ビジネスシーンでたびたび耳にする「インセンティブ」という言葉。最近では新型コロナウイルス対策のひとつとして、「ワクチンインセンティブ」という言葉が使われました。なんとなく「お得」なことを表す言葉なのはわかっていても、実は正確な意味を知らない人も多いのでは? 「インセンティブ」の正しい意味を理解すれば、いつか「ご褒美ゲット」も夢ではないかもしれませんよ!?
【目次】
- 要するに、「インセンティブ」ってどんな意味?
- ビジネスでの一般的な「使い方」がわかる「例文」6選
- 「インセンティブ」と「賞与」の違いは?
- 「インセンティブ制度」とは?
- 「インセンティブ」の「言い換え」「類語」表現は?
【要するに、「インセンティブ」ってどんな意味?】
■わかりやすくいうと、「ニンジン」ってこと!?
「インセンティブ」は、「やる気を引き出すご褒美」という意味です。イメージは、「走る馬の目の前にぶら下げられたニンジン」というところでしょうか。目標達成に向けて気持ちを高めるための刺激、動機づけが「インセンティブ」です。
■ビジネスシーンで使われるときの意味
ビジネスシーンでは、目標を達成したとき、あるいは成果が上がったとき、固定給とは別に企業が社員に与える臨時報酬を指します。「インセンティブ」は報奨金のほか、成績優秀者の表彰、旅行券や商品券など、「お金」と「お金以外」の両方があります。
転職者向けの求人情報の給与欄に「固定給+インセンティブ」と書かれていたら、これは「仕事の成果に応じた報奨金を給与に上乗せする」という意味です。
社員やスタッフの士気を上げるため、「働きやすい環境づくり」をすることもまた、「インセンティブ」の語意に含まれます。
新型コロナウイルス対策のひとつとして、ワクチン接種の促進を目的とした支援策が「ワクチンインセンティブ」と呼ばれたことは、記憶に新しいですね。ワクチンパスポートを見せることで、飲食店などでクーポンの利用やサービスを受けることができたり、旅行代金の割引を受けたりできるなど、さまざまな特典が話題となりました。また、企業によっては、勤務時間中のワクチン接種は勤務扱いとみなして給与を支給、接種にかかった往復交通費は手当として支給、などの措置もあったようです。
■「経済学」での意味
消費者の購買意欲を刺激するプレゼントキャンペーン、ポイントカードなども「インセンティブ」に該当します。繁華街で配られる、ティッシュや商品サンプルも「インセンティブ」です。
■「インセンティブが働く」とは?
「ご褒美の効果が出た」ことを「インセンティブが働く」と表現します。例えば、スナック菓子に付いてくるアニメのキャラクターカードは、購買意欲を刺激する「インセンティブ」です。スナック菓子の売り上げが上がれば、「インセンティブが働いた」ことになります。反対に、「効果が出なかった」場合は、「インセンティブが働かない」と言います。
■「英語」での使い方は変わる?
[incentive]は「刺激」や「誘因」、「動機」の意味をもつ英語です。「奨励金」や「報酬」という意味も含まれています。心理学的には【個体の要求を満足させ、それに向かう行動を引き起こすような外界の事物】を指します。語源はラテン語の[incentivus]で、「励ます」という意味があります。
【ビジネスでの一般的な「使い方」がわかる「例文」6選】
■1:「今日、うちの部署は目標を達成したから、全員にインセンティブが出るはずだ」
■2:「インセンティブがない営業活動はモチベーションが上がらない」
■3:「心理学では、インセンティブはモチベーション向上につながるといわれている」
■4:「付録を付けたことで売り上げが上がったということは、インセンティブが働いたことを示している」
■5:「ショッピングによって得られるポイントも、インセンティブのひとつだ」
■6:「商品Bとは値段が同じでも、特典が付くぶん、商品Aのほうがインセンティブは高いはずだ」
【「インセンティブ」と「賞与」の違いは?】
「インセンティブ」とは出来高払いの給料や報奨金のこと。一方、「賞与」とは「定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するもの(国税庁ホームページより)」。つまり「賞与」は「ボーナス」ということ。インセンティブは「報奨金」の意味もありますので、「賞与(ボーナス)」と同じ意味合いで使われることもあります。
【「インセンティブ制度」とは?】
社員のやる気・モチベーションアップにつなげ、結果的に企業の売上の上昇を目的に、「報酬を上乗せする仕組みや施策」を「インセンティブ制度」と呼びます。事例としては、変動賞与制度や表彰制度、リーダー制度、インセンティブツアーなどが挙げられます。
「年功序列」の報酬システムではなく、「成果主義」を表している場合もあるので、区別が必要です。
【「インセンティブ」の「言い換え」「類語」表現は?】
■モチベーション ■動機づけ ■優遇措置 ■誘因 ■報奨金
「インセンティブ」は物事に取り組む意欲を、報酬を期待させて外側から高める働きなのに対し、「モチベーション」は自発的な動機づけを指します。企業などの営業努力を高めるための措置を指す場合は、「優遇措置」と言い換えられます。
***
誰の心のなかにも「評価されたい」という気持ちはあるもの。「インセンティブ」はやる気を引き出すカンフル剤になったり、業務のゲーム性を高めておもしろく感じさせたりという、副産物も期待できます。プライベートでは、あなたが「恋人の笑顔が見たくてプレゼントを贈った」なら、あなたにとっては「恋人の笑顔」がインセンティブ。上手に意欲を刺激し、楽しくてハリのある毎日を過ごせるといいですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『外来語新語辞典』(成美堂出版)/『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』(宝島社)/『イミダス』(集英社)/『これ1冊であとはいらない! 大人の語彙力大全』(中経の文庫)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP)/『イミダス』(集英社)/『カタカナ語 すぐ役に立つ辞典』(河出書房新社)/『「知ったかぶり」を解消する! ビジネス用語図鑑』(WAVE出版)/『外来語 言い換え手引き』(ぎょうせい) :