雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、「Hinel」代表 山中裕加さんの活動をご紹介します。
放置竹林のタケノコでメンマを移住者ならではの視点を生かす
愛媛県西条市で、放置竹林のタケノコを使ってメンマをつくっている山中さん。その名も『メンマチョ』。’20年4月から開発をスタートさせ、タケノコの収穫、乾燥、加工、試作、パッケージ制作、レシピ開発等、試行錯誤を経て、’21年6月に発売が開始された。写真は、加工を担う「就労支援事業所あけぼの」で撮影。地域の人の紹介などを経て、協力を得た。
東京の大学で建築学科に進み、イギリスの大学院で都市開発を学んでいた山中さんが、生まれ故郷の愛媛に戻ったのは、「『地方』というワードに含まれるものを、自分の目で確かめたかった」から。
「西条には祖父母の家があって、縁があったことと、ちょうど起業支援の募集をしていたことを、締め切り3時間前に見つけて急遽応募(笑)。移住して知ったのですが、西条市は県内でも森林面積が多く、放置竹林が問題(※)になっていました。私も竹林整備のボランティアをして、『竹林をよくする会』の方々ともつながりができ、それでメンマをやってみようと。『金にならないから止めとけ』と言われながらも、『まあやってみます〜』みたいな感じで続けましたが、実際、想像以上に大変でしたね。地元の人と、東京時代の知人も巻き込んでいたので、完成したときは本当にほっとしました(笑)」
飲食店のほか地域の事業者とコラボする「コラボ100連戦」など、『メンマチョ』で地域をつなぐことに挑戦。同時に、「パーラー○○」という複合施設をオープン。新しいプロダクトやサービスが生まれるハブづくりも手掛ける。
「移住者としての外からの視点と、地元の人の中からの視点を重ねていくことで、本当に必要なものが育つのではと思っています」
【SDGsの現場から】
●子供たちと一緒に竹林でタケノコを収穫!
●レモン風味のオリーブオイル漬けもおすすめ!
※放置竹林問題とは…竹は生育が早いので放置すると付近への悪影響も多い。食用タケノコは輸入が増え、加えて消費自体も減っているため、全国的な問題に。
- PHOTO :
- 善家宏明
- WRITING :
- 剣持亜弥(HATSU)
- EDIT&WRITING :
- 正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- 宮内亜弥