「課題」や「論点」といった意味でよく使われるビジネス用語「イシュー」ですが、あなたは正確な意味を理解していますか?「イシュー」がわかっているということは、今回の「本質的な問題」がわかっているということです!
【目次】
【まずは「イシュー」の「基礎知識」から】
■「イシュー」の「意味」は?
「イシュー」は「発行。出版物」、「問題点。争点」という大きくふたつの意味をもつカタカナ語です。英語の[issue]からきています。
■ビジネスシーンでは「論点」「課題」「問題点」を意味します!
「論点、争点」などと訳されることの多い言葉ですが、ビジネスシーンでは議論などを進めるうえで、「考慮すべきことや検討すべき課題」を意味し、日常的に使われるフレーズです。この場合の「課題」は必ずしもネガティブなニュアンスとは限りませんが、議論をするうえで「根本的な課題」や「問題の核心」など、「本質的な論点」を意味して使われることも多い言葉です。
■マスコミ業界では…?
「イシュー」には「発行、発行物、発行部数」といった意味もあり、こちらは主にマスコミ業界で用いられます。
■「アジェンダ」との違いは?
「アジェンダ」は「予定表」や「行動計画」「重要政策」「検討課題」「進行予定」などの意味をもつ言葉です。「イシュー」とは「課題」としての意味が重なっていますが、「アジェンダ」は「実現させたい課題」や「検討予定の議題」というニュアンスで使われます。「イシュー」には「根本的・本質的な論点」といった意味合いが含まれます。
■「プロブレム」との違いは?
同じ「問題点」という意味をもつ「プロブレム」ですが、英語の[problem]は「解決すべき問題」という、[issue]よりもやや強くて狭義な意味合いの言葉です。「納期に間に合わない」「システムエラーが起きた」など、喫緊の課題には「プロブレム」が使われます。対して「イシュー」は「議論すべき論点」といった幅の広いイメージです。比較的時間をかけて解決に取り組む課題も「イシュー」を使います。
【「イシュー」を別の言葉に言い換えると?類語は?】
■問題点 ■論点 ■課題 ■本質的な論点 ■発行物
【「イシュー」の理解を深める「例文」5選】
■「イシュー」を「問題点」の意味で使うと
・「A社のイシューは企画力の弱さだといえる」
■「イシュー」を「課題」「論点」の意味で使うと
・「本日の会議のイシューは、人事異動についてだ」
・「事前にイシューを整理しておくことで、会議を効率的に進めることができる」
■「イシュー」を「根本的・本質的な論点」として使うと
・「問題解決のためには、まずは的確なイシューを特定し、解決策を探ることが肝心だ」
・「わが社の喫緊の課題は売上アップだ。まずは検討すべきイシューを洗い出してみよう」
【知っておきたい「イシュー」の「関連用語」】
■「ワンイシュー」
問題点や論点などがひとつであること。「シングルイシュー」ともいいます。
ひとつの重要な政策分野、または政策に基づく政治形態を「ワンイシュー」と呼ぶこともありますが、これは完全な和製英語であり、英語圏では通じません。
■「クリティカルイシュー」
「イシュー」にも優先順位があります。「クリティカルイシュー」の「クリティカル」は英語の[critical]から。「重要な」「危険な」という意味です。つまり「クリティカルイシュー」は「重大課題・重要案件」のこと。会議などでこの言葉が使われたら要注意です。
■「ソーシャルイシュー」
直訳すると「社会的な課題」ですが、一般的には「社会において、現在、高い関心を集めている、もしくは、近い将来に関心が高まるであろうテーマ・課題」のこと。
■「ポリティカルイシュー」
「政治問題」や「政治的課題」という意味。
■「イシューマネジメント」
問題点を明確にして危機管理に努めること。
■「スペシャルイシュー」
雑誌などの特集号や特別号を指します。
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「イシュー」は比較的長期で検討していく課題を指す言葉です。ですから、自分の「イシュー」を決める際は、その点を念頭に置いてくださいね。「プロブレム」として扱うべき課題を「イシュー」と認識してしまうと、問題解決に必要以上の時間がかかってしまうことがあります。例えば、あなたにとって「カタカナ語」攻略は、「プロブレム」でしょうか? それとも「イシュー」でしょうか。予期せぬチャンスを自分のものとするために、準備は抜かりなく、計画的に行いたいものです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) /『これ1冊であとはいらない! 大人の語彙力大全』(中経の文庫)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP)/『カタカナ語 すぐ役に立つ辞典』(河出書房新社)/『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』(宝島社) :