メールなどの文書で頻繁に見る「併せて」という単語。「併せてご確認ください」や「併せてお願いいたします」など、あなたも使ったことがあるのでは? ビジネスシーンでの「あわせて」という言葉には「併せて」も「合わせて」も用いられますが、両者の違いを正しく言えるでしょうか。今回は、迷わず正しく「併せて」を使うため、基礎知識をしっかりおさらいしましょう。
【目次】
【「併せて」の「読み方」「意味」「英語」など基礎知識】
■読み方は ?
「併せて」と書いて「あわせて」と読みます。
■意味 は?
「併せて」は、「併せる」という動詞を副詞的、あるいは接続詞的に用いて使われる言葉です。このふたつの用法は、少々ニュアンスが異なるので、しっかり確認しましょう。
副詞的に用いる「併せて」は、「並行して」「同時に」という意味合いになります。たとえば「プレゼン資料の作成と確認を併せてお願いします」と言われたら、「資料の作成とその確認を同時に進めてほしい」という意味です。一方、接続詞的用法では、「加えて」というニュアンスに。たとえば「新年のお慶びを申し上げ、併せて皆さまの御健康をお祈りいたします」という挨拶は、Aに加えてBも、という意味なので接続詞的用法といえます。
■英語では?
「ほかの提案と併せて」は[in conjunction with other preposals]に。「併せてご確認ください」は[please also check]となります。また、[and]や[at the same time]を「併せて」と訳す場合も。
【「併せて」と「合わせて」の違いをしっかり把握!】
ここで混乱しがちなのが、発音が同じで漢字表記が異なる「合わせて」と「併せて」です。「合わせて」は、「ふたつ以上のものひとつにまとめる」「合計する」、あるいは「ふたつのものを釣り合うようにする」という意味でっす。「同時=併せて」「合計=合わせて」と覚えるといいかもしれませんね。
【「併せて」を使った「ビジネス例文」7選】
では「併せて」を使いこなすために、そのまま使えるビジネス例文をご紹介します。ビジネスシーンでは「同時に」「並行して」という副詞的意味合いで使われるケースが多いです。
■1:「本日もちあがりました問題点は、先日の修正点と併せてご対応いただけますようお願いいたします」
■2:「追加資料をお届けいたしますので、併せてご確認いただけますようお願い申し上げます」
■3:「納品と併せて請求書もお送りいただけますでしょうか」
■4:「ご依頼の文献が見つかりましたので、参考画像と併せて添付いたします」
■5:「企画書と併せて見積書もご送付いただけますと幸いです」
■6:「映像による解説と併せて実物をお試しいただけます」
■7:「昨日は不在にしており失礼いたしました。お土産をちょうだいし、併せてお礼申し上げます」
【「併せて」と同じ意味で使える「類語」「言い換え表現」と注意点】
「それとともに」や、「あることをする一方で」という意味の「傍ら(かたわら)」は、「併せて」と同じ文脈で使える言葉です。「併せてお礼申し上げます」と同じ意味で「重ねてお礼申し上げます」も使いたくなるところですが、「重ねて」を「併せて」と同義とするのは難あり! 「重ねて」は「同じ物・コトをふたつ以上」という意味です。つまり「重ねてお礼申し上げます」は先にお礼を述べた事柄があり、さらに別の事柄でもお礼を述べる際に使うべきもの。接続的用法がある「併せてお礼~」とは異なります。また、「AのついでにBも」の「ついでに」は「併せて」と同義ではありますが、ぞんざいな物言いと受けたられがち。仲間内での日常会話ならともかく、ビジネス会話で「ついでに」はNGと心得ましょう。
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今回は「併せて」を知ることで、「合わせて」についても勉強しました。漢字を正しく使い分けたいものですが、不安になったら平仮名でもいいでしょう。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)/『心理学的に正しい! 人に必ず好かれる言葉づかいの図鑑』(宝島社) :