仕事の現場で「シュリンク」という言葉を聞いたことはありますか? 直訳すると「縮むこと」「委縮すること」となりますが、ビジネス用語としてはどんなシーンで、どのような使われ方をするのでしょう。あまり喜ばしいカタカナ語ではないように思いますが…本日は、上手な「シュリンク」の使い方を指南します。
【目次】
【「シュリンク」の基礎知識】
■「シュリンク」の一般的な意味
英語の「シュリンク[shrink]」を直訳すると、「縮むこと」「萎縮すること」ということになります。『情報・知識imidas』によると、「縮む」「減る」「恐れる」「収縮」「萎縮」のほか、医学・生理学用語として「精神科医」「精神分析医」などを表すとあります。「縮む」から「減る」、「萎縮」から「恐れる」といった意味をもつこともわかりますね。また、「ひるむ」や「尻込みする」といった意味でも使われます。
■ビジネスでの「シュリンク」の意味は「市場が小さくなること」
事業規模の縮小や、業績が下がったり消費が落ち込んだりすることなどを表現する際に使います。例えば「コロナ過で事業主も消費者もシュリンク状態だ」という具合ですね。「市場の縮小」や「業界の低迷」という喜ばしくない状態を意味し、そのような状況を「シュリンク市場」や「シュリンクマーケット」というフレーズで表すことも。特に広告業界でよく使われます。
【「シュリンク」のビジネス使用例】
■1:「あの業界はシュリンク傾向にあるから、新規参入は見合わせよう」
■2:「日本経済全体がシュリンクしていると、消費者が実感している」
■3:「効率的なシュリンク化が、新製品の成功のカギを握っている」
■4:「シュリンクによってデータ転送率が上がった」
■1と2は「縮小」の意味で、■3と4はモノの「小型化」を意味します。■3と4のように、「シュリンク」はマイナスなだけでなく、プラスの意味合いでも使用されます。
【業界による「シュリンクの特別な意味」】
ビジネスシーンでさまざまに使われる「シュリンク」ですが、特定の業界では意味が異なる場合もあります。そのような例もいつくか挙げてみましょう。
■IT業界の専門用語としての「シュリンク」
「データを圧縮する」「データサイズを縮小する」という意味です。その技術を指す場合もあります。
使用例:クライアントにデータを提出する際は、必ずシュリンクするように。
■書店でよく使われる「シュリンク」とは?
漫画の単行本などによく見られますが、商品を透明なフィルムできっちりパッキングすることを「シュリンク包装」「シュリンクラップ」といいます。立ち読み防止策ですね。
ソフトウエアも、実店舗、ネット販売にかかわらずシュリンク包装されて販売されます。購入者はシュリンク包装を破った時点で使用許諾契約に同意したものとみなされ、返品・返金などができません。これを「シュリンクラップ契約」といいます。
使用例:この商品はシュリンク包装しているので、破れないよう慎重に扱ってください。
【「シュリンク」の「わかりやすい言い換え」と「類似語」】
まずは、わかりやすく日本語で言い換えてみましょう。
■減少 ■縮小 ■低迷 ■圧縮 ■小型化
似ているけれど違うワードも解説します。
■最近よく使われる「リデュース」
そもそもは「減らす」「縮小する」という意味の他動詞ですが、最近は環境に関わる用語として目にする機会が多くなりました。その場合は「環境負荷や廃棄物の発生を抑制するために、必要以上な消費や生産を抑えること」という意味になります。簡単にいえば「ゴミになるものを買わない、つくらない」ということですね。
■「スポイル」は同義語?
「シュリンク」をネガティブな意味で使用するシーンでの「スポイル」への言い換えにはご注意を。シュリンクが縮小を指すのに比べ、「スポイル」はゼロにしてしまうことや再建が難しいことを表します。
【知っておきたい「関連用語」】
■シュリンク業界
縮小傾向にある業界のこと。
■シュリンクレザー
加工皮革のひとつ。圧縮して表面に細かなしぼをつくったもの。 財布やバッグなど、小物製品の素材としてよく使われます。
■シュリンク包装
本やソフトウエアなどを透明フィルムで密封包装すること。
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今回学んだ「シュリンク」は、ビジネス用語としては大きく2通りの意味をもっていました。「下がる」や「落ちる」といった意味だけでなく、「コンパクトになる」「軽やかになる」とポジティブなシーンで使うこともあるのです。外国語から派生して単独で使われるようになったカタカナ語には、そんなものも多く存在します。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『情報・知識imdas』(集英社)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『あの新語もわかる カタカナ語 すぐに役立つ辞典』(河出書房新社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫) :