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松濤の「場所」は?「最寄り駅」と「地図」

松濤の「場所」

2023年春以降の解体が決まっている東急百貨店本店。こちらは、昭和42年(1967年)に開業した建物だ。
2023年の1月に営業が終了、そして解体が決まっている東急百貨店渋谷 本店。こちらは、昭和42年(1967年)に開業した建物です。

世界的に知られている渋谷駅前のスクランブル交差点を過ぎて、渋谷109を右手に入り、文化村通りを少し登っていくと「東急百貨店渋谷 本店」が見えてきます。上の写真のY字路から先が、都内屈指の高級住宅街「松濤」。これまでの渋谷の喧騒から離れて、この辺りからはとても静かな街並みに。そして、瀟洒な家が立ち並びます。

松濤の「最寄り駅」

神泉駅の写真
神泉駅の写真

松濤エリアの最寄駅は京王井の頭線の神泉駅。また、渋谷駅も徒歩圏内です。ご存じの通り、渋谷駅は、JR山手線、埼京線、湘南新宿ライン、東京メトロ銀座線、半蔵門線、副都心線、京王井の頭線、東急東横線と東急田園都市線など、乗り入れ路線が多い駅で、どこに行くにも便利。また、渋谷駅西口から東急百貨店本店前を通って、松濤美術館、古賀音楽博物館、鍋島松濤公園、代々木上原駅など、松濤方面へと経由するコミュニティバス「ハチ公バス」も運行していて、交通網は盤石です。

1乗車100円で利用できるお財布に優しい小型コミュニティバスです。
1乗車100円で利用できるお財布に優しい小型コミュニティバスです。

松濤の「地図」

松濤の「歴史」

松濤の一戸建て住宅地の開発が進んだのは大正期。財閥や華族らの土地や庭園が開放され、住宅地化されていきました。具体的には、大正9年ごろ、渋谷松濤にあった鍋島公爵家の6000坪の宅地開発が進み、中流階級住宅希望者向けに、100〜200坪平均で土地の分譲がなされ、政府高官や大企業の重役などが集まるようになりました。現在でも大手企業の社長や起業家、芸能人、有名人、政治家などが多くこの地に暮らしています。

渋谷駅の待ち合わせスポットとしても有名な「忠犬ハチ公像」のモデル、ハチ公の飼い主だった東京帝国大学( 現:東京大学)農学部教授上野英三郎博士の居宅も松濤にありました。ハチ公は、毎日のように松濤から渋谷駅の改札まで博士を見送りに行ったそうです。

渋谷の待ち合わせ場所としても親しまれているのが、渋谷駅前にある忠犬ハチ公像。
渋谷の待ち合わせ場所としても親しまれているのが、渋谷駅前にある忠犬ハチ公像。

松濤の「由来」

松濤とは、旧佐賀藩主の鍋島家が「松濤園」という茶園を営んでいた事が由来と言われています。 茶の湯の釜のたぎる音を、松風と潮騒にたとえた雅号で、「松濤」という銘の茶が作られていました。東海道線が開業して静岡茶が流通すると、松濤園は廃業、果樹園になったそうです。

松濤の「魅力」

■1:渋谷駅が近い

渋谷スクランブルスクエアの写真
渋谷エリアでは最も高い、駅直結のランドマークタワー・渋谷スクランブルスクエアは2019年に完成。地上約230mにある屋上の展望施設「SHIBUYA SKY」では360°パノラマビューが楽しめます。

渋谷区の中心地に近いのに、落ち着いた雰囲気があるのが松濤の特徴です。渋谷駅は今、100年に1度という大開発で渋谷の姿は大きく変わりつつあります。渋谷ストリーム、渋谷スクランブルスクエアといった高層ビルが建ち並び、公園とホテル、商業施設が一体となった低層複合施設MIYASHITA PARKが出来上がりました。

■2:文化の発信地

松濤は美術館やギャラリーが点在しており、芸術を感じながら散歩が楽しめるエリアです。おしゃれなカフェや素敵なレストランも立ち並び、お腹を満たすこともできます。おすすめ美術館を紹介します。

カフェや飲食店、美術館やギャラリー、ライブハウスなどが並ぶ、松濤文化ストリート。鍋島松濤公園も近くにあります。
カフェや飲食店、美術館やギャラリー、ライブハウスなどが並ぶ、松濤文化ストリート。鍋島松濤公園も近くにあります。

■渋谷区松濤美術館

高級住宅街の中に建てるならばと、図書館や公会堂などではなく、選ばれたのは美術館だったという区立の施設。「哲学の建築家」と評される白井晟一が設計。レンガの外観が圧巻。建物中央には噴水があり、それを取り囲むように円形に展示室が配置されているのが特徴的。

■Bunkamura

1989年に誕生した日本初の大型の複合文化施設。「オーチャードホール」「シアターコクーン」「ル・シネマ」「ザ・ミュージアム」では、音楽、演劇、映画、美術など様々なジャンルの芸術に触れ合う事ができます。渋谷から生まれる新しい文化の発信基地です。東急百貨店本店の解体に伴い、2023年4月からBunkamuraは長期休館に入ることが決まっています。

■戸栗美術館

創業者の戸栗亨氏が集めた陶磁器を中心とする美術館。

ギャラリーTOM

視覚障害者のための手で見るギャラリーとして開設された私設美術館です。

■3:くつろげる公園がある

松濤には水と緑に囲まれた、大きなふたつの公園が近くにあります。

■鍋島松濤公園

湧き水による池があります。湧き水が溜まると自動的に水車が動くのだとか。春は桜の名所です。
湧き水による池があります。湧き水が溜まると自動的に水車が動くのだとか。春は桜の名所です。

鍋島松濤公園は松濤2丁目にある公園です。もともとは、紀伊徳川家の下屋敷で、明治時代、鍋島家が払い下げを受け、茶園(茶畑)をつくっていたエリア。茶園が廃止となり、湧水地を中心とする一画が児童公園として公開されました。水車のある池や緑深い木々に囲まれ、心安らぐひとときを過ごすことができます。

■代々木公園

東京都内では5番目に広いと言われる公園。東京オリンピックの選手村を経て、公園として整備されました。大きな草地広場があり、読書をしたり、ピクニックをしたり、いつもたくさんの人で賑わっています。都心の桜の名所としても有名です。

渋谷区松濤も、100年に1度の渋谷の大開発を受けて新しいお店がどんどんできており、進化しているようです。ですが、大きな公園があったり、美術館があったり、変わらないものもあります。適度な刺激がありつつ、しっかりとした歴史もある素敵な街です。

参考:渋谷区ホームページ
   Bunkamura  
   松濤文化村St.
この記事の執筆者
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PHOTO :
AC
WRITING :
柳堀栄子