【目次】

大人の「引き算メイク」とは?


引き算をしすぎても疲れた印象に見えてしまう

 
松本千登世さん
エディター・ライター、『BOOK212』代表
美容記事やインタビュー記事、エッセイ執筆、コピーライティングなどを中心に活躍。『顔は言葉でできている!』(講談社刊)など、多くの著書を執筆。“一生大切にしたくなる本”を創るために、出版社『BOOK212』を立ち上げ、絵本『ピンクのカラス』(BOOK212)を発表。英語版『THE PINK CROW』、仏語版『LE CORBEAU ROSE』も誕生。

「メイクを盛りすぎると老けて見える…という考えは浸透してきたと感じますが、逆に引き算をしすぎても疲れた印象に見えてしまうことがあります。メイクの引き算の塩梅って一見難しく思いますよね。特に『Precious』世代の方は、キラキラアイシャドウやバサバサになるマスカラなど、アイメイクに注力してきた方が多い世代。アイメイクをしたときとしないときの印象の差が大きく、さじ加減具合に迷ってしまうこともあるでしょう。

そこで大切なのは、“聡明さをもって引くこと”と私は考えます。例えば、マスカラでまつ毛をバサバサにしたら目の下に影ができてエイジングサインが際立つからマスカラを塗らない、アイシャドウの流行がオーロラに輝くものだとしても、自分が落ち着かないから大好きなグレージュトーンをとことん楽しむ――。そんな風にいまの自分にフィットする方法を見つけることが、“大人の引き算メイク”なのではないでしょうか。

そして、喜ばしいことに、今季は引き算メイクをサポートしてくれるアイテムが豊富です。“盛る”のではなく、“存在を引き立てる”アイテムで、生命力のある魅力的な顔立ちを叶えてほしいと思います」(松本さん)。

【新作アイメイク】松本千登世さん流・大人の引き算メイクとは?

大人のアイメイクの「お悩み」を解決!


Q:まぶたのハリが低下して、ラインがガタつき悪目立ち…どうしたら?

A:ぼかしてしまえば問題なし!

ガタついてしまったラインは、直後に綿棒ですばやくぼかせばなかったことに。やや広めのぼかしラインはまぶたに陰影を生み、ハリの低下によってぼやけてしまった目元にシャープさをもたらす効果も。

カラーアイライナーで目元をメイクしたモデルの松田珠希さんとカラーアイライナー
とろけるような柔らかさ。ごく軽いタッチでラインが引けるのでデリケートな目元にも優しい。ぼかすことで目元に程よい引き締めとモード感のある煌めきをもたらすガンメタル。M·A·C カラー エクセス ジェル ペンシル イズント イット アイロニック ¥4,070

引いた直後にラインの上に綿棒を当て、上に向けてすばやく動かす。二重線の内側を目安にライン全体をふんわりとぼかして。

Q:左右対称にラインを引くためのコツは?

A:目尻から約7ミリを始点にするのがコツ

アイラインの始点と終点を決めれば、左右対称な美ラインも簡単に。始点は目尻から7ミリの部分、終点を目の下の縁の延長線上に設定。始点と終点、目尻と終点をそれぞれラインでつなぎ三角形の内側を塗りつぶせば完成!

モデル松田珠希さんの目元
 

引き締め効果の高いダークカラーを使用する場合は、始点を目尻から5ミリの部分に設定すれば、きつく見えず柔らかな印象に仕上がる。

失敗しない!最旬&美麗な眼差しが叶う!カンタン【カラーアイライナーテクニック】Q&A

洗練されたアイメイクを極める「5つのポイント」


ブラウス_1

色は控えめに、光で魅せる「クワイエット・ラグジュアリー」なアイメイク。繊細な奥行きのある美しさを極めるなら細部に注目!アマチュア世代の美しさを際立たせる+αから手軽なアレンジ方法、「きれい」を長もちさせるポイントまで知っておきたいトピックスをご紹介します。

1.「マスカラ」まつげの先端まで美しい!格調高い仕上がりに

艶やかなミュートカラーのアイシャドウで表現したまぶたの繊細な立体感。それをより印象的に見せるのが、マスカラの3D効果です。濃密にボリュームアップすると影が強くなって目が小さくなってしまうので要注意。まつげの先端に向かってすっとのびる長さを意識して。目のフレームを自然に拡張しつつ上品な奥行きを演出できます。

