謝罪の手紙を書く際に重要なのは、何よりもまず「自分の非を潔く認める姿勢を示すこと」。そして「日常よりも改まった言葉遣いで、真摯に反省する態度を示すこと」です。マナーをおさえた手紙の書き方のポイントと、シーン別の謝罪の言葉をご紹介しましょう。

【目次】

今後の関係悪化が懸念されるなら、事の大小にかかわらず手紙で謝罪。
今後の関係悪化が懸念されるなら、事の大小にかかわらず手紙で謝罪。

【「お詫びの手紙」が必要なのはどんなとき?】

お詫びの手紙が必要となるのは、大きなミスで相手に多大なご迷惑をかけたときはもちろんですが、取引先や目上の方など、今後の関係悪化が懸念される場合、事の大小にかかわらず、お詫びの手紙で誠意を示すことが大切です。相手とどの程度の信頼関係を築けているかなど、慎重に判断して。

■シーン1:大きな過ちを詫びる

■シーン2:大切な顧客にミスを詫びる

■シーン3:依頼や誘いを断るために詫びる

■シーン4:後輩や部下のミスを詫びる

■シーン5:顧客からのクレームに詫びる


【「手紙」の基本的な「マナー」】

■誤字脱字のチェックはマナー以前の礼儀です

手書きの手紙に慣れていないと、書き損じも多いものです。まずは下書きをし、要点が簡潔にまとまっているかを吟味して推敲しましょう。状況説明とお詫びを繰り返すような文章は、かえって印象を損ねかねません。便せん2枚程度にまとまるよう調整し、正しい言葉遣いができているか、間違った漢字を使っていないかなど、よく確認しましょう。手紙で修正テープを使うのは失礼です。ましてや謝罪の手紙ならばなおさら。せっかくの手紙が逆効果にならないためにも、間違いがあったら最初から書き直しましょう。

■便せんや切手、筆記具にも気遣いを

本来は直接出向いて伝えるべき用件、例えばお詫びや依頼、お悔やみなどの改まった内容は一筆箋やハガキではなく、手紙が基本となります。便せんは、白無地で罫線がなく縦書きに使用できるものが正式封筒も白無地で二重になっているものをセットで用意します。とはいえ、ビジネスシーンでは「横書き」が圧倒的に多く、謝罪の手紙も「横書き」で書かれることも多いようです。また、以前は便箋の枚数が1枚になったとき、白紙の便箋をもう1枚つけたものですが、昨今では環境保護などの観点から重要視しない傾向となっています。伝統を重んじる相手や正式な手紙でのみ、意識するとよいでしょう。

切手は、現在(2022年11月)定形郵便の場合、重量25g以内で84円分が必要です。料金不足は論外。手持ちのもので間に合わせたという印象を避けるために、1枚もしくはなるべく少ない枚数で金額を合わせます。筆記具は、黒かブルーブラックの万年筆を使うと丁寧な印象に。黒いボールペンでも問題ありませんが、消せるタイプのボールペンはNGです。

■手紙は4つの構成要素が基本

手紙の基本的な構成は、①前文 ②主文 ③末文 ④後付 です。①でまずは時候の挨拶と相手の近況をうかがい、②で用件に移り、③で相手の健康や反映などを願い、④の日付、差出人、宛名で完成、というのが基本的な流れです。ビジネスでは、前文の頭語(とうご・書き出し)に「謹啓(きんけい)」を使います。「謹啓」は一般的に使われる「拝啓」よりも格の高い言葉です。末文の結びは、「敬白(けいはく)」あるいは「謹言(きんげん)」となります。


【謝罪文の「ポイント」と「注意点」は?】

■謝罪の手紙はタイミングが命!

メールほどではないにしろ、手紙にも出すのに適したタイミングがあります。特に謝罪の手紙はなるべく早く出すことを心掛けましょう。場合によっては、原因、経過、これからの対応などを書き添えることも必要ですが、あとから改めてのご報告でもよいのです。時間が経ってから手紙を出しても気持ちが伝わりません。もしもやむを得ない理由で遅くなるのであれば、まずは電話でその旨を謝ってから手紙を出すのが正解です。依頼などのお断りに関しても、遅れるほど断りにくくなるので、早く手紙を出すのがいちばんです。相手に期待をもたせてしまうのも、申し訳ないものです。お詫びの気持ちを表しつつ、断りの意思表示は明確に。

■自分の非を潔く認めること。言い訳しない!

