2023年の手帳やカレンダーを準備する季節となりました。店頭で手にしたり、気に入って購入したものには「大安」や「友引」「先負」などの文字があるかもしれません。今回は、このうちの「先負」について解説します。正しい読み方、解釈、利用の仕方から、ビジネスにもきっと役立つ2023年のラッキーデーまでご紹介していきます。
【目次】
【カレンダーにある「先負」とはいったい何?役立つ基礎情報 】
■読み方
そのまま読むと、「せんぶ」「せんぷ」「さきまけ」「せんまけ」などとなりますよね。実は、どれも間違いではありません。ただし、「せんぶ」と読むことが多いようです。
■意味
まずは「先負」という単語が何を示しているのか、ということから説明します。これは、「陰陽道(おんみょうどう)」をもとにした、日の吉凶をみる「六曜(ろくよう)」のひとつ。先勝 (せんしょう/さきがち)、友引 (ともびき)、先負、仏滅 (ぶつめつ)、大安 (たいあん)、赤口 (しゃっこう/しゃっく)とあり、婚礼には仏滅を避けて大安が選ばれたり、葬式には友引が忌まれるなど、現代でも活用されています。
そして、「先負」の日、すなわち「先負日(せんぶにち)」は、万事に平静であることがよいとされています。漢字のイメージから「よくない日」という認識の人もいるかもしれませんが、そういうわけでもないのです。ただし、急用や争いごと、公事などは避けたほうがよいでしょう。
■午前は凶、午後は吉?
六曜を吉凶占いと説明しましたが、「先負」の吉凶は時間帯がポイントに。そもそも「先負」は「先んずれば負ける」と解釈され、この「先」は午前中のこと。つまり午前中は縁起の悪い時間帯なので、行動を起こすなら午後にせよ、ということなのです。ただし「先負」は「平静であることがよい日」ですから、何かを始めたり、大きな決断をするには向かないとされています。また、午後になれば運が特別よくなるということではありません。「午前中よりは…」くらいの感覚でいるのがよいでしょう。
【結婚式、葬式、引っ越しは?「先負日にしてはいけないこと」】
平静をよしとする日である「先負」は、言い換えると「現状維持でやり過ごすべき」ということ。そのため契約や開業を避けるなど、ビジネスでも用いられることが多いようです。気になる事柄を「先負日」にしてもいいのかどうか…検証します。
■契約
取り引き先との事業契約、会社の登記、不動産の購入など、大きな契約事は気になるところですが、実は「先負日」に行なっても特に問題はないようです。気になるなら吉タイムとなる午後にどうぞ。NGなのは、訴訟など争いごとに関係する契約や約束です。
■引っ越し
引っ越しは「大安日」が人気。ですが運送業者が混んでいたり、料金が高く設定されているなどのデメリットがある場合も。「先負」の意味合いからすると引っ越しは避けたほうが無難かもしれませんが、日程や予算の都合でどうしても、という場合は、午後からのスタートがおすすめです。
■慶事
結納や結婚式、入籍などがNGなのは凶日である「仏滅」や「赤口」です。「先負」はお祝い事を避けるべき日ではないので、慶事を行っても問題なし。とはいえ、家族や親族など、周囲が六曜にこだわるなら、やはり午後に行うのが波風が小さく済みそうです。
■弔事
葬儀に関してはまったく問題がありません。それは、六曜と宗教は無関係だから。ただし「友引」は「友を引く=友も呼ばれる」と解釈されることから、一般的に弔事は避けられます。「先負日」は時間帯を問わず、通夜や告別式を行えます。
■宝くじの購入
普段は六曜を意識していなくても、宝くじ売り場で「大安吉日」の幟(のぼり)を見るとつい…という人も多いのでは? では「先負」に宝くじを買うのはどうでしょう。「先負日」は特に争い事は避けたほうがよいとされるため、金運や勝負運がからむ宝くじの購入はおすすめできません。
【気になる「先負日」の注意点】
手帳やカレンダーを使わず、「Googleカレンダー」のようなウェブ上のアプリケーションでスケジュール管理する人も多くなりましたが、“手書き手帳派”の上司や、吉凶にこだわる世代の仕事相手とのコミュニケーションには、六曜が用いられることがあるかもしれません。今回取り上げた「先負日」の注意点を、サクッとまとめます。
■平静でいるのがよい
■争いごとや勝負ごとは避ける
■縁起を気にするようなことをするなら午後に
■特にするとよい、ということはない
【2023年の最強日はいつ?宝くじは3月21日に!】
陰陽道での「天赦日(てんしゃび/てんしゃにち)」は、1年の中でも極上の吉日。天がすべてを赦(ゆる)す日で、何をするのもよい日とされています。また「一粒万倍日(いちりゅうまんばいび/いちりゅうまんばいにち)」は、1粒が万倍になって実るという吉日。このふたつが重なるのは2023年では下記の3日です。
■1月6日(金) 友引 天赦日 一粒万倍日
■3月21日(火) 先勝 天赦日 一粒万倍日 寅の日
■8月4日(日) 大安 天赦日 一粒万倍日
1年にたった3日しかないこの最強運日のなかで、金運的にトップオブ最強日なのが、「寅の日」でもある3月21日。「寅の日」は金運招来日といわれていて、古代中国で金色の縞模様である寅を「金運に繋がる動物」「邪気を払う神聖な動物」としたことに由来します。宝くじの購入や投資、財布の新調、銀行口座の開設などは、2023年の3月21日にすることをを考えてみるのもよさそうですね。
***
普段の生活では気にしていないものの、契機となるような大事や、金運に関わることは占いを気にする…そんな人もいるのでは? 年長者との仕事で「部長、明日は先負日ですから契約は午後がよろしいのでは?」などと進言したら、あなたの株も上がるかも?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館) :