旅先では日常の喧騒を離れて、静かなおこもり時間を過ごしたい。そんな人におすすめなのは秘湯の宿です。自然のなかにひっそりと佇む湯宿は、大地からの贈り物である温泉の恩恵をダイレクトに浴びられるスポット。それに加えて、息を呑むような日本の原風景、地元の食材を生かした心づくしの料理など、秘湯の宿はアクセスの不便さを補ってあまりまる魅力にあふれています。
行けば必ず感動する。わざわざ足を運びたくなる。そんな名宿を温泉ジャーナリストの植竹深雪さんにピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、大分県九重町にある「山あいの宿 喜安屋」です。
公式サイト
ただただ温泉に癒されたい!山あいの宿で極上のおこもり時間を過ごす
大分県九重町の標高1000メートルに位置する筋湯温泉。下界とは隔絶された静かな環境に佇む湯宿が、今回ご紹介する「山あいの宿 喜安屋」です。
「大分といえば別府や湯布院などがメジャーですが、落ち着いた雰囲気でゆったりおこもり時間を過ごしたい人に特におすすめしたいのは筋湯温泉。なかでも、喜安屋は離れにある10の客室全てに露天風呂を完備しており、日々のストレスから解放され、ひたすら温泉に向き合いたい人にぴったり。客室の雰囲気、湯のよさ、そしてお食事とどの方面も隙がなく、トータルでのクオリティが傑出した湯宿です」(植竹さん)
「客室は黒と土色を基調とするほっと寛げる空間。部屋に露天風呂が付いているおかげで、いつでも思い立ったときにかけ流しのよき湯を堪能できます。露天風呂は部屋ごとに趣が異なるそうで、私が泊まった部屋では石造りの浴槽。坪庭を眺めながらの湯浴みは至福のひとときで、しみじみ贅沢な環境でとことん非日常を味わい尽くせました」(植竹さん)
「客室の露天風呂だけでも満足度MAXなのに、喜安屋がさらにすごいのは、その他のお風呂も充実していること。大浴場に男女別の内湯と露天風呂が1つずつ、さらに貸切の内湯と露天風呂が2つずつと、まさしく温泉三昧なステイを叶えられます。客室の居心地がよすぎるのでついおこもりしたくなりますが、大浴場や貸切風呂にも足を運べば、客室とはまた一味違った雰囲気もありますし、ぜひ湯巡りを満喫してはいかがでしょうか」(植竹さん)
「喜安屋は秘湯を守る会の会員宿で湯のよさはお墨付き。泉質はナトリウム-塩化物泉で、体の芯から温まり湯上り後もポカポカ感が持続します。さらに、こちらの湯は天然の保湿成分であるメタケイ酸が豊富。メタケイ酸は肌のセラミドを整えてしっとり潤う効果が期待できるとされています。思う存分、温泉を満喫できる環境のおかげで、美肌効果もしっかり実感できました」(植竹さん)
黄金のイクラに舌鼓!夜も朝もハイクオリティな食卓で心まで豊かに
喜安屋は温泉だけでなく、料理も絶品だと植竹さん。
「豊後牛や山女魚、山菜など、地元の旬の食材の持ち味を生かし、和の粋を凝らした料理は体が喜ぶヘルシーなおいしさです。黄金色に輝く山女魚のイクラは、限られた地域でしか食べられない珍味。鮭の赤いイクラよりもしっかりとした弾力があり、口の中でプチプチと弾ける食感がたまりません。
また、個人的には季節メニューのトウモロコシのすり流しに感動。トウモロコシの甘みと繊細な出汁が絶妙で、お酒との相性も抜群でした。私が訪れたのは初夏でしたが、ほかの時期にはまた別の旬菜による出汁感たっぷりの椀物を味わえるのではないでしょうか」(植竹さん)
「夕食も素晴らしかったのですが、喜安屋は朝食も格別。温泉旅館というより料亭のような朝食で、味噌汁や焼魚、だし巻き玉子といった定番メニューも、ほかには類を見ない奥深さが感じられます。それに、よく見ると食器も葉っぱの形をしたものなど、ひとつひとつ季節感やこだわりがあって、まさに一切の手抜きなしです。
食後のコーヒーはセルフサービスで好きなカップを自分で選ぶのですが、かわいいデザインのものばかりだし、そんな細部にまで宿るおもてなしにお腹だけでなく心まで満たされました」(植竹さん)
以上、筋湯温泉の「山あいの宿 喜安屋」をご紹介しました。ただひたすら心を空っぽにして極上の湯と料理を堪能したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?
※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
問い合わせ先
- 山あいの宿 喜安屋
- 住所/大分県玖珠郡九重町湯坪527
客室数/全10室
料金/1名 ¥19,250~(税込) - TEL:0973-79-3341
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生