何を謝るかにもよりますが、大きな過ちを詫びるのであれば、時候の挨拶なども抜きにして、ただただ心を込めて謝ることが大切です。ひたすら誠意をもって謝罪と反省を記します。基本は、人のせいにせず、自分に非があることを潔く認める姿勢を見せること。自分ではどうしようもなかったことを伝える場合でも、言い訳がましく聞こえるフレーズはNGです。弁解がましいと反省がないように受け取られ、逆効果になってしまいます。そもそも、「申し訳ありません」の語源は、「言い訳はありません」という意味の言葉です。「申し訳ありません」と書きつつ言い訳を連ねるのは、語義としても矛盾しています。

■日常よりも改まった言葉で真摯な反省を示す

謝罪会見では、謝る当人はたいていスーツなど改まった服装で、女性なら清楚な髪型やメイクで登壇します。沈痛な表情で謝罪し、頭を下げます。心から反省していることを態度で示す必要があるからです。手紙も同じです。マナーに適った文具を使い、改まった印象の書き言葉を使うことで、真摯に反省していことを示しましょう。


【そのまま使えるお詫びの言葉「例文」】

最後にシーン別の例文をご紹介しましょう。

■シーン1:大きな過ちを詫びる

・「このたびは私の不手際から大変なご迷惑をおかけいたしまして、お詫びの言葉もございません」

・「改めてお詫びに伺う所存ですが、まずは心より陳謝申し上げます」

・「多大なるご迷惑をおかけしましたこと、誠に申し訳ございません。幾重にもお詫び申し上げます」

・「このような不始末を起こし、何の申し開きもできません。すべて私の責任と深く反省しております」

・「このような事態を招いてしまい、慚愧(ざんき)に堪えません。心よりお詫び申し上げます」

・「このような結果となり、面目次第もございません」

・「今後このようなことがないよう、気を引き締めてまいります。平にご容赦くださいますようお願い申し上げます」

・「ひとえにわたくしどもの落ち度で、まったく申し開きのできないことです」

■シーン2:返信の遅れなど日常的なミスを詫びる

・「初歩的なミスをいたしまして、お恥ずかしい限りです」

・「ご無沙汰を重ねてしまい、申し訳なく思っております」

・「不調法をいたしまして、大変失礼いたしました」

・「とんだ粗相をいたしまして、申し訳ございませんでした」

・「こちらの処置に不手際がございました。申し訳ございません」

■シーン3:依頼や誘いを断るために詫びる

・「ご依頼の件、誠に申し訳ありませんが、お引き受けいたしかねます」

・「大変恐縮ですが、悪しからずご了承いただけましたら幸いです。何卒ご容赦くださいませ」

・「申し訳ございません。今回のお話につきましては、見送らせてください」

■シーン4:後輩や部下のミスを詫びる

・「弊社の新人がご迷惑をおかけいたしました。誠に申し訳ございません」

・「私の監督不行き届きでご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます」

■シーン5:顧客からのクレームに詫びる

・「注意が行き届いておりませんでした。申し訳ございません」

・「お恥ずかしい限りですが、考えが及んでおりませんでした。今後は細心の注意を払ってまいります」

・「申し訳ございませんでした。今後は襟を正して、業務に邁進する所存でございます」

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「謝罪の手紙」を書くにあたっては、心から反省する気持ちはもちろん大切ですが、その気持ちを伝えるためには正しいマナーと適切な言葉遣いが必要です。謝罪のシーンこそ、大人の良識と語彙力が試されます。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『心が通じる 手紙の美しい言葉づかい ひとこと文例集』(池田書店) /『大切な人へ贈る 手紙に添える季節の言葉365日』(朝日新聞出版) /『印象が飛躍的にアップする大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版) /『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』(宝島社)) /『ひと言で知性があふれ出す 大人の語彙力が身につく本』(かんき出版) :