「他言無用」とは「秘密を他人に漏らしてはならない」という意味の慣用句です。「口止め」の意味合いも含むため、取引先や目上の人に対して使う際には、不躾な印象とならないよう注意が必要な言葉でもあります。今回は「他言無用」の意味を解説するとともに、丁寧でやわらか表現に言い換えた例文をご紹介します。
【目次】
【「他言無用」を深く知るための「基礎知識」】
■「他言無用」の読み方
「他言無用」は「たごんむよう」と読みます。
■端的にいえば「人に話してはダメ」という意味!
「他言」は「秘密などをほかの人に話すこと。口外すること」。単独であれば「たげん」とも読みます。「無用」には「役に立たないこと」「不要」「用事のないこと」などの意味がありますが、「他言無用」の「無用」は「してはいけないということ。禁止」の意味で使われています。つまり「他言無用」は「秘密を他人に漏らしてはならない」という意味の慣用句です。
【「他言無用」の「使い方」がわかる「例文」6選】
「他言無用」は「秘密を他人に漏らしてはならない」という意味の言葉ですが、口止めの意味合いをもつため、単独で用いるといかにも「上から目線」な印象となってしまいます。目上の人に向かっては使用しません。とはいえ「他言」と「無用」というふたつの語が結びついた慣用句であるため、これ自体を敬語に言い換える必要はなく、「ほかの人には誰にも話さないでほしい」とお願いするときには、「他言無用でお願いします」のように用います。会話の中だけでなく、メールなど、文書でも使用できます。例文をご紹介しましょう。
■1:「新製品についての情報は、他言無用でお願いします」
■2:「会議で話した内容については、他言無用にしてくださいますようお願いいたします」
■3:「こちらの資料に書かれた内容は、すべて他言無用であることをご承知おきくださいませ」
「他言無用」を慣用句としては使わず、よりやわらかな表現に置き換える方法もあります。
■4:「ご他言は無用に願います」
■5:「ご他言はお控えくださるようお願いいたします」
■6:「ご他言はお慎みいただけますようお願い申し上げます」
【「他言無用」の別の言い方は?「言い換え」「類語」表現】
「他言無用」にはいくつか類語があります。
■口外無用
「口外」は「口に出して言うこと。秘密などを第三者に話すこと」を意味します。「口外無用」は「他言無用」同様、「秘密を他人に漏らしてはならない」を意味する慣用句です。
■ご内密
「内密」とは「表沙汰にしないこと。また、そのさま。内緒」のこと。「ご内密に」「ご内密にお願いします」のように使われます。
■ここだけの話 ■秘密 ■内緒
ビジネスシーンにふさわしい言葉ではありませんが、家族や友人など親しい関係での会話であれば、上記のように言い換えることも可能です。
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「他言無用」という言葉を使う場面はそれ程多くはないと思いますが、目上の方に不躾な印象を残さないよう、適切な使い方を頭に留めておきたいものです。ちなみに、「他言無用」の対義語は「他人に隠さずおおっぴらにするさま」という意味をもつ「公然」です。とはいえ、「公然の秘密」という言葉もありますから、大人の語彙力は本当に奥が深いですね!
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) :