マスカラ_1
シャネル ヌワール アリュール 10 ¥7,370

ケア効果が高く、寂しくなった大人のまつげにボリュームと長さを取り戻すハイスペックなマスカラ。ブラシがスリムで端までしっかり塗れて、目元に程よい強さを出す。

2.「ハイライト」目元のくすみやシワはツヤでカバー

目元のくすみやクマが気になってコンシーラーを塗り重ねていませんか? それではアイメイクの繊細な透明感が台無しに。目頭と鼻の付け根の間はI字状、目尻下は頬骨に沿って勾玉状にツヤを。肌全体が明るく華やいで目元の悩みをカバーし、光のメリハリで骨格美人に。大人を美しく見せる、この「プレシャス・ゾーン」をぜひ意識して。

ローラ メルシエ ローズグロウ イルミネーター ¥4,730
ローラ メルシエ ローズグロウ イルミネーター ¥4,730

自然な血色感と潤いに満ちたヌードカラーで、「もともと肌がきれいな人」に!

3.「アイライナー」影色アイライナーで目元に深みを

締め色を使わない「クワイエット・ラグジュアリー」なアイメイクに黒々としたアイラインはトゥーマッチ。とはいえ、まぶたのハリ不足やスカスカまつげが気になる大人は、目元の印象が弱くなりそう…。そこで、影色アイライナーでまつげの隙間を埋めるようにプラス。アイシャドウとマスカラをつないで自然な奥行きが生まれます。

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左/SUQQU ジェル ライナー ペンシル 04 ¥3,520、中/M・A・C カラー エクセス ジェル ペンシル スキップ ザ ウェイトリスト ¥4,070、右/ボビイ ブラウン ロングウェア クリーム ライナー スティック 01 ¥5,280

/濃密な発色でぼんやりした目元をしっかり引き締めるジェル ライナー。
/芯が柔らかく、ヨレることなく美しいラインが引け、使いやすい。
/まつげを濃く見せ、洗練をもたらすグレイッシュカラー。

4.「アイシャドウ」バリエーションを手軽に楽しむ

「クワイエット・ラグジュアリー」なアイメイクのバリエーションを手軽に楽しむなら…? 答えは、上下のまぶた共に、目頭・中央・目尻、と縦に3分割して光と影の配し方を変えること。同じアイテムでも対比が穏やかだとカジュアル、光を大胆に効かせるとドラマティック…と表情一新。昼と夜でイメージを変えたいときの参考に。

艶やかな「ミュートカラー」をアイホールにのせてまぶたの立体感を演出。さらに上まぶたは目を開けたときにちらりとのぞくように、下まぶたは黒目の下にツヤを足していきいきとした印象に。

同じアイシャドウを、目の上下の幅を拡張するようにのせてボリュームアップ。上まぶたの中央に目の丸みを際立たせるように、下まぶたは中央が明るくなるように塗り分ける。光と影の大胆な対比で品よく華やぎアップ。

5.「目元用プライマー」しっかりフィットしてきれいをキープ

透明感のあるアイメイクは、時間の経過と共に肌のくすみを拾って濁りがち。メイク前に目元用プライマーや美容液でまぶたのキメを整えておくと、しっかりフィットして「きれい」をキープ。さらに外出先では、メイクの上から使える美容液で潤いをチャージすると透明感とみずみずしさが蘇ります。繊細なアイメイクには、やはり繊細な心遣いが必要なのです。

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左/SUQQU アイ エンハンシング プライマー ¥3,850、右/カネボウ化粧品 センサイ アウェイクニング クリーミィアイエッセンス 20ml ¥16,170

/アイシャドウ前に仕込めば、つけたての質感や発色が持続。
/塗布直後にハリを実感。メイクの上にも使えるのでタッチアップにも。

色は控えめに、光で魅せる【最旬・夏のアイメイク】を極める5つのTopicsを伝授!

【1】若見え&優しげ見えが叶う「脱・黒アイメイク」


■赤み系のアイテムで、血色感目元に

もしかして、まだ黒のアイラインと黒のマスカラを使っていませんか? 今は黒を使わずに赤やブラウンなどの肌色の延長にある色を使ってメイクするのが当たり前。ただ目をハッキリさせる目的のために、黒に固執し続けるのは危険です。あなたの目元は自分で思っているより、怖くて古くさい仕上がりになっているかも…。

今旬の抜け感があってこなれて見える目元には、重量感のある黒はまったくもって不要です。最旬の目元に更新するには、ズバリ黒を使わないこと! 大人にふさわしい若見え&優しげ見えが叶う、“脱・黒”アイメイクに今すぐシフトしましょう。

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今や定番となった、赤み色のアイメイク。血色系のアイカラーは使うだけで最旬顔になれる最強色です。ここに黒のアイラインやマスカラは不要。思いきって3点セットすべてを赤み色で統一。重ねた赤みの美しさで、目元の鮮度を高めましょう。

