旅先では日常の喧騒を離れて、静かなおこもり時間を過ごしたい。そんな人におすすめなのは秘湯の宿です。自然のなかにひっそりと佇む湯宿は、大地からの贈り物である温泉の恩恵をダイレクトに浴びられるスポット。それに加えて、息を呑むような日本の原風景、地元の食材を生かした心づくしの料理など、秘湯の宿はアクセスの不便さを補ってあまりまる魅力にあふれています。

行けば必ず感動する。わざわざ足を運びたくなる。そんな名宿を温泉ジャーナリストの植竹深雪さんにピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、和歌山県・勝浦にある「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

一島一宿の特別感&太平洋と一体化できる絶景露天風呂の夢時間

一島一宿のロケーション
一島一宿のロケーション

JR南紀勝浦駅近くの桟橋から、専用の連絡船に乗ること約5分。今回ご紹介する「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」は、四方海に囲まれた孤島にあるという全国的にも珍しいロケーションの湯宿です。

ラグジュアリーな雰囲気のロビー
ラグジュアリーな雰囲気のロビー

「プチ船旅で湯宿に向かう道中、否が応でも気分が高揚しますが、『碧き島の宿 熊野別邸 中の島』はその期待を裏切りません。島内に源泉を6本所有し、温泉湧出量が1日700トン、毎分486リットルという恵まれた環境にて、夢のような滞在時間を叶えることができます。

なかでも名物は、大露天風呂『紀州潮聞之湯』。海を目の前に臨み、その名のとおり潮騒に耳を傾けながら湯浴みできるインフィニティ温泉です。開放的な雰囲気で太平洋との一体感を味わえるのは、孤島の湯宿ならでは。また、時間帯によって湯の色がグリーンがかって見えたり乳白色に見えたり微妙に変化するのが何とも神秘的です」(植竹さん)

目の前に波が押し寄せてくる絶景露天風呂
目の前に波が押し寄せてくる絶景露天風呂

「大露天風呂のほかに貸切露天風呂もあります。貸切はこぢんまりした浴槽に源泉が惜しみなく供給されて、湯の状態が常に新鮮。絶景という点では、大露天風呂に軍配が上がりそうですが、プライベートな空間でよき湯にじっくり向き合うという点では、貸切もおすすめです。

泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。海辺に塩化物泉はよくありますが、硫黄混じりというのは珍しく、ありがたみを感じます。少しずつさまざまな成分が溶け込んだ湯は、しっとりとした浴感。湯上り後、しばらく汗がひかないほどよく温まりましたし、また硫黄のメラニン分解作用の恩恵で美白効果も実感できました」(植竹さん)

内湯もオーシャンビュー
内湯もオーシャンビュー
プライベートな湯浴みを楽しめる貸切風呂も人気
プライベートな湯浴みを楽しめる貸切風呂も人気

「そして、こちらのお宿はオーシャンビューの客室の雰囲気も随一。何と言っても島全体が宿なので、周辺に車も電車も走っていない静謐な環境で心身を癒すことができます。客室で寛ぐもよし。温泉に入るもよし。そして、湯上りのラウンジでドリンクやアイスをいただくもよし。

ナイトタイムのラウンジでは、紀州南高梅を使った梅酒なども提供されています。リゾート感、非日常感あふれるステイを叶えたい人にうってつけの宿ではないでしょうか」(植竹さん)

客室からの眺め
客室からの眺め
大人の寛ぎ時間を過ごせるラウンジ
大人の寛ぎ時間を過ごせるラウンジ

朝から鮪三昧!新鮮な海の幸を生かした創作会席料理が絶品

食事も海を眺めながら…。
食事も海を眺めながら…。

「孤島の湯宿だけあって、料理は海の幸がたっぷり。勝浦は日本有数の鮪基地なので、鮪をこれでもかというくらい堪能できます。水揚げされたばかりの鮮度抜群の鮪は臭みやえぐみがなく、いくらでもお腹に入りそうな感じです。

夕食もさることながら朝食から鮪三昧なのにはびっくり。鮪の漬けや、鮪のネギぬたなどビュッフェ形式でバリエーション豊富に鮪を味わえました。ちなみに、私が訪れた後にリニューアルされて、より高級志向に。鮪をはじめ地元の旬の素材を生かすというコンセプトは残しつつ、味も見た目もかなりバージョンアップしているようです」(植竹さん)

海の幸以外にも熊野牛などが楽しめる会席料理
海の幸以外にも熊野牛などが楽しめる会席料理

以上、「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」をご紹介しました。海との一体感を味わえる大露天風呂や鮪三昧のごちそうを満喫できる孤島の宿で心身を癒したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生