「バラの香りをまとった生活」で女性は美しくなれるのか?

アロマテラピーやスキンケアの成分としてもお馴染みのローズ精油。「精油の女王」と呼ばれ、美と健康を守る精油として広く活用されてきました。AEAJは、古くから民間療法で使われてきた精油の効果を学術的に明らかにする取り組みを行い、これまでも女性の心身とローズ精油の関係性について研究を重ねてきました。そしてこの度、「ローズ精油をまとった生活を続けると、第三者からの印象が向上する」という実験結果を発表しました。

この結果を織り交ぜながら、公益社団法人日本アロマ環境協会(以下、AEAJ)理事の熊谷千津さんに、ローズ精油の魅力と、生活へのおすすめの取り入れ方をお伺いしました。

ローズ精油をまとった生活を続けると、第三者からの印象が向上する」という実験を実施

実証!ローズ精油で、第三者から見た魅力がアップ

実験方法は、対象者18名の女性をふたつのグループに分け、一方のグループはローズの精油を、もう一方は水を垂らしたシールを襟元につけて1か月間過ごすというものでした。1か月後、被験者の実験前後の顔写真を、第三者にそれぞれの写真を見せて印象評価を実施しました。

結果は、「実験後の方が見た目の印象が良い」と答えた人が、水のグループは48%であったのに対し、ローズ精油のグループは77%を占めました。全体的な顔印象のほか、「美しさ」「優しさ」「セクシーさ」「話したい」など、魅力的だと感じる項目で、ローズ精油グループの実験後の評価が高くなりました。

水を付けていたグループの顔印象の評価結果
ローズ精油を付けていたグループの顔印象の評価結果

実験内容
[対象] 18歳〜22歳の女子大学生18名
[精油] ローズオットー精油(水蒸気蒸留法)
[方法] 対象者をふたつのグループに分け、一方のグループは水を垂らしたシールを、もう一方はローズの精油を襟元につけて過ごす。1か月後、第三者に実験前と後の顔写真(実験参加者全員分)をどちらかわからないように見せ、各項目に回答してもらう。
[評価項目] 第三者(同世代の学生男女20名)による印象評価と本人の実感

全体的な顔印象のほか、「美しさ」や「優しさ」「セクシー」「話したい」など13の項目についても第三者の評価を行った。

——アロマの実験というと、「リラックスできるか」という内容に留まるものも多いかと思いますが、他人からの「印象」を数値化した試みの背景を教えていただけますか?
熊谷千津さん(以下、熊谷) これまでも、AEAJではさまざまな精油に関する実験を行ってきました。ローズに関して言えば以前、線維芽細胞のコラーゲン合成促進が認められたという研究の報告をしています。そのため、今回は一歩踏み込んで、他者から見た外面と内面の変化を見てみました。
 評価の方法は、実験に参加していただいた第三者の方20名に、ひとつのモニター上に2枚の写真を並べてどちらの印象が良いかと聞いています。モニター上ですから、もちろん香りの有無は分かりません。

——ローズ精油を付けて生活していたグループの顔印象評価では、77%の割合で実験後の方が良いと答えていますね。
熊谷 はい、内面の変化をとらえるためにさまざまな調査指標を使用して、対人的行動特性や不安になりやすい特性なども調べました。ローズの香りを毎日嗅ぐことで、情緒的不安の数値が減りストレスを受けても穏やかでいられる、といったことも表情に反映されていると思います。

ローズのパワーはやっぱりすごい!

——熊谷さんご自身の、この調査結果への感想はいかがでしょう?
熊谷 ローズはやっぱりすごい!というのが率直な思いです。私自身が20代のころ、ローズに大いに癒された経験がありました。私は21歳から6年間、月経が止まっていたんです。大学病院に通って、ホルモン剤を飲んでいました。そののち、アロマテラピーのことを知り、ローズとフランキンセンスを使ってオイルマッサージをするようになったんです。精油の力だけではないかと思いますが、そうしているうちにやがて、生理が来るようになったんですね。

自身の経験から知ったローズの魅力

——21歳から6年間…。不安でしたよね。
熊谷 もう、とても不安でした。「私は、赤ちゃんを産めないんだ」って。そのころは、製薬会社で働いていましたが、アロマテラピーを本格的に学ぶためにイギリスのブライトンに行きました。さまざまな学術書を読んでみても、決まって「ローズは女性の不調に効果的」といったことが書かれていたんです。「ローズのことをもっと知りたい」と、帰国後に香りの仕事に関わるようになりました。