【使用アイテム】

アイシャドウ_2,アイライナー_2,マスカラ_2
左/花びらから抽出されたような赤み色のパレット。SUQQU シグニチャー カラー アイズ 13 ¥7,700、中/どんな目元にもなじみやすいディープなプラムカラー。ゲラン クレヨン ユー 04 ¥4,070、右/大人のビターなアプリコットカラー。ADDICTION ザ マスカラ カラーニュアンス WP 004 ¥4,180
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SUQQU シグニチャー カラー アイズ 13 ¥7,700

【HOW TO】

<STEP.1>クマやくすみなどのネガティブを光色で消す

アイシャドウ_4

アイメイクの準備段階として、目周りの色の不均一を調整します。Aの光色をまぶたの上と目の下に広くなじませ、色ムラや凹凸の影を光で飛ばします。仕上がりに大きな差が出る、はずせないステップです。

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目の際から上に向かって、ブラシを左右に往復させながらなじませます。目の下は目尻から目頭へなじませて。

<STEP.2>黒の代わりに影色で骨格を強調し目力アップ

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シェードカラーで目の際とアイホールのくぼみに影をつけ、目元の印象を強化します。この影色を仕込む工程は、〝脱・黒〟では非常に重要な作業です。Bの影色を目の際からアイホールのくぼみにぼかします。

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ブラシを往復させ、目の際からアイホールのくぼみをシェーディング。もともとまぶたがくぼんでいる人は際だけでOK。

<STEP.3>赤み色の華やかさでメイクがきまる

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今回の主役となるのは黄みのある赤み色。Cの色を、二重の人は二重のラインより少し出るところまで、奥二重や一重の人は目を開けたときに色が見えるところまで、ぼかします。目の下にも約2ミリ幅で入れます。

アイシャドウ_9
目頭5ミリはあける

目の下は細いチップに替えて、目尻から目頭へなじませて。目の下の目頭側5㎜は何も塗らないのが抜け感を出すポイント。

<STEP.4>さらに赤みをプラスして眼差し印象を強化

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ステップ3まででアイカラーは完成しているけれど、さらにDのピンクよりの赤みを上まぶたに重ねて、強さを出してもいい感じに。Dの色をCと同じ範囲にプラスします。初めに色をおいたところが最も発光するので、上まぶたの中央から周囲に広げていく重ね方がおすすめです。

<STEP.5>アイラインも黒は使わない。赤み色でしっかり締まる

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アイラインはシックな赤紫ニュアンスのプラムカラーを選択。目の上の際を全体的に埋めたら、目尻から先は、下げたり上げたりせずに、水平に約5ミリ伸ばします。目の下には入れなくてOK。

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目尻から水平に5ミリ

目尻はフラットに5ミリで若々しい印象に。目の下にラインを入れると、目が締まってかえって小さく見えるので入れません。

<STEP.6>赤み系のマスカラでも生え際と黒目は強調できる

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マスカラももちろん黒は使わない。赤みのアプリコットカラーでしっかり目力をアップします。まつげはそもそもが黒いので赤みの色でもフレーム強化できます。根元にしっかり差し込んで立ち上げます。

マスカラ_4
下まつげはブラシを縦に。

下まつげを塗るときは、ブラシを縦にして左右に振りながら、根元から毛先まで1本1本に丁寧に塗ります。

マスクを取ったら最旬メイクに更新!“脱・黒アイメイク” で顔印象をブラッシュアップ

【2】かっこいい印象に見せる「抜け感アイメイク」


 
尾花 ケイコさん
ヘア&メイクアップアーティスト
(おばな けいこ)雑誌『Precious』をはじめ、数多くの女性誌やTVなどで活躍。清潔感のある美しさを引き出すメイクテクニックで業界人からも信頼が厚い。特に眉メイクの美しさには定評あり。美眉師としての認知度も高く、眉コスメの開発も手がける。

■指塗りだからこそ、絶妙な抜け感が!

