」と似た意味で使える「言い換え」表現は?】
「いらしてください」は「来てください」の意味で使われることが多い表現です。言い換え表現をご紹介しましょう。
■お越しください ■お運びください
「お越しください」は、「来る」の尊敬語「お越しになる」を使った表現で、「いらしてください」よりもやや丁寧な印象があります。ビジネスシーンや公式な案内などでは、こちらの表現がよく使われます。
■お立ち寄りください
「お立ち寄りください」は、「途中で少し来る」「気軽に訪れる」というニュアンスを含む表現です。イベントや店舗の案内など、カジュアルで親しみのある場面に向いています。
■ご来訪(来社・来店・来所)ください ■お待ちしております
店舗や会社など、訪問先がはっきりしている場合は、目的に応じた言葉を使うとより具体的になります。
■お出かけください ■おいでください
「おいでください」は、「来る」「行く」「いる」を表す尊敬語「おいでになる」を使った表現です。ただし、やや口語的で柔らかい印象があり、ビジネス文書ではあまり使われないこともあります。接客や日常会話など、親しみを込めた場面で用いられることが多いでしょう。
【「いらしてください」と言われたときの返事と「注意点」】
「いらしてください」と言われた場合は、相手の依頼や招待を受ける意思を丁寧に伝える返答をするのが基本です。状況や関係性に応じて、適切な敬語表現を使い分けると印象がよくなります。
【メールで使える返事早見表】
| シーン | 返答例 | ポイント |
|---|---|---|
| ビジネス(基本) | ありがとうございます。 それでは後ほど伺います。 |
「伺う」は「行く」の謙譲語で、 もっとも一般的な丁寧表現 |
| ビジネス(日時指定あり) | 承知しました。 明日そちらへ参ります。 |
「参る」は「行く」の謙譲語。 やや改まった印象 |
| ビジネス(案内されたとき) | ご案内ありがとうございます。 指定の時間に伺います。 |
案内への感謝+訪問意思を伝える |
| 日程確認が必要 | ありがとうございます。日程を確認のうえ、改めてご連絡いたします。 | すぐ確約できない場合の丁寧な返答 |
| 調整してから返答 | ぜひ伺いたいと思います。 都合を調整してご連絡いたします。 |
前向きな意思を伝える |
| 接客・カジュアル | ありがとうございます。 ぜひ伺います。 |
柔らかい印象の表現 |
| 親しい関係 | 今度お店に伺いますね。 | ビジネスほど堅くない会話表現 |
| 丁寧に断る | お声がけありがとうございます。 あいにくその日は都合がつかず、 今回は伺えません。 |
まず感謝→事情説明 |
| 予定が合わない | せっかくのお誘いですが、 今回は難しそうです。 別の機会にぜひお願いいたします。 |
角の立たない断り方 |
【その場で使えるひと言返事の早見表】
| 状況 | 一言の返事 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 訪問する意思を伝える | それでは伺います。 | 最も一般的な丁寧表現 |
| 丁寧に承諾する | 承知しました。伺います。 | ビジネスメール・会話で使いやすい |
| 改まった場面 | それでは参ります。 | ややかしこまった表現 |
| 予定を確認する | 確認のうえ、 改めてご連絡いたします。 |
すぐ確約できないとき |
| 前向きに検討 | ぜひ伺いたいと思います。 | 柔らかい印象 |
| カジュアル | ありがとうございます。伺います。 | 接客・知人との会話 |
| 丁寧に断る | 申し訳ありませんが今回は伺えません。 | 基本的な断り方 |
| 別の機会を示す | また機会がありましたら伺います。 | 角の立たない返答 |
詳しく見ていきましょう。
■ビジネスシーンでの基本的な返答
もっとも一般的なのは、「伺います」「参ります」といった謙譲語を用いた返答です。自分の行動をへりくだって表現することで、相手への敬意を示すことができます。
例文
・「ありがとうございます。それでは後ほど伺います。」
・「承知しました。明日そちらへ参ります。」
・「ご案内ありがとうございます。指定の時間に伺います。」
「伺う」「参る」はどちらも「行く」の謙譲語ですが、ビジネスでは「伺います」がやや柔らかく一般的に使われます。
■日程や予定を確認したいとき
すぐに訪問を確約できない場合は、いったん確認する姿勢を示す表現が適しています。
例文
・「ありがとうございます。日程を確認のうえ、改めてご連絡いたします。」
・「ぜひ伺いたいと思います。都合を調整してご連絡いたします。」
・「予定を確認してから改めてお返事いたします。」
このようにひと言添えることで、丁寧な印象を保ちながら返答できます。
■接客やカジュアルな場面での返答
友人や親しい関係の場合は、少し柔らかい表現でも問題ありません。
例文
・「ありがとうございます。ぜひ伺います。」
・「今度お店に伺いますね。」
・「機会があればぜひ行かせていただきます。」
ただし、ビジネスや目上の人に対しては、「行きます」などの直接的な表現よりも「伺います」「参ります」を使うほうが無難です。
■訪問できない場合の丁寧な断り方
事情があって訪問できない場合は、感謝の気持ちを添えたうえで丁寧に断るのが望ましいでしょう。
例文
・「お声がけありがとうございます。あいにくその日は都合がつかず、今回は伺えません。」
・「せっかくのお誘いですが、今回は難しそうです。別の機会にぜひお願いいたします。」
このように、まず感謝を伝えてから事情を説明すると、角の立たない返答になります。
■使う際の注意点
「いらしてください」は、正しい敬語表現ではありますが、実は敬意の度合いでいえば、それほど高い敬語表現ではありません。また、比較的女性が使うことの多い表現でもあります。そのため、ビジネスにおいては、少々カジュアルな印象を受ける方もいるようです。社外の方に対しては、より丁寧な表現となる「お越しください」を使うのがよいでしょう。
また、「いらっしゃる」には「来る」「いる」「行く」、3つの意味があるため、状況次第ではどの意味で使われているのかわかりにくいときもあります。相手を混乱させたり、行き違いがないように、その場面で最も伝わりやすい言い回しを選びましょう。
最後に、「来る」「行く」の両方を表す謙譲語をご存知ですか?
正解は…「参る」「伺(うかが)う」です。「いらしてくださいね」と誘われた際にも、「はい、参り(伺い)ます」と応えるのがスマートです。
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「いらしてください」は、ビジネスシーンでもプライベートでも使える丁寧な敬語表現です。ただし、敬意の度合いはそれほど高くないため、場面によっては「お越しください」など、より改まった表現を選んだほうがよい場合もあります。
また、「行く」「来る」「いる」の意味を含む言葉でもあるため、文脈によっては相手を戸惑わせてしまうことも。とはいえ、柔らかく温かみのある響きが、相手への気遣いを感じさせる表現でもあります。こうした特徴を理解しながら、場面に応じて「いらしてください」を上手に使い分けていきたいものですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』(南雲堂)/『とっさに使える敬語手帳』(新星出版社) :

















