雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は「SouGo」代表取締役社長、八寿恵荘オーナー 北條裕子さんの活動をご紹介します。

北條 裕子さん
「SouGo」代表取締役社長、八寿恵荘オーナー
(きたじょう ひろこ)「環境を害することは一切しない」父親のもとで育つ。現在は父親が創業したスキンケアブランド「華密恋」と「八寿恵荘」を運営。一般社団法人アートパラ深川代表理事も務める。

安曇野の大自然の中に佇む健康と自然環境に配慮した宿

自然豊かな安曇野で、ゲストの健康や自然環境に配慮した取り組みを続ける宿「八寿恵荘」を運営する北條さん。

「宿の衣食住すべてにおいて、それが体に良いものなのか、環境にとって負荷の少ないものなのかということを常に最優先事項として、検討しています。『八寿恵荘』はもともと、私の父が経営する自然派スキンケア製品の会社の保養施設だったのですが、地元の方々への恩返し、地域創生のためにも、宿泊施設として活用することにしたんです」

「どんな方でも安心して泊まれる宿に」と、’15年に全面リノベーション。建築材は長野産を中心に国産のものを使用。床材は天然木に床暖房で、足の裏から心地よく。リネン類は、化学洗剤を使わないクリーニング店を探し、東京・八王子にある店に出している。

「化学物質過敏症のお子さんが、エントランスで『僕、ここにいられる!』と言ってくれたことも。自社で抽出したカモミールのエキス入りのお風呂は、毎日3時間かけて水洗いで掃除しています」

北條さんの考えのもと、年間を通じて多様なプログラムを用意。今年で18年目になる「自然体験教室」は、アレルギー科専門医の協力も得て、アトピーや喘息で悩む親子も多数参加する。乳がん患者が集まる「乳がんツアー」は今年で8年目。食事や生活習慣、ストレスをケアし、少しでも体をリセットしてもらいたいと語る。

「これからの旅行のあり方は、健康になって帰る『ヘルスツーリズム』(※)志向になってくると思います。心と体はつながっているので、お客様には、まず心を解き放っていただく。そしてご自宅に帰られてからも健康で気持ちよく過ごしてもらえたら」

【SDGsの現場から】

●カモミール畑が広がる美しい「カミツレの里」

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1984年に開墾した、土づくりからこだわったカモミール畑。スキンケア製品の原料に。

●建物にはすべて国産の自然素材を使用する徹底ぶり

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建物の材料として採用したのは、化学物質過敏症の人でも安心の、国産の自然素材のみ。

※ヘルシーツーリズムとは旅行中に、食や体験などを通して健康の回復や増進を図ること。近年はワーケーションとの組み合わせでも注目されている。

PHOTO :
五味貴志
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
楢畑彩香