雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、「Hinel」代表 山中裕加さんの活動をご紹介します。

山中 裕加さん
「Hinel」代表
愛媛県松山市生まれ。明治大学と同大学院で建築を学び、在学中にイギリスにも留学。帰国後、大学院を卒業し、不動産会社に就職。’18年に不動産企画をメインに独立し、全国を放浪する。’19年に西条市へ移住。

放置竹林のタケノコでメンマを移住者ならではの視点を生かす

愛媛県西条市で、放置竹林のタケノコを使ってメンマをつくっている山中さん。その名も『メンマチョ』。’20年4月から開発をスタートさせ、タケノコの収穫、乾燥、加工、試作、パッケージ制作、レシピ開発等、試行錯誤を経て、’21年6月に発売が開始された。写真は、加工を担う「就労支援事業所あけぼの」で撮影。地域の人の紹介などを経て、協力を得た。

東京の大学で建築学科に進み、イギリスの大学院で都市開発を学んでいた山中さんが、生まれ故郷の愛媛に戻ったのは、「『地方』というワードに含まれるものを、自分の目で確かめたかった」から。

「西条には祖父母の家があって、縁があったことと、ちょうど起業支援の募集をしていたことを、締め切り3時間前に見つけて急遽応募(笑)。移住して知ったのですが、西条市は県内でも森林面積が多く、放置竹林が問題(※)になっていました。私も竹林整備のボランティアをして、『竹林をよくする会』の方々ともつながりができ、それでメンマをやってみようと。『金にならないから止めとけ』と言われながらも、『まあやってみます〜』みたいな感じで続けましたが、実際、想像以上に大変でしたね。地元の人と、東京時代の知人も巻き込んでいたので、完成したときは本当にほっとしました(笑)」

飲食店のほか地域の事業者とコラボする「コラボ100連戦」など、『メンマチョ』で地域をつなぐことに挑戦。同時に、「パーラー○○」という複合施設をオープン。新しいプロダクトやサービスが生まれるハブづくりも手掛ける。

「移住者としての外からの視点と、地元の人の中からの視点を重ねていくことで、本当に必要なものが育つのではと思っています」

【SDGsの現場から】

●子供たちと一緒に竹林でタケノコを収穫!

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地元公民館とのイベント。竹林で子供たちとメンマの原材料(若竹)を収穫。皮の剥き方も伝授。

●レモン風味のオリーブオイル漬けもおすすめ!

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『メンマチョ』の味は3種類。自社通販のECサイトのほか県内産地直売所、都内の物産館などで販売。

※放置竹林問題とは​…竹は生育が早いので放置すると付近への悪影響も多い。食用タケノコは輸入が増え、加えて消費自体も減っているため、全国的な問題に。

PHOTO :
善家宏明
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
宮内亜弥