時間と手間をかけて丁寧に仕上げたようなナチュラルさが魅力
時間と手間をかけて丁寧に仕上げたようなナチュラルさが魅力。

ブラシやチップと違い、指塗りだとエッジがきつくならず、ふんわりと丸みをもたせられるから、力が抜けたようなリラックス&エレガントな仕上がり。塗る場所は複数だけれど、使う色は目元1色、頬と唇で1色。だから、軽快で洗練されたワントーンの印象に。簡単&短時間で仕上がるのに、まるで時間と手間をかけて丁寧に仕上げたようなナチュラルさが、このメイクの魅力です。

ふっくらとした指の腹は、のばす、なじませる、ぼかすのに最適なツール。濃淡が自在に調節できるし、のせたいところに的確におけるなどコントロールがしやすい。さらに指の温度を利用してピターッと肌と密着&一体化させるのは得意中の得意。使用するのは力が入りにくい薬指。トントンとたたきながら広げたり、スッスッと色をのせたり…。これが基本の指使いです。

アイライナーペンシルの極太版ともいえる「クレヨン型アイカラー」。テクスチャーがソフトで“細くくっきり”・“ふわっとぼかす”、ついでにグラデーションまでつくるマルチぶり。アイラインが苦手、という人ほど試してほしいアイテムで、色はまぶたに自然な立体感と陰影を生むパール入りブラウン系を。“描く” “指でぼかす”の動作だけで、抜け感のある今どきのナチュラルアイメイクに!

<STEP.1>まぶたの中心あたりのアイホールの半分の範囲に3本のラインをスッスッと描く

アイライナー_2,アイシャドウ_2
まぶたの際は塗らない。

<STEP.2>薬指の腹を使って色をのせた中心から目尻、中心から目頭ヘとぼかす。速乾性があるので手早く!

薬指でスーッとぼかす
薬指でスーッとぼかす。

<STEP.3>上まぶたの際に中央から目尻、中央から目頭の順に描いていく。少し長めに描くことで目の幅を広げてリフトアップ効果が

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目尻は5ミリ長めに描く。

<STEP.4>STEP.3で長めに描いた目尻ラインを綿棒でスッとぼかしてなじませる。悪目立ちしない自然なリフトアップラインに

スッとぼかす
スッとぼかす。

<STEP.5>下まぶたラインはまつげが生えている範囲に。目頭→目尻に向かって軽いタッチでスーッと細く描く

「シスレー」“クレヨン型アイカラー”で【大人の旬顔メイク】アイラインが苦手な方にこそおススメな1本!

【3】目元に煌めきを与える「目頭ラインメイク」


■パールベージュカラーの光効果で凹みの影を飛ばす

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パールベージュのアイライナーで描く、光効果で凹みの影を飛ばす「目頭ライン」。

小ジワによる凹みの影が蔓延している大人の目元。コンシーラーでカバーすると厚ぼったくなりシワが目立つし、動きのが多い目元はヨレやすく、色ムラ状態に…。加齢目元の場合“光効果で明るく飛ばす”のが最善策で、それに適しているのが、このパールベージュのアイライナー。目頭にくの字を描いたら、下まぶたの中央まで描き、次に目尻ラインにもスッとのせて。目元の影、くすみを自然にカバーする唯一の方法です。

【HOW TO】

<STEP.1>上まぶたの目頭から下まぶたの中央まで「く」の字を描く

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<STEP.2>目尻にスッと描いてハイライト効果でくすみを飛ばす

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パールベージュの「目頭ライン」完成!
完成

【使用アイテム】

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シスレー フィト コール スター N No.9 ¥8,250

大人の目元に煌めきを与える【パールベージュ】アイライナーに注目!「シスレー」フィト コール スター N

【4】大人にちょうどいい「グリッター」をワンポイントでプラス


■いつものメイクを格上げしてくれる、グリッターアイシャドウ

アイシャドウ_1,リップ_1

いつものメイクアップの上に、ワンポイントでプラスするだけ。目元も頬もひとつのグリッターで使い回しOKです。誰でもいつでもどこでも簡単1秒で見違える、大人のミニマル「グリッター」使いをご紹介します。

【POINT】上まぶたの中央に丸く。艶やかな立体感が生まれる

上まぶたの黒目の上に丸くオン。これだけでまぶたにスポットライトが当たったような力強い輝きが生まれます。視線を動かすたび、立体的な光が揺れ動く、輝きの表情が美しい。

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グリッターを指先につけ、上まぶたの黒目の上に、軽くトントン。二重のラインより下は、動きが激しくヨレやすいので、二重のラインより上にのせるのがコツ。

アイシャドウ_4
完成

【使用アイテム】

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コスメデコルテ ダズリング ジェム 02 全3色 各¥3,520

グリッターに定評のある「コスメデコルテ」のアイシャドウ。独自に開発された粒子が宝石のファセットのような純度の高い輝きを生む。手持ちのアイカラーに重ねて使うのがおすすめ。

大人にちょうどいい “キラキラ” メイクのコツとは? 最旬グリッターを使った【格上げメイク術】を伝授!

※掲載した商品の価格はすべて税込みです。

この記事の執筆者
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