「ケーススタディ」はもともと学術用語ですが、現在ではビジネスや医療、教育など、いろいろな分野で使われています。実際に起こった事例を分析し、問題解決の方法を導き出すなど、「今後に生かすこと」を意味する言葉です。曖昧に捉えていた「ケーススタディ」の意味を正しく理解し、ビジネススキルのブラッシュアップに役立てましょう。

【目次】

「ケーススタディ」を行うことで、対応力をアップ!
「ケーススタディ」を行うことで、対応力をアップ!

【まずは「ケーススタディ」の「基礎知識」から】 

■語源や、そもそもの意味は?

語源となる[case study]の[case]は「入れ物」「場合」「事例」といった意味をもっています。例えば、[This is an unusual case.]は「これは特殊なケース(事例)だ」と訳されます。

「ケーススタディ」は、ある問題の具体的な事例を分析した積み重ねによって、原理原則を導き出す研究のこと。帰納法的な研究方法で、社会学や教育学で用いられる手法です。もともとは学術用語で、例えば、ある生物の群れの行動を研究し続けることで、その生物全体に共通する習性などをつかもうとする研究手法のことをいいます。

■ビジネスシーンで使われるときの意味

ビジネスのシーンでは、実際にあったトラブルやその対処法、もしくは成功例を分析して、今後に生かすこと(教訓とすること)を意味します。「ケーススタディ」を行うことで、問題解決力をはじめ、分析力洞察力論理的思考力戦略構築力など、経営者やリーダーに必要な対応力を養成することができるといわれています。ひとつの実例から、ほかにも応用できる法則を見つけるという点が、研究手法としての「ケーススタディ」との共通点です。

「ケーススタディ」はビジネスだけでなく、医療や教育など、さまざまな分野で行われています。実際に起きた多様な事例(ケース)を教材として、最適な解決方法を思考する訓練となるのです。

医療や看護、介護の現場では、ひとりの患者さんの症例のことを「ケース」と呼ぶことがあります。例えば「同じ薬が処方されたAさん、Bさん、Cさんのうち、Aさんだけ傷の回復が遅いのはなぜか?」など、実際に病院やクリニックで起こった事例を元に、複数の患者さんの症例を比較するようなケーススタディも多く行われます。

「フィールドワーク(野外研究)」の意味とも重なりますが、こちらは現場に行ってみて、自分の目で実態を把握する調査法のことです。


【ビジネスでの「使い方」がわかる「例文」7選】

■1:「ケーススタディを行う『意義』と『目的』は、疑似体験を通じて『対応力』を身につけることだ」

■2:「看護におけるケーススタディとは、それぞれの患者に向き合った対応や、瞬時の判断力を養うことだ」

■3:「ケーススタディは、例題を用いて説明するのがもっとも理解を高める」

■4:「事例の内容に偏りが起こらないよう、関連書や関連セミナー、インターネットなど、情報ソースを多岐に広げることが、ケーススタディのやり方としてもっとも有効である」

■5:「人材育成についてのケーススタディを行い、経験値を高めた」

■6:「野党案が法制化された場合、どのような政治活動が規制されるのか、ケーススタディを試みた」

■7:「こうした事故が発生するメカニズムを、以下、ケーススタディによって探ってみよう」


【「ケーススタディ」の「言い換え」「類語」表現】

■事例研究  ■個別調査

「ケーススタデイ」は「事例研究」と訳されますが、そのまま「ケーススタディ」と使われることが多いようです。

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「ケーススタディ」の目的は、過去の成功例や失敗例など、「事例」を疑似体験することで、問題を解決する対応力を身につけることです。トラブルへの対処やリスクの軽減などにも役立つ手法なので、その意味をしっかり理解しておきたいですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館)/『イミダス』(集英社)/『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP)/『これ1冊であとはいらない! 大人の語彙力大全』(中経の文庫)/『外来語 言い換え手引き』(ぎょうせい) :