雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回はエンジェル投資家 ジョアン・ウィルソンさんの活動をご紹介します。

ジョアン・ウィルソンさん
エンジェル投資家
大学卒業後、老舗百貨店「メーシーズ」に就職。4年後に転職し、新雑誌の立ち上げや、NPO団体への参加などを経て、独立。’03年にブログ「Gotham Gal」を立ち上げる。’07年からはエンジェル投資家として女性起業家を応援。

ビジネスの世界で頑張る女性を投資とコミュニティ運営で応援

創業間もないベンチャー企業に出資をするエンジェル投資家(※)として、数多くのチャレンジを応援しているジョアンさん。大学を卒業後、いくつかの職業を経験するなかで、女性は「社会的に優位な立場にいる男性に『使われる』存在」であることから脱却しなければと、独立し、行動を開始した。

「’03年に『Gotham Gal』というブログを開設し、3人の子育てをしながら仕事をする自分の日常を発信し始めると、多くの女性から反響があり、自然にコミュニティが形成されていきました。そのうちに、女性ならではのビジネスアイディアや起業の相談が寄せられるようになったんです。なかには、企業という男性中心の枠組みの中では発せられなかったり、軽視されたりしたけれども、実は成功の可能性が高いものも多数あり、そうしたプランを具現化すべく、’07年から夫と共に投資活動を始めました」

その後、女性実業家・起業家のネットワークはどんどん広がり、大規模なイベントも開催。「おしゃれで機能性の高いベッドリネンブランドを立ち上げ」「不要になった洋服の生地を再生利用するシステムを開発」など、ジョアンさんは現在までに130件以上の投資を行っており、その後大きく成長したビジネスも多い。

コロナ禍によって活動が制限されてからは、ポッドキャストにシフト。毎週月曜日に配信中だ。

「これまでの歴史のなかには、大企業や男性によって隅に追いやられた女性の偉業が数々あります。今、それらをドキュメンタリーフィルムにまとめているところです。ビジネスの土俵での女性の不平等を世に訴えていく。それが、私の次なるミッションです」

【SDGsの現場から】

●ブティック経営者だった母の姿がお手本

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1970年代、母親が経営者として紹介された新聞記事。ビジネスも子育ても両立したお手本。

●毎週月曜日のポッドキャストで情報を発信

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女性が直面する問題やトピックについて掘り下げる。バラエティ豊かなゲスト陣も好評。

※エンジェル投資家とは…創業してすぐで実績がなく、金融機関からの資金繰りに困っているベンチャー企業に手を差し伸べるため、「エンジェル」と名が付いた。

PHOTO :
Hiroshi Abe
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
Junko Takaku