カレンダーや手帳には、「大安」や「仏滅」「先勝」などの記載があるものが多いですね。「大安」や「仏滅」はなんとなくわかっても、「先勝」「先負」となると意味があやふやに…。これらは中国の「六曜」に基づいたもの。今回は「先勝」を解説します。
【目次】
【「読み方」「意味」は?基礎知識】
■「読み方」 は?
「先勝」は「せんしょう」ですが、「さきがち」「せんかち」とも読みます。
■「先勝」の「意味」は「先んずれば勝つ」
「先勝」にはふたつの意味があります。
1) 何回か勝負を争うときに、まず先に勝つこと。
2) 毎日の吉兆を占う「六曜」のひとつ。この日は勝負ごと、訴訟や急用などに運がよいとされ、早い時刻ほどよく、午前は吉、午後は凶になるなどの俗信がある。
この記事では2の意味での「先勝」について解説します。
「六曜」は中国で誕生した暦注(その日の運勢など)の一種。カレンダーや手帳の日付の脇に「大安」「仏滅」などと書かれている、あの文字です! 日本へは鎌倉時代に伝わり、大流行したそうです。仏教を連想させる漢字が使われていますが、実は仏教や神道など、宗教とは関係ありません。「六曜」はその名の通り「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」と6種類あり、基本的に並び順もこの通り決まっています。それぞれが意味をもち、その日の吉凶に加え、時間帯による吉凶や「やってはいけないこと」もあるとされています。そして、「先勝」の意味は一般的に「先んずれば必ず勝つ」。「何か大切なことは、午前中など早い時刻に済ませるとよい」というのが日本での風習です。
■「先勝」は午後2時までが「吉」
「先勝」は「午前が吉」とされる日ですが、具体的に何時までが「吉」なのか、ご存じですか? 一般的には午前といえば正午(昼の12時)までというのが共通認識ですが、「六曜」における「午前」は「午後2時まで」。ポイントは「午後は凶」という点です。「先勝」の日は午後2時を過ぎると「吉が凶に一転」。凶の時間帯は午後6時ごろまで続くとされています。つまり「先勝」の日は、自分にとって何か大切なことをするのなら午後2時までに。午後6時まではじっと我慢し、新たにはじめるのは午後6時を過ぎてから、ということになります。
【「先勝」の日に「してはいけない」ことってあるの?】
「先勝」は勝負ごと、訴訟や急用などに運がよいとされています。一般的にお祝い事は「大安」や「友引」に行われることが多いのですが、午後2時までであれば「先勝」も吉。もちろん、気にする必要はないのですが、招待客に気を遣うのであれば、結婚式や披露宴などは午後2時までにはじめるといいかもしれませんね。また、「縁起担ぎ」という意味では、「納車」も午後2時までが「吉」です。
■午後2時までが吉:結婚式、披露宴、納車、告別式などの法事
■避けたほうがよいこと:お通夜
「六曜」の考えに基づくと、「先勝」は勝負事に関わることを意識するとよい日です。お葬式や法事は勝負事とは関係ないため、基本的に問題はないとされていますが、お通夜に関しては、夕方始まって夜通し続くこと、さらに翌日は友を引き連れるという意をもつ「友引」の日になってしまうため避けるべきといわれています。
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「先勝」を含む「六曜」は、中国で誕生した暦注(その日の運勢など)の一種です。あなた自身は気にしなくても、相手がそうだとは限りません。世代が違えばもちろん、同じ世代であっても、考え方は人それぞれ。そして、祝い事、とくに大勢が集まる祭事では、「みなが気持ちよくいられる」ことが大切ですよね。頭の片隅に留め置いて、無理のない範囲であれば、「先勝」の日には大切ごとは「午後2時までに終わらせる」、あるいは「午後2時までに始める」ことを心掛けてはいかがでしょうか。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) :