旅先では日常の喧騒を離れて、静かなおこもり時間を過ごしたい。そんな人におすすめなのは秘湯の宿です。自然のなかにひっそりと佇む湯宿は、大地からの贈り物である温泉の恩恵をダイレクトに浴びられるスポット。それに加えて、息を呑むような日本の原風景、地元の食材を生かした心づくしの料理など、秘湯の宿はアクセスの不便さを補ってあまりまる魅力にあふれています。
行けば必ず感動する。わざわざ足を運びたくなる。そんな名宿を温泉ジャーナリストの植竹深雪さんにピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、熊本県阿蘇郡にある「奥阿蘇の宿 やまなみ」です。
公式サイト
田舎に里帰りしたような温もりのある宿で源泉かけ流しの湯を堪能
熊本と大分の県境に位置する産山(うぶやま)村。奥阿蘇の自然に包まれたのどかな田園風景の中に佇む「奥阿蘇の宿 やまなみ」は、築100年を超える古民家を移築して造られた平屋建ての宿で、まるで田舎のおばあちゃんの家のような郷愁を抱かせる空間です。
「やまなみの創業は今から半世紀以上前の昭和42年(1967年)。もともとは農家の民宿としてスタートしましたが、2006年にご主人が地下1000メートルから温泉を掘りあて、源泉かけ流しの湯を楽しめる宿になったという経緯があります。客室数が10室というこぢんまりとした旅館ですが、男女入れ替え制の大浴場と貸切風呂3つを備え、のんびり温泉三昧したい人には最高の環境です。
何と言ってもここは湯量が豊富で湯の質が抜群。源泉は45度で、湯舟ではちょうどいい感じの湯温になり、加温・加水一切なしで源泉かけ流しの湯を堪能できます。pH9.1のアルカリ性の湯はとろりと気持ちがよく、古い角質を穏やかに落としてくれてお肌もスベスベになりました」(植竹さん)
「複数ある湯処のうち、名物は大浴場の“かぼちゃ風呂。岩を積み上げた風情ある浴槽は、なんとご主人の手造りです。それから露天風呂の『四季の湯』は、その名のとおりまさしく四季の景観を眺めつつ湯浴みするのにぴったり。ちょうど私が訪れたときには目にも鮮やかな新録に癒されました」(植竹さん)
「家族風呂は純木造の建物に設置されており、樽や石造りの浴槽にレトロな風情が。どの湯に浸かっても、現代の都市生活では決して味わうことのできない、秘湯ならではほっこりとした原風景に心身がリフレッシュされること間違いありません」(植竹さん)
名物は漬物バイキング!ここでしか味わえない郷土料理が絶品
「やまなみでは、滋味深い郷土料理も自慢。産山の山菜や川魚、阿蘇の赤うしなど食材に恵まれ、かつ、名水百選のひとつ池山水源に近いという地の利も生かした料理は五臓六腑にしみじみと染みわたるようなおいしさです」(植竹さん)
「そして、やまなみの料理で何よりも私が推したいのは、漬物バイキング。夕食でも朝食でも、女将さん手作りの漬物が20種類以上も提供され、セルフサービスで好きなだけ食べられるのです。その日のラインナップが書かれた木札が壁にズラリとかかっていて、その眺めだけでも壮観。塩辛いものだけでなく、お酢がきいたものや昆布だし風味のものなど実にバラエティ豊かで、漬物の世界の奥深さに感動…。すっかり胃袋をつかまれてしまいました」(植竹さん)
以上、「奥阿蘇の宿 やまなみ」をご紹介しました。自然に囲まれたのどかな環境の中での源泉かけ流しの湯、そして阿蘇の食材を生かした郷土料理にほっこりと癒されたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?
※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
問い合わせ先
- 奥阿蘇の宿 やまなみ
- 住所/熊本県阿蘇郡産山村田尻254-3
客室数/全10室
料金/露天風呂付き和洋室 2名1室 1名あたり26300円~(税込) - TEL:0967-25-2414
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