温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、日本全国に数ある温泉旅館のなかから、行けば必ず感動する秘湯の宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、山形県南陽市にある「山形座 瀧波」です。
公式サイト
客室の露天風呂で生まれたての温泉を堪能する贅沢滞在
JR山形新幹線「赤湯駅」より車で8分。「山形座 瀧波」は市街地にありながら、重厚な茅葺門から敷地内に足を踏み入れた瞬間、別世界に迷い込んだような気分に誘われる湯宿です。
「山形県は、35市町村全てに温泉が湧くほどの温泉王国。県内の温泉地も130か所以上にのぼりますが、なかでも私が推したいのは赤湯温泉。蔵王や銀山ほどの知名度はありませんが、開湯920余年の歴史を誇る知る人ぞ知る名湯で、昔ながらの宿場町の面影を残す温泉郷はわざわざ訪れる価値ありです。
その赤湯温泉において、ひときわ湯のよさに感動したのが『山形座 瀧波』。全ての客室に露天風呂を備え、赤湯温泉の源泉を思う存分堪能できるのが醍醐味です」(植竹さん)
「通常、温泉の湯は一旦タンクに貯めて湯口から浴槽へと注がれることが多いのですが、私の泊まった客室の露天風呂では、浴槽の底から直接、源泉が供給されるのにまず感動しました。
というのも、湯は空気に触れることで劣化が始まりますが、瀧波では“地中から湧き出す成分をそのままの質で堪能してほしい”というご主人の飽くなきこだわりで、この供給方式が採用されているのです。空気に一切触れていない生まれたての湯は力強さが感じられ、それを客室で独り占めできる贅沢の極みはここでしか味わえません」(植竹さん)
「また、ここは源泉が61度とかなり高温なのに、一切加水なしでゆっくり入っていられる適温に仕立てられているのにも驚きです。その背景にあるのは、3人の湯守の匠の技。外気温を考慮して常にバルブの細かな開け閉めで湯加減を調整しているのだそうです」(植竹さん)
「泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。ほのかに硫黄の香りがして、湯の花が舞う露天風呂での湯浴みはまさしく至福の時間です。絶妙な湯づかいによりよき湯を堪能できるのは、湯守さんのおかげ。湯に浸かっているだけでじんわりポカポカ温まり、しっとり潤う感覚も実感できました。ここまで妥協のない本物志向は全国でも指折りで、本当にわざわざ来てよかった!…との思いを禁じえません」(植竹さん)
山形の旬に舌鼓!素材にこだわり抜いた一期一会の料理に感動
「山形座 瀧波」では、湯遣いだけでなく、食事にも徹底したこだわりがあります。
「ダイニングは『1/365』という名称で、“その日そのときの最高の食材で食事を提供する”という思いが込められているのだそう。その名のとおり、料理長自らで摘み取った山菜や県内の契約農家から仕入れるオーガニック野菜、米沢牛などの厳選食材を駆使した一期一会の料理を楽しむことができます。
たとえば、芋煮ひとつとっても、瀧波では素材に一切の妥協なし。郷土料理として芋煮を提供しているお店や宿は山形県内にたくさんあるかと思いますが、瀧波の場合、芋煮のレベルを超えた芋煮といいますか、ちょっとほかでは味わえない唯一無二の上品さが印象に残っています。
また、日本酒やワインのラインナップも豊富で、幻の日本酒といわれる『十四代』も。料理とお酒のマリアージュでお腹も心も大満足です」(植竹さん)
以上、「山形座 瀧波」をご紹介しました。客室で源泉かけ流しの極上の湯を堪能し、ダイニングで山形の旬に舌鼓を打ちたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?
※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
問い合わせ先
- 山形座 瀧波
- 住所/山形県南陽市赤湯3005
客室数/全19室
料金/1名 ¥48,400~(税込) - TEL:0238-43-6111
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生