——ローズ精油は、身体への効果をとってみても女性の味方だったのですね。
熊谷 そうなんです。昨年の春には、長崎大学との共同研究の中で「どの精油に女性ホルモンを高める力があるのか」という実験を行いました。ローズ、イランイラン、オレンジ・スイート、ゼラニウム、ジャスミンなど10種類の精油を用い、40代の被験者を対象に、女性ホルモン分泌量の変化について実験しました。すると、ローズ精油とゼラニウム精油において、唾液中の女性ホルモン(エストロゲン)濃度が有意に上昇したんです。

——女性ホルモンは、美しさと健康の要ですものね。
熊谷 まさにそうです。エストロゲンの急激な減少が、産後うつや、更年期の不調を引き起こすといわれていますから。仕事をして、ましてお子さんもいたら、毎日本当に時間がないですよね。日中は、急ぎの仕事をして、子供が寝てから集中力の要る仕事や次の日の準備をしたり。だからこそ、自分自身の心と身体を労わってあげるツールを持って欲しいですね。それは、量じゃなくて、質だと思うんです。そういった意味では、アロマはとても気軽に取り入れられるもののひとつだと思います。

簡単に取り入れられる、精油の活用方法

——生活の中にはどのように取り入れたら良いでしょうか?
熊谷 アルコールで希釈した精油をアトマイザーに入れた、アロマスプレーがオススメです。香水と違って、薄いものですので、ふとした瞬間にかすかに感じるという程度です。上記の被験者の方からも、「満員電車の中で、自分の襟元から香ったローズの香りにとても癒された」という声が聞かれました。

つくり方も簡単です。精油の種類にもよりますが、ローズの場合はだいたい5ml程のアトマイザーに、精油1滴で充分です。濃ければ良いわけではなくて、濃度が高すぎると頭痛を引き起こすこともあります。精油って、それぐらいパワフルなんです。そしてローズ精油は、花びら4000kgからわずか1kgしか採ることができないほど、大変貴重なものなんですよ。

気軽に作ることができる、アロマスプレー

——ローズ精油の種類と、お店での精油の選び方についてのアドバイスもいただけますか?
熊谷 ローズ精油には、ローズオットーとローズアブソリュートの2種類があります。これは、使っているバラの種類が違うんです。オットーにはダマスクローズが使用されますが、アブソリュートは、センティフォーリアローズが使われることが多いです。また抽出方法も異なってきます。オットーは水蒸気蒸留法、アブソリュートは溶剤抽出で多く取れます。そのため、オットーの方が高価ですが、その分ダマスクローズそのものの香りをより楽しむことができます。どちらが良いかというよりも、お店で香りを試してみて、ご自身が心地良いと感じられるものを選んでいただければと思います。私も、精油を用いた手づくりのマッサージオイルのほか、市販のものも含めて、スキンケア、ヘアケア、ボディケアにと、ローズを全身に取り入れています。

——不調の20代を経て現在、アロマに関して身体への実感はありますか?
熊谷 私自身は更年期の年齢ですが、今のところそういった症状はないですし、朝もパッと起きられます。オレンジ・スイートの精油を3滴ほどお風呂に垂らし、よく混ぜて入浴することもあります。ローズは高価なので、お風呂には使わないのですが、特にオレンジ・スイートや柚子などの柑橘系は、体を温める効果も高いので、朝までぐっすりと眠れます。今のような冬の間は、お風呂に精油を入れれば保湿にもなりますよ。

30代って、どんな風に過ごしていたかを思い出せないくらい、仕事に子育てにと忙しくしていました。でもその間に、リフレッシュできることを持っていれば、小さなことにも幸せを感じられると思うんです。そして、30代って40、50代になっても輝くための大切な準備の時期。ローズを味方につけて、充実した時間を過ごしてくださいね。

「精油」は、どんなフレグランスやスキンケアを使っていても、気軽に取り入れられるのもうしいポイント。忙しいときこそローズの力を借りて、魅力あふれる女性に磨きをかけてみるのはいかがでしょうか?

熊谷千津さん
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)理事
(くまがい ちづ)アロマサイエンス研究所所長、博士(農学)、薬剤師
この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
八木由希乃