金融や証券関連の仕事の経験者ならきっとなじみのある「ディスクロージャー」という単語ですが、業種によっては「?」という人もいるでしょう。本日取り上げる「ディスクロージャー」は、社会人として知っておきたいカタカナビジネス用語。しっかり学びましょう!
【目次】
【「ディスクロージャー」って簡単にいうとどんな意味?】
■「ディスクロージャー」の意味
まずは英語の「ディスクロージャー[disclosure]」を見ていきましょう。『ランダムハウス英和大辞典』には、【1.露見、発覚、暴露、摘発、発表】や【2. 暴露[摘発]されたもの、露見[表面化]したもの、打ち明け話】【3.特許申請趣旨の明細書、図面、モデルなどによる発明の開示】【4.米国証券取引委員会による株式公開企業の各種報告書を収集したデータベース】などが記載されています。
私たちがビジネスシーンで使うカタカナ語としての「ディスクロージャ―」は、「企業内容開示」という意味。企業が、株主や投資者、取引先を保護するために、経営成績や財政状態、業務状況などの内容を公開することです。簡単にいえば「企業の情報開示」ということ。
■「ディスクロージャー」は企業以外にも!
最近は政府や自治体、医療機関でも「ディスクロージャー」が求められるようになってきました。これは、不正や失敗の隠匿をなくすためです。
■なぜ「ディスクロージャー」は行われる?
法律や取引所のルールによるものと、企業が自主的に行っているものがあります。上場企業にはディスクロージャーが義務付けられています。
IR活動(株主・投資家に対し投資判断に必要な企業情報などを提供すること)の一環として自主的に行うディスクロージャーには、経営内容などをまとめた資料などを顧客に送付したり、店頭に置いて誰もが確認できるようにする方法などがあります。インターネット上で「IR情報」として公開している企業も増えてきました。
ちょっと難しくなりましたか? 次の例文でイメージを掴んでみましょう。
【「ディスクロージャー」を使用した「例文」3選】
■1:「株主や投資家の賛同を得るには、ディスクロージャーの充実が不可欠だ」
■2:「上場企業でなくてもディスクロージャーしている企業は、透明性があって信頼できる」
■3:「決算報告会で開示するディスクロージャーは、年単位で作成されることが多い」
【「ディスクロージャー」の「類語」「言い換え表現」「関連用語」】
「ディスクロージャー」は、以下の類語を使って言い換えることができます。
■開示 ■公表 ■公開 ■発表 ■情報公開 ■情報開示
関連用語についても解説しましょう。
■ディスクロージャー制度
上場企業に課せられている「企業内容等開示制度」のこと。株式を公開する企業には、投資家や株主など企業の利害関係者に対し、経営などの内容を知るのに必要な情報を開示する義務があります。この制度には、金融商品取引法や会社法に基づく「法定開示」と、金融商品取引所の規制に基づく「適時開示」とがあります。
■ディスクロージャー・ポリシー
情報開示に関わる企業方針のこと。
■インフォメーション・ディスクロージャー
消費者の利益を守るために、欠陥商品の内容など、企業にとって不利な点も知らせる情報公開のこと。
■タイムリー・ディスクロージャー
企業情報の開示を、早期に、そして適時に行うこと。流通市場における半期報告書や臨時報告書などを指します。
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今回の「ディスクロージャー」というカタカナ語は、「自分の業務のなかで使う機会がない…」と感じた人もいるかもしれませんね。けれど、内外問わず透明性をもった組織で気持ちよく働きたいと思ったら、自社の「ディスクロージャー」への取り組みを一度確認してみてはいかがでしょうか。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『情報・知識imdas』(集英社)/『知っているようで知らない ビジネス用語辞典』(水王舎)/『現代ビジネス用語事典』(日本文芸社)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫) :