「自己顕示欲」という言葉の意味を、正しく理解していますか? 適切に使用できますか? 今回は、喜ばしいニュアンスで使われることは少ない「自己顕示欲」について解説します。少々ネガティブな話題やシーンで登場するこのワードについて、しっかり理解してください。
【目次】
【正しく理解するための「自己顕示欲」基礎知識】
■読み方
「自己顕示欲」と書いて「じこけんじよく」と読みます。
■意味
「自己」は「自分自身」、「顕示」は「はっきり示すこと」なので、「自己顕示欲」は「自分の存在をことさら他人に目立つようにする欲求」という意味に。一般的には「第三者から見て度が過ぎる不自然な自己主張」というニュアンスが含まれます。「自己顕示欲が強い人」というのは目立つこと自体が目的ではなく、周囲の人から注目されたり、ほめられたり、羨ましがられたりしたい人なのです。
■使い方
「今年の新人は自己顕示欲が強そうだ」や「自己顕示欲が人並み以上にある」などと用います。
【似た言葉「承認欲求」の基礎知識】
「自己顕示欲」と似た言葉の「承認欲求」についても確認しておきましょう。
■読み方
「承認欲求」は「しょうにんよっきゅう」と読みます。
■意味
「誰かから認められたいという心理学的な欲求」のこと。社会生活を送るなかで、対人関係を通して自然に生まれるものですが、人によってその欲求の強弱には差があります。近年はSNSを通じてこの「承認欲求」を満足させたいという傾向が強く、個人だけでなくビジネスの現場でも「承認欲求」が満たされるか否か、大きく問われることも。
■使い方
「今の10代は承認欲求が強い傾向にある」や「SNS上で承認欲求を満たしてくれるメモアプリが開発された」などと使います。
【「自己顕示欲」と「承認欲求」の違い】
■「自己顕示欲が強い人」とは?
「自己顕示欲」が強い人はその欲求を満たすために、何かしら行動を起こします。会話では自分の話ばかりする傾向があります。これは自分に自信がなくコンプレックスをもっているという“弱い自分”を隠すためと、不安から相手より優位でいたいという心理が働くから。他人の話には興味がなさそうだったり、話題を自分側にすり替える人も「自己顕示欲」が強い人の特徴です。協調性にも乏しいので、「自己中心的な人」と評価されることも。相手の話をよく聞いて興味を示す人は、自己顕示欲を満たさなくても問題ない人、ということに。
■「承認欲求が強い人」とは?
アメリカの心理学者アブラハム・マズローによると、人間の欲求を表す階層構造の欠乏欲求のうち、「承認欲求」は上位に相当します。自分が承認されない、尊重されないと不安が大きくなるのが特徴。また「承認」の捉え方もさまざまで、「他者より優れていたい」だけでなく、「他者と同等でありたい」や、「他者より劣っていたい」というマゾヒズム的な欲求も。
【「自己顕示欲」が強い人との付き合い方】
「自己顕示欲」の強い人が職場にいたり仕事相手だったりすると、なにかと厄介なものですね。しかし、これは多かれ少なかれ誰しももっている、あるいはもつ可能性がある欲求なので、自分なりに上手な対処法を身につけておくのがよさそうです。
■対処法1:必要最低限の関わりにとどめて近づかない
■対処法2:ぐいぐい主張されても右から左へ受け流す
■対処法3:ときには感嘆したり褒めたりして欲求を満たしてあげる
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今回は、ビジネスの現場で敬遠されがちな「自己顕示欲」についておさらいしました。コミュニケーションのとり方が激しく変化しつつある今、“ケースバイケースすぎる人間関係”はストレスの大きな要因に…。広い心で柔らかく受け止められるといいですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『情報・知識imidas』集英社 :