メールなどの文書はもちろん対面での会話でも、無意識に使うことも多い「のほど」という言葉。目上の方に何かを「依頼」するシーンではおなじみのフレーズです。今回はこの「のほど」を徹底解説。正しく理解すれば、いっそう活用の場が広がりますよ。

【目次】

「依頼」を柔らかで丁寧な印象にしてくれる言葉です。
「依頼」を柔らかで丁寧な印象にしてくれる言葉です。

【「意味」は?知れば便利な「のほど」を徹底分析!】

■「のほど」の「意味」は?

『日本国語大辞典』によれば、「のほど」の「ほど(程)」は、「おおよその程度を表す」名詞で、古くは「ほと」と読まれていました。「程」という漢字の「呈」には、「突き出る」という意味があります。稲が伸びて突き出る具合、という意味から転じて、程度や長さの単位を示すようになりました。当初は「10分ほど」などというときの時間的程度を表す言葉でしたが、奈良時代末から平安時代初期には「千里ほど」といった空間的程度を表すようになったそうです。そして、平安初期から中期の『土佐日記』『竹取物語』の頃から、身分、分際といった意味でも使われるようになりました。それが「身の程をわきまえろ」などというときの「ほど」です。

私たちがビジネスで頻繁に使用する「…のほど」は名詞のあとにつき、「お願いいたします」などの言葉をつなげ、依頼の形で使われることがほとんどです。こうすることで断定を避け、表現を和らげる効果があるのです。もちろん、取引先など目上の方に対して使える、正しい敬語表現です。

■「ほど」はひらがな表記?それとも漢字が正しい?

「〜のほど」の表記は、ひらがなでも漢字の「程」でも、間違いではありません。「のほど」とひらがなで表記した方が柔らかな印象ですし、漢字表記ならフォーマルな印象になります。プライベートな手紙であれば「のほど」で穏やかに。契約書の送付など少々改まったシーンであれば、漢字がしっくりくるかもしれませんね。この言葉を使う状況に応じて使い分けてみてください。

■「〜の程」のあとに読点は必要?

読点は文章の読み誤りを防ぐためや、長い文章を読みやすくするために使われますが、こうでなければならないという明確なルールはありません。

私たちが頻繁に使う「ご確認のほど(程)お願いいたします」を例に挙げ考えてみましょう。
この文章は4つのパターンでの記載が考えられます。

・ご確認のほどよろしくお願いいたします。
・ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
・ご確認の程よろしくお願いいたします。
・ご確認の程、よろしくお願いいたします。

一般的には、この程度の長さの文章を一気に読み取るのは容易ですから、読点を入れないことが多いかもしれません。どのフレーズを使うかは、状況や好みで選んでOKです。「のほど」以降の文章が長いときには、読点を入れたほうが読みやすいケースもあるでしょう。漢字かひらがなか、読点を入れるか否かは、相手が文章を読みやすいよう配慮する気遣いやマナーでもあるのです。臨機応変に判断してくださいね。


【「のほど」には、どんな「効果」が期待できる?】

■表現を婉曲にする

前述の通り、「のほど」自体は何か明確な意味をもつわけではなく言い回しを穏やかに、印象を柔らかくするために用いる語句です。

「ご無礼のほど、お許しください」
「ご無礼をお許しください」

上記は同じ意味合いのフレーズですが、「のほど」を使ったほうが「お許しください」という動詞の命令形を、より丁寧に伝えている印象を受けませんか?「のほど」は相手への敬意を表すときに使われる表現です。気遣いの言葉ともいえ、コミュニケーションを円滑に進める効果が期待できます。

■「依頼」の表現を和らげる!

印象を和らげる「〜のほど」は、「ご検討のほど」「ご了承のほど」「ご理解のほど」「ご査収のほど」「お引き立ての程」など、便利に使える言葉です。あとには「お願いします」「ご了承ください」「ご容赦ください」など、「依頼」のフレーズが続きます。

「のほど」を使うことで、相手への配慮を示し、失礼のない印象で依頼することができるのです。


【そのまま使える「例文」9選】

「のほど」で依頼の表現を和らげるテクニックは、メールなどの文書だけでなく、対面でも活用可能です。「のほど」は名詞のあとについて使われることが多いのですが、接頭語「ご」を使った「ご+名詞+のほど」として、相手を立てる敬語表現とするのが常套です。バリエーションを例文でチェックしてみましょう。

■1:「ご確認のほどよろしくお願い申し上げます」

■2:「ご理解のほどお願い申し上げます」

■3:「ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」

■4:「ご無礼のほど何卒ご容赦くださいませ」

上記「依頼」のフレーズの前に、相手の状況に配慮したクッション言葉を添えると、さらに丁重な印象になります。

■5:「お手数をおかけいたしますが、ご確認のほどよろしくお願い申し上げます」

■6:「誠に恐れ入りますが、ご理解のほどお願い申し上げます」

■7:「至らぬ点もあるかと存じますが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」

■8:「大変恐縮ですが、ご無礼のほど何卒ご容赦くださいませ」

「依頼」の形以外での使用もご紹介しましょう。

■9:ご自愛のほど、お祈り申し上げます。


【別の言い方にできる?「言い換え」「類語」表現】

「のほど」同様、「依頼」を婉曲に、柔らかな印象にする言い回しをご紹介します。

■いただけますよう

・ご多用中恐れ入りますが、ご確認いただけますようお願いいたします。

■くださいますよう

・「誠に恐れ入りますが、ご理解くださいますようお願い申し上げます」

***

「のほど」は依頼表現で多く使われ、先方への敬意を表せる便利なフレーズです。ビジネスシーンでは、相手に配慮した丁寧な表現がビジネスを円滑に進めるキーポイントとなりますので、ぜひ活用してみてくださいねただし、ひとつのメールの文中で多用するとくどい印象になりますので、使いすぎには注意しましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉(小学館)/『大人の語彙力ノート』(SB Creative) :