雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回はヴィーガンレストラン「ステム&グローリー」創業者、CEO ルイーズ・パーマー・マスタートンさんの活動をご紹介します。

ルイーズ・パーマー・マスタートンさん
ヴィーガンレストラン「ステム&グローリー」創業者
大学卒業後、ラジオDJとして活躍。'03年ヨガスタジオを開設。'17年にケンブリッジにヴィーガンレストラン「ステム&グローリー」を、'19年にはロンドンに旗艦店をオープン。今年10月にはロンドンに3号店を開店予定。

ヴィーガンレストランが提示するカーボン・ニュートラルな未来

ヴィーガンレストランが次々とオープンしているロンドンで、今最も注目され食通たちが足繁く通っているのが、「ステム&グローリー」。

「ヴィーガン料理といえば味気がなく退屈なヘルシーフードばかり」だったことに辟易したルイーズさんが’17年にオープンした店で、看板メニューのキムチ入りパンケーキをはじめ、豆腐をパン粉で揚げて日本式カレーに添えた『カツ・カレー』、エリンギと、にんじん・紫キャベツのピクルスなどが載ったタコス、といった多国籍料理が評判だ。

おいしいのはもちろん、サステイナブルを徹底していることも特徴で、’21年に開催された「第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)」(※)では、ネットゼロを実践する「ヒーロー・オブ・ネットゼロ」賞のトップ5に選出されている。

「4〜5年前まで、ベジタリアンやヴィーガンといえば、肉を食べないという動物愛護から出発したアクションがメインでした。しかしここ数年は、家畜がもたらす地球温暖化への脅威から、プラントベース、つまり植物由来の食事で環境保護に貢献するという考えが広がっています。私の店では、カーボン・ニュートラルを叶えるために、地産地消を重視。食材の発掘にも力を入れています」

例えばフムス。原料のひよこ豆は国内では生産されていないため、ひよこ豆に似たイエローピーというイギリスに古くからある品種で代用するレシピを開発した。忘れられた伝統食材の復活に寄与することにもつながっている。

「サステイナビリティとは、一部の人が利益を搾取することなく、すべてがウィン・ウィン、50%・50%となる関係性のこと。その発想が、SEGsのカギになるはず」

【SDGsの現場から】

●取り組みが評価されCOP26で表彰

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「HERO OF NET ZERO」賞に選出、アンドリュー・グリフィス国会議員から賞状を授与された。

●ひと皿ごとにカーボンフットプリントのレベルをメニューに記載

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写真は、エリンギや紫キャベツ、英国産ビーンズのタコス。わさびマヨの効いた味が人気。

※COP26​とは​…'21年秋にイギリス・グラスゴーで開催。首脳級会合「世界リーダーズ・サミット」には日本を含む130か国以上の首脳が参加した。

PHOTO :
Miki Yamanouchi
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材 :
Yuka Hasegawa