雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は「HARDWOOD」取締役、樹木医 片岡 日出美さんの活動をご紹介します。
自ら「樹木医」の働き方を示して業界の女性活躍を後押ししたい
樹木医(※)として、日々、樹木の診断や、回復の難しい樹木の治療、倒木など危険木の管理を行うなど、現場を飛び回っている片岡さん。
仲間の樹木医と共に立ち上げた会社「HARDWOOD」は、コアメンバー4人それぞれに得意分野が異なるため、特殊伐採や森林調査、コンサルタント業など、多様な依頼が次々と舞い込む。業界でも注目を集めている存在だ。
「庭師出身で植物分類や調査の得意な樹木医、林業出身で難易度の高い伐採に長けている樹木医、私は現場でまだ扱える人の少ない、機械を使った巨木の内部診断を得意としています。
私たちは、行政や企業からのオファーで森づくりのアドバイザーを行うこともあるのですが、そこには常に、林業という経営的な視点と、環境・防災・教育といった多面的な知識や視点と、土壌や気候・樹種への細かい配慮が必要不可欠です」
造園や林業という圧倒的に女性の少ない業界においても風向きは変わりつつあり、片岡さんの意見を聞きたいと耳を傾けるクライアントも少なくない。
「林業や樹木医を志す女性が増えている一方、男性よりも体力面で劣るという理由から現場になかなか出られない現状があるのも事実です。
私自身もたくさんの失敗や悔しい思いを経験して、今やっと男性の多い重要な意思決定の会議の場に同席できる機会が増えました。この業界で、女性の樹木医にも力仕事ではない生かし方があることを私自身の働き方で示していけたら。
『片岡にできるなら』と可能性を感じてくれる採用者やクライアントによって、活躍の場が与えられる女性樹木医がひとりでも増えるよう、これからも愚直に樹木と向き合っていきます」
【SDGsの現場から】
●若者が林業で稼げる仕組みづくりに会社で取り組む
●社内の研究生に植物管理や見分けを丁寧に指導
※樹木医とは…一般の人は樹木の保護や診断、治療等に関する7年以上の業務経歴が受験資格。現在、現場の女性樹木医は10%以下といわれる。
- PHOTO :
- 篠原宏明
- EDIT&WRITING :
- 大庭典子、喜多容子(Precious)
- 取材・文 :
- 大庭典子